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第15話 トラップを警戒せよ!

Maus、名前とは裏腹にでかい。その巨体は、動くだけで脅威だ。

レース開始と共に、私達の横を何両もの戦車達が通り過ぎる。


「シーマ、イワン、機銃の発射準備をしろ」

「機銃でありますか?」

「早くせんかノロマ!」

「了解!」


慌てて機銃の安全装置を外し、前方を狙う。目の前では沢山の戦車達がMausを避けようと躍起になっていた。Mausは巨大な車体を前後に動かし、2本の細い通路を交互にふさいでいた。動きはゆっくりだが、車体が巨大なので結構妨害になっている。スタートダッシュに成功した戦車も一時停止してやり過ごすなどして後続に追いつかれていた。


「冗談ではなかっただろう?あれだけならまだ問題ない。落伍者が出てからが問題だ」


兵長の言葉がヘルメットから聞こえた。時間をかけて全両突破したが、何両かは車体にぶつかってダメージを受けていた。


「格上すぎる戦車だとかするだけで撃破されかねん。アイツ等は一発も撃ち合っていないが、動いていることで体当たりを食らっているのだ。それが持続するとどうなるか、猿でも分かるはずだな?」

「は、はい」

「すごい迫力ですね…」

「あんなの序の口だ。レースは恐らく4周、その間に何両あれに食われるだろうな」


兵長の言葉が恐ろしさを増す。少し後、トップ集団が2周目に入った。1位はPz1cだ、軽快に私達の横を通り過ぎ、Mausを避けて細い通路の先に姿を消した。2位も問題なく通り過ぎたが、3位のBT7が事故った。かなり手前からMausをよける軌道を取りつつトップスピードで突っ込んでいったが、タイミングが悪く、Mausに横から体当たりされていた。


『こちらBT7、リタイ切断、動けない。Maus、止まってくれ、おい、おい、止まれー!』


Mausは無線を聞いていないのか、そのままBT7を押しながら進み続け、壁との間にBT7が挟まれた。


『BT7だ、戦車が潰れる!やめろ!誰か助けてくれ!誰かー…ザザ…グシャ』


ドン、と爆発音が聞こえ、BT7が爆発した。

最後に耳障りな音が聞こえ、BT7からの通信が切れる。


「MausがBT7を撃破しました」

「今のはいったい…」

「見ただろう?アイツは止まらない。それがトラップだ、そして、格上すぎる戦車だと押しつぶすだけで撃破できる。中の乗員がどうなるか、わざわざ言葉にするまでもない」

「……」


一同沈黙、その間にも4位、5位と通過してゆく。それぞれにそれなりに減速し、自然とBT7と反対方向を通っていく。8位くらいに来た戦車も事故った。例によってBT7と反対方向を通ろうとしていたが、やはりタイミングが悪く、かと言って停車もできずにMausの土手っ腹に突っ込んだ。一瞬で車体は爆発し、鉄くずになる。しかし、BT7の時とは少し違った。衝突の直前に脱出したのだろう。乗員が一人こちらにとぼとぼと歩いてくる。足を若干引きずっている。


「生存者です!」

「出たな、機銃発射用意!」


その命令は、一瞬意味が分からなかった。

第15話です。体調不良がひどいので更新不定期にします。

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