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ロボティクス・メイカー  作者: 藤岡 幸春


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13/25

#-01:他を生かすために闘う|完全版 ―That others may live Fight―

【小説内の記号ガイド】


* 「」:登場人物の会話。

* 《》:通信などの隠密会話。

* ():登場人物の心の中の声。

* []:AIの初期状態。アナウンスUI。

* ▶ :カメラアングルを動かす、最小限の状況ナレーション。

* ━━:カメラを別の場所・時間へ飛ばす場面転換。

* /////:キャラクターの赤面演出。


---


【主要登場人物紹介|C.F.N軍】


◎セイジ:RWパイロット。登場機体は「バーニングアタッカー」


◎キョウコ・コバヤシ管制官:RW管制官。セイジに想いを寄せている。


◎アイカ・タナカ:RW整備士。


---


【主要登場人物紹介|A.S.I軍】


◎オリヴァー:RWパイロット。まだ少年の体躯ながら卓越したRW操縦技術を誇る。


◎ボブ・アンダーソン司令:A.S.I軍総司令官。


---


【主要登場人物紹介|民間人】


◎パニア・エンデバー:セイジを救った集落の少女。


---


【用語】


・ウェルカム・マスドライバー:略称「WMD」。宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。レールの中は住居になっている。


・ロボティクス・ワーカー:略称「RW」。人型汎用作業機械。全高15メートルの搭乗型ロボット。


---


【物語登場国家の設定|C.F.N軍】

Coalition of Free Nations(自由国家連合)

略称:C.F.N

構成:

・民主主義国家群

・WMDの共同管理を掲げる

・宇宙資源の共有化を理念とする


---


【物語登場国家の設定|A.S.I軍】

Alliance of Strategic Integration(戦略統合同盟)

略称:A.S.I

構成:

・東方ブロック

・南アジア圏

・社会主義的価値観を共有する国家群

・宇宙資源の国家独占を掲げる陣営


---


【ロボティクスメイカー|設定紹介】

今回のエピソードのイメージイラストはコチラ↓

https://x.com/FDFyukiharu/status/1729085052171247864?s=20

※セイジとキョウコの別れのシーン


ロボット「バーニングアタッカー」のイラストはコチラ↓

https://x.com/FDFyukiharu/status/2095862659753378148?s=20


ロボティクスメイカーの公式サイトはコチラ↓

https://robotics-maker.jimdofree.com/


---


【物語登場兵器紹介|SQB】


┏■┓

 Ⅱ


上記物体はSQBのトップビュー(真上から見た図)を表している。

以下は各パーツの説明↓


■:スクエアボックスのボディ。六面体のサイコロのようなシンプルな形状をしている。


┏:右メインアーム


┓:左メインアーム


Ⅱ:小さなサブアーム(2本)が機体の中央寄りから生えている


---


【年齢計算の例@40歳の整備班員|2020年代基準|150歳寿命設定】


100:150=X:40

150X=4000

X=26



━━西暦2053年。



この時代、

超巨大インフラ|ウェルカム・マスドライバー(WMD)の利権争いで、

世界規模の戦争が起きてしまっていた……。


WMDの効率的な建造のために開発された全高15メートルの搭乗型汎用人型作業機械、

ロボティクス・ワーカー(RW)は軍事転用されてしまっていた。

その結果、闘いは苛烈を極め、各地の被害は深刻だった。

戦争は宇宙空間にまで広がり、宇宙はデブリまみれになっていた。

どれだけお互い被害を出し合っても引っ込みが付かなくなった大国同士の争いは終わりが見えなかった……。


しかし、ようやく今、戦争決着の最終局面を迎えようとしていた━━



━━A.S.I軍|月面軍事基地作戦司令室



ボブ・アンダーソン司令「ヤツの作戦行動中は【オープンチャンネル】にしておく」


ダーニア補佐官「……?! ……それは、何故ですか?」


ボブ・アンダーソン司令「【オープンチャンネル】にしておくことで【少年兵が搭乗しているRW】というのを敵に知らしめる。子供相手の戦闘はヤツラもやりにくかろう。フフッ……」


