In Japan~仮想現実世界~
短いのでどうぞお付き合いください。最期の方だけ読めば事足ります。
仮想西暦2014年9月初旬
夏休みも明け、新たな委員会も決まり、高校は落ち着きを取り戻しつつあった。ここはとある公立高校。田舎だし少子化だし過疎化だし、高校も合併やら廃校やらで、我が県も例にもれず高校の数を減らしつつあった。学区で三つしかない公立高校の真ん中。通う生徒のレベルは様々である。ものすごく優秀な生徒もいれば、裏口入学を疑わざるを得ないレベルの生徒もいる。言っちゃ悪いが高校二年生にもなって分数の計算で分母を足し算しようとしていたのではフォローのしようもない。誰にだって苦手分野があるのは仕方がないが、どうやって卒業するつもりなのだろうか。
多少厳しく言うのは許してほしい。私の親友がまさにその一人なのだ。私は彼女と共に卒業したい。友人としてこの状況がいかに危機的であるのかを理解させてあげなければならない。アホ面で幸せそうに弁当を頬張る彼女を見ていると自分の考えは独善的なのではないか、と決意が揺らぎそうになるが、卒業だけはさせねば、彼女の卒業後の進路が心配で心配でたまらない。
私は弁当を広げ、箸を手にした。
「ねーねー、そのウィンナーもらってもいい?」
見れば彼女の弁当箱は空っぽだ。きっとよく噛んで食べないから脳が活性化されないにちがいない。私がため息交じりに了承するが早いか否か、蛸さんウィンナーは友人の胃へと落ちていった。
ピンポンパンポーン
“これからお昼の校内放送を始めます。本日は各委員会の委員長を発表します”
「チッ」
教室の窓際で舌打ちしたのは三年生の長身の男子生徒だった。
「そんな不機嫌なツラすんなよ、図書委員長さんよ」
向かいに座っていた茶髪のピアスをした男子生徒が笑う。
俺はそんなガラじゃないのは見りゃ分かんだろ、と毒づいたところで笑われるだけである。何か仕事しろ、と言われたから一番ヒマそうな図書委員に入ってみりゃこのザマだ。涙目で首を横に振る臆病そうな女子生徒。塾があるからとかほざいて名乗る前に出ていったバカ。欠席者に図書委員を押し付けたどっかのバカクラス。残った生徒でジャンケンして負けた。そんだけだ。
めんどくせえ。俺はサボるからな。絶対にサボってやるからな。
「フラグおつおつ~」
マジうぜえ。ピアス引きちぎってやろうか。俺は購買で勝ち取った焼きそばパンをよく噛みもせずに飲み込んだ。次の授業は古文だったはずだ。このまま授業が終わるまで寝るか。俺は正面のバカが騒ぐのを無視して机に突っ伏して目を閉じた。
“次は音楽コーナーです。流してほしい曲がある方は放送室前のボックスにリクエスト曲を書いて入れてください。それでは一曲目、でぃぇ、りー、あ、あれか、失礼しました。人気オンラインゲーム『Die Liebe zur Kunst~神に捧ぐ~』より、「神への愛」です”
世界が暗転した。
〉世界が始動した。