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万年「F」ランク冒険者、呪われた装備で最強を目指す  作者: 秋栗稲穂


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021話 呪具を求めて

鍛冶場の熱気も少し落ち着き、戦斧の打ち直しを待つ間。

アレフは椅子に腰を下ろし、陳列された武器や防具を眺めながら次の動きを思案していた。


そんな時、不意にアスタロスが口を開いた。


「なぁ、アレフの兄貴。前から思ってたんだがよ……兄貴の呪い、“不幸体質”だっけか?  あれ、グラトニーに喰わせちまえばいいんじゃねぇのか?」


その場の空気がピシリと張りつめた。

ライカもシノも、息を呑んでアレフと魔剣を見つめる。


漆黒の刀身が、くぐもった声で笑った。


《……面白い事を言うではないか、小娘。だが、それは無理だ》


「無理ってのは……どうしてだ?」


アスタロスが眉をひそめる。


《呪いを喰らうには、その宿主の“呪力”を余すことなく取り込まねばならん。だが、小僧の呪力は膨大。欠片に過ぎぬ我が魂の器では到底収まりきらん》


アレフは苦々しく舌打ちをした。


「やっぱりそうなるか……」


さらに魔剣は低く囁いた。


《大罪シリーズを揃えろ。呪われし神器が全て集ったその時こそ、貴様の呪力を我らが魂に注ぎ込み、その身に刻まれし呪いをも喰らってやろう》


「……へっ!そんなの最初から当てにしてねぇよ。言われなくても、大罪シリーズを全て集めて俺は最強になる。 そんで……“災厄の魔女”をぶったおす!」


アレフが豪語する。

その言葉には、確かな決意が込められていた。


《だが、勘違いするな……小僧。憤怒の手甲を取り込めたのは運が良かっただけだ。次からはそう上手くはいかん》


「なんだと?」


《まずは我に“呪い”を喰わせろ。“呪われた神器”を欲するなら、新たな呪いの力を手に入れろ。それがなければ、大罪シリーズを求める資格すらない》


グラトニーが冷徹に言い放つ。


ライカが心配そうにアレフを見上げる。


「アレフお兄ちゃん……」


アレフは大きく息を吸い込み、吐息と共に短く答えた。


「よっしゃ!……まずは“大罪シリーズ”以外の呪われたアイテムを探す。力になるものなら何でもいい、次は俺自身が強くなる!」


「はは……やっぱり俺様の主だぜ」


アスタロスが呆れつつも、口元に不敵な笑みを浮かべた。


「お前が言い出したんだろうが」


「へっ、ま、付き合ってやるさ。兄貴が目的を果たしてくれねぇと、俺様の呪いも解いてもらえねぇからな」


アスタロスは肩をすくめて立ち上がる。


「よし。じゃあ決まりだ。みんなで呪い探しと洒落込もうじゃねぇか」


ライカとシノは顔を見合わせ、溜息をつきつつも頷いた。


――こうして、パーティの次なる目的は「呪われたアイテムの探索」となった。


***


鍛冶屋で戦斧の打ち直しを終えた数日後。

アレフたちは街の片隅にある薄暗い酒場を訪れていた。


「……本当にここで合ってるのか?」


シノが周囲を気にしながら囁く。

ジェームスは涼しい顔で頷いた。


「ええ、間違いなく。ここには、以前アレフ様が助けた闇商人が出入りしているはずです」


その言葉の直後、カウンター奥から声が響いた。


「……おお、まさか本当に来てくれるとは!」


姿を現したのは、以前、街道でゴブリンに襲われ、娘を連れ去られた闇商人だった。

あの時アレフたちが救った娘は、今も元気に商人の傍らにいる。


「恩人に礼もろくにできなかった。……今日は情報で返させてもらうよ」


男はそう言って、酒場の奥の個室へと案内する。


「呪われたアイテム……ですか?」


闇商人は目を細め、低く呟いた。


「呪具が何処にあるかは分かりません。ただ……一つだけ心当たりがございます」


アレフが視線を向けると、闇商人は言葉を続けた。


「北の丘陵地帯に、古い“ゴミ捨て場”があります。壊れた剣や鎧、使えなくなった魔道具……そんなガラクタを人々が捨て続けた場所です。

最初はただの穴蔵に過ぎなかったのですが……ある日を境に、妙な瘴気が漂い始めたんです。

それから間もなくして、ある噂が流れ始めたんです。『ゴミ捨て場がダンジョンになった』と」


「ゴミ捨て場が……ダンジョン?」


シノが驚きに目を見開く。


闇商人は深く頷いた。


《残留した魔力や呪力、死者の念……そういう“負の力”が反応しあい、歪んだ空間を作り上げたんだろう。

確かに、そんな場所なら“呪われたアイテム”が眠っていてもおかしくはない》


話を聞いたアスタロスが面白そうに笑う。


「ハッ、まるでゴミの山から生まれた魔境ってわけか! 俺の大好物だぜ!」


「しかし、気をつけて下さい」


闇商人は声を潜めた。


「ゴミ捨て場で消息を絶った冒険者は少なくない。……“ただのガラクタ”に見える品ほど危険だという話です」


アレフは一同を見回し、静かに決意を示した。


「……決まりだな」


ジェームスは口元に笑みを浮かべ、胸に手を当てる。


「今のアレフ様には、いかなる呪いも障害にはなりませぬからな」


シノはため息をつきながらも、そっとアレフの袖を掴んだ。


「……分かった。一緒に行く」


こうして彼らの新たな目的地は、“ゴミ捨て場のダンジョン”に定まった。

それは人々に忘れられた廃棄物の山でありながら、負の力が巣食う魔窟だった。

次回タイトル:022話 廃棄された呪いの巣窟

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