ダーニア補佐官「……」


ボブ・アンダーソン司令「どうした?不服か?まぁいい。我々はこの戦争でどんな手を使っても勝たねばならんのだ」


ダーニア補佐官「国際法に違反しています。貴方は、この国は、いったいどうなるのです……?」


ボブ・アンダーソン司令「責任はすべて私が取る。既にそのように根回しもしている。要は勝てばいいのだ。勝者にならねば何も成し遂げられぬ」


ダーニア補佐官「貴方は……、それで構わないのですか……?」


ボブ・アンダーソン司令「どのみちこの戦争に負ければ惨めな未来が待っているだけのこと。ならば私は負けても誇り高き死を選ぶ」


ダーニア補佐官「貴方はよくても!少年兵……、オリヴァーの犠牲はっ!!」


少年兵|オリヴァー「おねえちゃん、そのへんはきにしないでだいじょうぶ。ぼくもなっとくしてるから。ねぇ?アンダーソン司令?」


ボブ・アンダーソン司令「……助かる。調整は済んでいるか?」


オリヴァー「もちろん!」


ボブ・アンダーソン司令「そうか……。では行け、オリヴァー。必ず、生きて還ってこい」


オリヴァー「あたりまえだよ!」



━━A.S.I軍|RW管制室



オペレーター「電磁カタパルトオンライン。電力正常。パイロット及び機体に異常なし。いつでも出れます。発艦のタイミングをパイロットへ移譲。ユーハブコントロール」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


オリヴァー

「アイハブコントロール。


メインリアクターON、


神経接続開始、


ニューロコンバータモードC、


武装は…、ありったけ!


今日はパーティだっ!!


ハイマチックマニューバーも最初からマキシマム位置で固定。


よし、じゃあいこうか。


RW-XXX(トリプルエックス) レクイエム! 出撃(で)るよ! 前あけないと踏みつぶすよっ!!!」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



━━C.F.N軍|RW格納庫



アキツ管制官「敵RW、アンノウン、データ無しの機体。急速接近中。距離1万。出撃できるパイロットより五月雨で出撃してください。繰り返します。敵RW、アンノウン……」



▶ アキツ管制官の緊迫した敵機接近のアナウンスが鋼鉄の巨人「ロボティクス・ワーカー」(RW)が立ち並ぶ無機質な格納庫に響き渡る。


▶ ここに、そばかすの女の子が居る。

彼女は名を「アイカ」という。

彼女はC.F.N軍所属のRW整備士だ。


▶ 髪はくしゃくしゃで、度の強い眼鏡を掛けており、背は低い。

整備能力は並みだが、彼女は絵やデザインがうまい。

よくパイロットの使うヘルメットやRWのマーキングやペイントを施していた。

これが隊員達にとても評判が良かった。



アイカ「これ、よかったら、どうぞ」


セイジ「あぁ、いつもありがとう。……ん?これは?【活】という日本の漢字か?」


アイカ「はい、活きる、生きる、そして活(カツ)と勝(カツ)の意味を含んだゲン担ぎのマーキングです」



▶ セイジの使うヘルメットの額付近に大き目に【活】という文字がペイントされている。



セイジ「おー、これ被ってたら死ななそうだw」


アイカ「はい、必ず、生きて、活きて還ってください。お、お願いします」



▶ アイカ、彼女の手は清潔だが、何度もペイントを失敗したのか、ペンキ汚れが少し残っていた。



セイジ「ありがとう。大事に使わせてもらうよ。そして、ヘルメットをまた整備に出しに、俺はここに戻る。戻ってくる」


アイカ「はい、是非、お願いします。わ……、みんなが、待っていますから」


アキツ管制官「敵RW、アンノウン、データ無しの機体。こちらへ急速接近中。距離1万。出撃できるパイロットより五月雨で出撃してください。繰り返します。敵RW、アンノウン…」


