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3 どうやらパン屋さんの1日が始まるらしい

ミーコさんの普段の始まりです。

さて、なにはともあれお手伝いです。


うちはパン屋さんなのですよ。

朝早くてお昼過ぎにはもう閉店。売れ切れちゃうしね。

港町カチョカにはうちと城下街に近い所に2軒あるけどうちは私で4代目の老舗なのだ。

エッヘン。

城下街にはパン屋さんは無くてカチョカも小さくない街なのになんでパン屋さんが少ないかっていうと城下街は貴族の屋敷や騎士団の宿舎、学校、なんかしかなくてそれぞれ自分たちの屋敷や施設でパンを作っているからパン屋さんは無いし、こっちの港町カチョカも普段食べている主食は小麦粉を塩と水で練って薄く丸く伸ばしたやつを鉄板で焼いたような堅いピザ生地みたいなものだから。

パンは下町の庶民が気軽に買えるちょっとした贅沢品なのだ。


とはいえ私は中身はどうあれ5歳に過ぎない。お手伝いとはいってもパン屋さんのパン作りの手伝いなどたかがしれている。

焼きあがったパンが置いてあるテーブルから店へと1つ1つ持って行って並べる位しかできない。

だけど父親は自分が練り上げ、千切って丸めたものを窯用の鉄板に並べながら私を見ては相好を崩している。

母親は次に作るパンの準備をしたりお店でパンを包む藁半紙のような紙を用意したり。

まあ、つまりは作る以外の作業で大忙しなのだ。

たまに私にデレた父親の背中に紅葉のマークがつきそうな強い突っ込みを入れるのも忘れてはいない。

ときおり私の頭を優しく撫でるのもね。

ほっこりと心温まる。


この生活をなんとか守らなきゃね!

前の両親も大好きだったけど今の両親も大事!

このパン屋さんを継いでくれる婿様をゲットして親孝行しなければ!


パンを粗方焼き上げてしまった父親とリレーのようにパンを受け渡ししながら並べ終わり、作業場の後片付け。母親は簡単に床を掃き作業用のエプロンからお店の売り子用の綺麗なエプロンに付け替えて売り場に出る。

父親は売れ行き次第で追加して焼くパンの準備をして釣りに出かけていく。

主にうちのおかずの確保である。

うん、ガンバレ!パパちゃまよ。うちの食生活はチミの双肩にかかっておる。


「ま、ママちゃま~、おしょとしょーじしちぇくゆ」

滑舌よもう少しレベルアップしてくれ。

「お店の前掃いてくれるの?ありがとうミーコ。じゃあコレお外用の箒ね。」

「うん!」

自分の背丈よりも長い箒を抱えて店の外に出る。

うちの前は7、8メートル程の道があり向こう側は石段を10段ほど下りすぐ港だ。湾を囲むように艀や桟橋が作られ広い港のあちこちに荷物や貨物の倉庫や漁船などを作ったり直したりする小屋が建っている。

でも、それを私は一階の店の前から自分で見ることはできない。道と、その向こうの港の間に私の背の高さ程の石積みの堤防があるからだ。

石畳の道をお店の間口より少し多めに掃いて堤防の下の文庫本くらいの大きさで開けられた水抜き穴に

掃き出す。これをやっておかないと昼間の人の往来で砂だらけ埃だらけになってしまう。

水抜き穴は港側に傾斜しているので2週間に一度水を流し入れながら掃除すれば詰まることはない。


「ミーコ、手を洗って朝ご飯にしましょ」

「ふぁ~い」


今日は楽しい日になるかもしれない。

巳瑚とミーコの心が弾むのがわかる。


うんうん、こんな毎日が続くと幸せだよねっ。


ちょいちょい早めの更新してます。

1話短めです。

読んで下さった方ありがとうございます!

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