魔法を買いに
これからはじまるしろくまの旅はあなたのたびでもある。
しろくまは日々健気<けなげ>な努力をしていた。
赤い花を毎日食べた。
もちろん赤い実も食べた。
からだに塗ってみたりもした。
ちょっと息を止めて顔があかくならないかと試したりもした。
思いっきり走ったりもした。
でも全然赤くならなかった。そうしろくまは赤くなりたかったのだ。
雪や氷の中で暮らすしろくまは保護色の白が一番生活しやすい色だったけどある日、赤い実を食べてからというもの、ずううっと赤に憧れていた。
赤くなれたら赤くまと呼ばれたいなと考えていた。
しろくまは赤くまになりたかかった。
今日勇気を出して魔法本舗≪ほんぽ≫に赤の魔法を買いに来た。
店主に赤の魔法ありますか?と聞いてみた。はいもちろんございます。代金はあなたの白い毛皮の白い色とこれになります。これと言って店主が出してきたものは何やら古ぼけた手帳だった。
しろくまは意味がわからずきょとんとしていると、店主が説明をはじめた。
店主:ご存じなかったでしょうか。この手帳にはあなたがこれから果たすべきことが書いてあります。
書かれたことをすべて果たすことで赤の魔法は封印され、だれもとくことができない永遠のものに なりますよ。
手帳を開いてみると
その1 この手帳は自らの道を示すものである。
この土地の南のはずれにいるうさぎのみみぞうから黄色い呪文の入った箱を手に入れ東の雲の切 れ間にある混ぜる会社に届けること。
次のページをめくるとそこは空白で何も書いていなかった。店主は続けて説明した。この後のことは定かではありませんが。つぎつぎとつぎにすることが浮かび上がるということですと説明するのだった。
少しの不安ともちろん希望をかかえて、しろくまは赤の魔法を買うことにした。
そこで白い毛皮の白い色だけ店に代金として払い、透明な毛皮のしろくまとなった。
透明な毛の下に見える柔らかそうな皮膚を他に見せるのは忍びないと言う事で店主は白いマントをそっと肩にかてくれた。
しろくまはその気遣いに勇気づけられ次の一歩を踏み出した。
たくさんのことを経験することでしろくまの気持ちに変化があらわれる。
心の不思議魔法の不思議を追体験。