セイジ「すまん、もう、行かなければ」


アイカ「ご武運を」



▶ アイカはセイジの腕に赤いスカーフを巻いた



セイジ「また御守が増えたな。こりゃいよいよ死なんなw 俺はw」



▶ アイカはセイジを静かに敬礼で見送った。その目尻には涙が浮かんでいた。

そのアイカの様子を見ていた同僚、モモカがアイカに声を掛けた。



アイカの同僚|モモカ「よかったの?アンタの気持ち、あの人、あのパイロットに伝えなくて?」


アイカ「いいの。もう、あの人には想い人が居るもの。私はただ、彼が無事なら、それでいい」


モモカ「バッキャロー!あーもぅ!今日は飲みに行くぞ!!」


アイカ「いやそれこの状況でムリでしょw」


モモカ|モモカ「あ、そっかw ごめんごめんw んじゃハンガー(格納庫)でジュースでお祝いよ! アンタの失恋祝い!!」


アイカ「いやー!もおおおお!うわあああああん!!」



━━C.F.N軍|RW管制室



キョウコ・コバヤシ管制官「……」


アキツ管制官「キョウコ……、もう、あの人、行っちゃうよ?」


キョウコ・コバヤシ管制官「……うん」


アキツ管制官「キョウコ……、……今!言わないと!きっと後悔するよ!……ココは任せて行きなさい!!」


キョウコ・コバヤシ管制官「……」


キョウコ・コバヤシ管制官「……うんっ!ありがとうっ!!」



▶ キョウコが出撃前のパイロットに駆け寄る。本来であればありえない行為だった。

しかし彼女の想いを前々から知っていた同僚のオペレーター|アキツ管制官が、ルールを破って彼女の背中を押した。

結果、彼女は出撃前の男の前に、居る。



キョウコ「す、少しだけ!待って!」


男RWパイロット|セイジ「?」


キョウコ「こんなときにゴメンなさい!あ、あたし!あなたにどうしても!伝えたいことが!」


セイジ「……あぁ、それは言わなくても、なんとなくわかる」


セイジ「この戦いが終わったら、俺も君にちゃんと伝えたいことが、あるんだ」


セイジ「……俺は必ず生きて還る。そのときは一緒に食事でもしよう。そのときに、【俺から】君に伝えたい」


キョウコ「……はい」



━━C.F.N軍|RWカタパルトデッキ



アキツ管制官「電磁カタパルトオンライン。電力正常。パイロット及び機体に異常なし。いつでも出れます。発艦のタイミングをパイロットへ移譲。ユーハブコントロール」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


セイジ

「了解した。


アイハブコントロール。


メインリアクターON、


神経接続開始、


ニューロコンバータモードA、


武装、右腕ブレードユニット、左腕ミニガドリング、共にドライブ正常。


バックパック、予備サブマシンガン、サブアーム、プロペラント、すべて正常。


ハイマチックマニューバー、マキシマム。


バーニングアタッカー。出撃(で)る。」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



━━戦闘宙域



オリヴァー「あははっ!また会ったねぇ!会えたねぇっ!!」


セイジ「【オープンチャンネル】だと?!正気かっ?! くっ……、しかも子供、だと……? 俺はキサマに構っているヒマなどないっ!そこをどけっ!」


オリヴァー「やーだねー♪これからボクとあそぶんだよぉっ!!」



ガキィッ!ギィィィンッ!!



▶ オリヴァー機の容赦の無い斬撃がセイジの機体に襲い掛かる。

セイジの機体に装備された右腕ブレードユニットで攻撃を受け止めるのがやっとだった。



セイジ「もう!こんなことはやめろっ!!俺は子供とは闘いたくないっ!!」


オリヴァー「じゃあこれだったらどうよっ!」



▶ オリヴァー機からレーザーが照射された。セイジの背後にいた僚機が爆散した。



セイジ「ドリー!アーガス!タタラ!!」


オリヴァー「はっはぁ♪ これで少しは闘う気になったぁ?」



▶ オリヴァーはいたずらな笑みを浮かべてセイジを煽った。



セイジ「貴様……」



スヴァッシュッッッ!!



オリヴァー「クッ……、やればできるじゃん……! あーあ、片腕片脚サヨウナラしちゃったw どうしよw」



▶ オリヴァーの機体の右腕右脚に甚大な損傷が出ていた。

セイジ機の右腕ブレードユニットの一撃がさく裂した。

オリヴァー機の右腕は二の腕が、右脚はヒザから下が無くなってしまっていた。



オリヴァー「なーんちゃってぇ♪ あーらよっとぉ!」


オリヴァー「ぼーっとしてるとぉ♪ やぁられちゃーうよ♪」



ガガガッ!ギギギッ!バシュウッ!!



セイジ「く……、やるしか……、ないのか……」



▶ セイジは機体のサブアームを展開させて予備兵装としてラックしていたサブマシンガンを機体のマニピュレーターで構えると、

マガジンが空になるまでオリヴァー機めがけて撃ち尽くした。

その撃ち尽くしたサブマシンガンをオリヴァー機の視界を遮るように放り投げると、

今度はセイジ機の左腕にマウントされたミニガドリングで放り投げたサブマシンガンめがけて射撃した。

サブマシンガンは爆散すると疑似的なスモークのようになり、さらにオリヴァー機の視界を遮った。

こうして出来た隙をセイジは見逃さなかった。


セイジはオリヴァー機に右腕ブレードユニットによる渾身の一撃をお見舞いした。



ガキィンンッ!



