ぼくは海にいくよ
海を見たい
ぼくは海を知らない
空はいつもそこにある
見えるのは空だけ
空は海より大きいけれど
さわれない
海は近づけば掴めるから
目を閉じて想像する海
ぎんいろの風景の中
見上げる空はぎんいろ
見下ろす海は鏡
波が空に触れようと
手をのばし
鏡は大きく歪む
波は空に届かない
砂におちる
おちるばかり
幾度も幾度も
波を拾い続けて
砂は疲れ果て
うすっぺらに消える
消えてしまう
から
無音
むおんむおん
波の音はしない
鳥の声はしない
目を開けて
いつもの闇
しか
ないから
どうして
いつも
ないの
ねぇ
もう
いい
ぼくは海にいくよ
ぼくは海にかえるんだ