オリヴァー「くっ……、なかなかやるじゃん。そろそろ決めるか……。もう機体が、もたない。全リミッター、解除。メインスラスター、最大出力。AIサポート、オフ。今まで、ありがとう……、レクイエム」


レクイエムAI「イママデ アナタト トモニ タタカエテ ウレシカッタ セメテ ドウカ ヤスラカニ ネムリタマエ……」


オリヴァー「ぅぅぅううううぉぉおおおおぁああああっっっっっ!!!!!」



ズヴァッシュッ!



▶ セイジ機の構えた右腕ブレードユニットでオリヴァー機の胴体ユニットを貫いていた。



オリヴァー「ふふっ……、ははっ……。これでやっと……、ボクは……」



ドォォォンッッ……。。。



▶ オリヴァー機はセイジ機の目の前で爆散した。



「こちら国連軍。こちら国連軍。両軍はただちに戦闘を中止せよ。たった今、和平協定が結ばれた。繰り返す。両軍はただちに戦闘を中止せよ。たった今……」



セイジ「クソが……。遅いんだよ……。何が和平だ……。クソが……」



ドォンッ!

ピーッ!ピーッ!ピーッ!



▶ セイジ機から警告音が鳴っていた。



セイジ「クソ……、機体に負荷を掛け過ぎた……。脱出を……、うわっ」



▶ セイジ機のコクピット内壁の一部が爆散してしまった。

爆散した結果、大きくモジュールが破損し、セイジの脚に大きな破片が刺さってしまった。



セイジ「ぐぅあああっ!」



▶ セイジは大量出血を避けるため破片をそのまま抜かずに救急キットで脚のケガを治した。

大きな出血は止まったが、セイジの意識は混濁していた。



セイジ「とにかく、脱出を……」



▶ コクピットは座席シートがバイク型の脱出艇になっている。

脱出艇は機体から射出されたが、セイジは辛うじて脱出艇にしがみついているだけで、

既に意識が無かった……



━━西暦2054年。地球。とある国の集落。



セイジ「俺はMIA(作戦行動中行方不明)になってしまった」


セイジ「しかし俺は助かった。助かってしまった」




セイジ「俺は少年兵との戦闘の後、破損した機体からの脱出に成功した」


セイジ「脱出後、既に俺の意識は無かったが、運良く救難艇に拾われ救助された。しかしトラブルで地球へ不時着。救難艇のみんなは助からなかった。生き残ったのは俺だけ」


セイジ「救難艇の無線は不時着の衝撃で壊れて使えない。よって軍との連絡も取れなかった」


セイジ「途方に暮れていると脚のケガのせいで再び意識が飛んだ。そしてまた目が覚めると、不時着した先の集落で俺は看病をしてもらえていた」


セイジ「ケガの処置が遅れたせいで以前のようには歩けなくなってしまった」


セイジ「しかし俺は体調を快復させ、この救われた集落で働かせてもらえることになった。とはいっても歩けなくなってしまったので出来ることは限られてくるのだが」


セイジ「農業を手伝わせてもらったり、農機具の整備をしたり。今ではこの穏やかな日常がとても気に入っているし、癒しだ」


セイジ「それとここは田舎の村だが、多少ネットワーク設備も整っているので、それら機材の保守点検整備も一手に任せてもらっている。有難い」


セイジ「そんな穏やかな日常が続いたので、もうこのままMIAのままでいい。ある日、俺はそう思った」


セイジ「あとで聴いたラジオで知ったが、一応、俺の国はあの戦争で勝ったみたいだ。WMDの利用権利も奪還したようだ」


セイジ「しかし今となってはそんなことはどうでもいい。少年兵相手に戦わされたし、本当にもう、何もかもが疲れた。」



セイジ「少年兵は助けられなかった。彼は、俺のRWのブレードに飛び込むようにして、最期を……、迎えた」



セイジ「うん、そうだ。俺は少年を殺してしまった。ここが一番、俺が立ち直れない原因だ」


セイジ「俺の仲間はあの少年に殺されたが、できれば少年は救ってやりたかった。だが、ムリだった。相手の動きをさばき切るのが精一杯だった」


セイジ「もっと俺が強ければ……、あるいは……、と、今でも悔やむ」


セイジ「操縦桿越しに伝わるあの感触が、数か月たった今でもリアルに思い浮かぶ。感触がはっきり今でも残っている」



▶ セイジは胸ポケットにしまっていた写真を見る



セイジ「今でも彼女、キョウコのことは、気になる。逢いたいとも思う。できればあの時の約束を果たしたいとも思う」


セイジ「赦してほしいとは言わない。ただ彼女に会って一言詫びたかった。しかしもう、本当に疲れてしまった。その気力が俺の中に残されていなかった。俺はここで骨をうずめるつもりだ」



▶ 集落住民の少女がセイジにゆっくり近づいてきた。セイジを最初に発見して看病した少女だ。



集落住民の少女|パニア・エンデバー「アナタ イツモ カナシソウ ドシタノ?」(あなた、いつも悲しそう。どうしたの?)


セイジ「あぁ、いや……、別に何でもないんだ。何か今日はやることは、あるかぃ?」



▶ セイジが身動きしようとしたその時、彼女の写った写真が地面に落ちた。



パニア「コノヒト、タレ?」(この人、誰?)


セイジ「あぁ、俺の彼女、でもないな……。ただの……、ただの友人だ」


パニア「クワシク、キカセテ」(詳しく、聞かせて)



▶ セイジは、はじめて自分の事の顛末を少女に詳しく話した。

今まで詳細は伏せて、ごまかし続けて現地で働かせてもらっていたが、

彼女のアーモンド色のまっすぐな瞳に見つけられると、

自分でも驚くくらいに、つらつらと少女に、

置いてきてしまった彼女、キョウコとのこれまでの想い出を詳しく、話した。話してしまった。



━━時は遡り、西暦2043年。C.F.N軍基地内務班。


▶ キョウコ視点の回想。キョウコ(18歳)。



キョウコ・コバヤシ管制官「……つ、付き合ってください!で、できれば、お友達から、でも……」


セイジ「……」


キョウコ「……だ、ダメですか……?」


セイジ「……」


キョウコ「……」


セイジ「……その、君が言っているのは【男と女として】交際を、【この俺に】申し込んでいる、という認識で、まちがってないか?」


キョウコ「は、はいっ!」


セイジ「……」


セイジ「……気持ちは嬉しいが、よく考えた方がいい。今、俺は28だが、君は今、いくつだ?」


キョウコ「18です……」


セイジ「……もっと君に相応しい人が居るハズだ。ましてや俺はSQBのパイロット。今度RWへの適性試験も受ける。おそらくそれにも合格し、俺はRW乗りになるだろう」

※SQB:作業用ポッドを戦闘用に改造した兵器

※RW:ロボティクス・ワーカー(RW)。搭乗型汎用人型兵器。全高15メートル。


セイジ「近隣諸国(A.S.I軍)とのキナ臭い情報も飛び交っている。俺はいつ死ぬか、わからない」


セイジ「こんないつ死ぬかわからん年寄りを相手にしているヒマがあったら、同期の若い男にでもアプローチするのを勧める」


セイジ「それじゃ、俺は訓練があるのでこれで失礼するよ」


キョウコ(そんな風に……、自分を追い詰めなくても……、いいのに……)



▶ 今の私はSQBやRWを管制するC.F.N軍の管制官だ。

実は私がまだ8歳の時に職場見学でこの軍に来た事がある。

その時、セイジは18歳。まだ配備数も整っていない、当時最新鋭のSQBをセイジは任され、輝いていた。



▶ 18歳のセイジは、まだ8歳の私に嬉しそうに自分のSQBを紹介していた。

俺はこのSQBで宇宙を駆け巡り、地球のみんなを護るんだ!そう、彼は息巻いていた。

その少年のような姿に私は魅かれ、基地祭など民間人が軍と接触できる機会があれば全部参加した。勉強もした。


▶ 倍率の高かった管制官の職にも主席で合格した。成績が良くないと、優秀な彼のサポートが出来ないと思ったからだ。

そして今、私はようやく彼の前に居る。兵科、階級は違えど対等な立場だ。

ようやく、彼が手の届くところに居てくれる。


▶ 正直私の同僚の応援、背中押しも強烈だったのもある。

だから今回の告白だ。


▶ 彼の身辺調査も進めていた。

というか同僚が勝手に調べ上げて、勝手に私に情報を渡した。

なんでそんなに協力的だったのかはわからない。

単純に同僚の趣味なのだろう。歳の差のロマンスというやつに。

あぁ、そういえば最近のTVドラマでちょうどそういうのが流行っていたのを思い出す。タイトルは忘れたが。


▶ 面白がっているでもなんでも協力してくれるのは有難かった。

なんでも10年来の恋だ。なんとしても実らせたい。

私は努力してここまで来たんだ。


▶ なんで私がここまでお熱かって?

聞きたい?聞きたくなくても聞かせてあげる。

実は彼に助けられたことがある。

私が6歳の頃。パパとママに遊園地に連れて行ってもらった。



━━2031年、キョウコ(6歳)。【ミニWMD】付帯施設遊園地

※ミニWMD:日本を基点に建造されたWMD本格建造のための実験施設。ミニサイズのWMD。

※ウェルカム・マスドライバー:略称「WMD」。宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。レールの中は住居になっている。ミニWMDの先行建造データが十二分に生かされている。



園内アナウンス「【ミニWMD】弁当は残り10セットですっ!」


園内アナウンス「【ミニWMD】ジェットコースターのチケット売り場はコチラ~♪」


キョウコ(6歳)「ママっ!次!あれ乗りたいっ!!」


キョウコのママ「まだキョウコは6歳だから、ジェットコースターは初心者コースしか乗れないわよ?」



▶ ジェットコースター初心者コース=全体の30%ほどの高さまで。

【ミニWMD】の構造物を利用したジェットコースターが、本施設の目玉アトラクションだ。


▶ しかし【ミニWMD】の全体は使っていない。

【ミニWMD】の最大のレール高さは大気圏付近まで存在しているので、

上級者コースでも生身で乗れる高さまでしか存在しない。


▶ 業務用の昇降エレベーターは【ミニWMD】全域を昇降できるように作られており、

これは【ミニWMD】施設の点検用エレベーターなので業者しか搭乗できない。

業者間では俗称で「ジェットコースター超上級者仕様」と冗談めかして言っている。

宇宙服の着用は必須である。



キョウコ「初心者コースでもハンパないわ……」



▶ 私は初心者コースで十分満足した。



キョウコ「ママっ!次!あれ!観覧車乗りたいっ!!ひとりでっ!!」


キョウコのママ「えー?危ないわよ?」


キョウコのパパ「ちょっと心配だな……」


キョウコ「キョウコはもう6さいなのよっ!立派なレディーなのよっ!!」


キョウコのママ「もぅおませさんなんだから……。しかたないわね……、パパ、私たちは近くのカフェでお茶でもしましょうか?」


キョウコのパパ「……うむ、……そうだな。キョウコ、たのしんでおいで♪」(めっちゃ心配だけど)


キョウコ「ありがとうっ!!」



▶ はじめのうちは順調に観覧車は動いていた。【はじめのうちは】


▶ しばらくして……、なんと、観覧車が止まった。しかも一番上の位置で。

一番上の地面から最も離れた位置のゴンドラの中に私は閉じ込められた。


▶ パパとママの反対を押し切ってひとりで乗ったので私ひとりぼっち。

寂しい……、というか!今!私は!!

猛烈に!もう!ダメだ!!ゲンカイだっ!!(トイレ的な意味で)

……と、その時!



セイジ(16歳)「俺っ!ちょっと行ってきますっ!おやっさん!SQB借りますっ!!」


整備班長おやっさん「あ、ちょ、ちょっとぉっ!おぃ!!まだソイツは推進剤がっ!!……あー行っちまぃやがった」


整備班員「今動けるSQBはアレだけ。他はオーバーホール中。そこまで見越して、あえて推進剤充填中のSQBで出た彼なら……」


整備班員「他の現場で詰まってる救助隊が来る前に、推進剤が尽きる前に、助けられるんじゃないですかね」


整備班長おやっさん「お前、若いのに、妙に悟ってるとき、あるよな?」


整備班員「えっ?俺、こう見えて今度40歳ですけど?」


整備班長おやっさん「お前さん、そんな年齢やったんか……。しかし、助かるといいな、アレ」


整備班員「大丈夫ですよ、彼なら、きっと」



▶ 彼、セイジ(16歳)の駆る飛翔ユニットを取り付けた作業用SQBで助けに来てくれた。

私は、お姫様抱っこされて助けられた。トイレはギリ間に合った。彼のおかげで。

だから、私はその時から彼に夢中。



━━西暦2043年。C.F.N軍基地内務班。キョウコ(18歳)。



キョウコ「………」


キョウコの同僚|アキツ「おーぃ?元気かー?生きてるかー??おーぃ?」


キョウコ「あ、ごめんなさい。何?」


アキツ「見事にフられてたわね。まぁ……、ドンマイ」


キョウコ「あ、ありがとう」


アキツ「じゃーん」



▶ 彼はロボットSFモノの映画チケット2枚をキョウコに差し出した



アキツ「これで今度、彼を誘ってみなさいよ。ただ映画観に行くだけ、しかもこの男の人が好きそうな映画だったら一緒に行ってくれるかも」


キョウコ「そ、そうね。ちょっとチャレンジしてみるわ」


アキツ「いてらー」ノシ



▶ アキツはキョウコを送り出した。


▶ それから私はめげずにいろいろとアプローチをがんばった。

映画に誘ってみたり、食堂の隅で待ち構えて偶然を装ってセイジの隣の席に座ったり。

スポーツはニガテなのに、セイジのトレーニング時間を狙って隣の席で、

ムリしてサポート無しで重量挙げをして失敗しそうになってセイジに怒られたり。

そこまでしてもセイジが全然キョウコになびかないので、ついにキョウコの同僚達が動き出した。


▶ キョウコの同僚達がセイジのサプライズ誕生日パーティーを企画した。

暗い部屋にセイジを呼び出して、部屋の灯りをパッと付けたら皆でお祝いする、そんな企画だ。

しかしそこに皆は居なかった。

暗いウチにセイジと私だけ残して、皆、どこかへ行ってしまった。

いや、部屋の隅で二人の様子をガン見していた。

いけー!いけー!と皆で念を送っていた。私たちの恋が実るように。


▶ そこから、恋人、とまでは行かないが、セイジと私はよく二人で居ることが多くなった。

主に軍施設内の食堂とか、ではあるのだが。

そして私はハンガーにもよく行くようになり、

セイジが割り当てられたばかりのRWの機体チェックでハンガーに入り浸りになっているときに、

彼の好きそうな、その場で食べられるものをよく差し入れに行った。

彼は喜んでそれを食べた。RWの前で少し話もした。

他愛の無い話だ。



私ははセイジとのデートで【ミニWMD】付帯施設遊園地にも行った。

ジェットコースター上級者コース=全体の100% に乗ることができた。



キョウコ「上級者コース……、恐ろしい子っ!」


セイジ「……お、そう……だな……」



▶ セイジでも結構クるものがあったようである。



━━再び西暦2054年。地球。とある国の集落。


▶ セイジの視点



▶ ……だけどその時間のひとつひとつが俺は楽しかった。本当に、楽しかった。

キョウコもおそらく楽しんでくれていたんじゃないかと想う。



セイジ「本当に、あの頃は、楽しかったんだ……。だけど、俺は、もうあの頃には、戻れない」



…………



パニア「……」


パニア「……」


パニア「…………」


セイジ「あの……、パ、パニア? どうしたんだ?」


パニア「……アナタ! クニ……! カエラナキャ……! タメ!!」(あなた!自分の国へ!帰らなきゃ!ダメ!!)


セイジ「いや……、でも……、」


パニア「タメ! アルケナイ ヤクタタズ! …………デテケ!!」(ダメ!歩けない役立たず!出ていけ!!)


▶ 少女は大粒の涙を流しながら男にそう言った。



…………



━━西暦2055年。



▶ 街のダイナー。一人の女性が切り盛りしている。


▶ かつて彼女はかつてC.F.N軍に勤めていた。

兵科は管制官でロボティクスワーカー(RW)などを管制する任務に従事していた。


▶ キョウコ・コバヤシ元少尉。RW管制官。その人だった。


▶ WMDの利権を巡る大国同士の戦争が終結した今、彼女は軍を退役し、ダイナー経営を始めた。

店舗は退職金で購入した。ちょうど良い物件が空いていた。

元々彼女は料理が得意だったこともあり、店はそれなりに繁盛していた。

今日もそこそこ忙しい。カウンター席に座る客がキョウコ元少尉に話し掛けた。



客「やぁ、どうもね。また来たよ」


キョウコ「あなた最近よくウチに来てくれるわよね♪ 今日もアレ?」


客「あぁ、いつもの定食で頼む」


キョウコ「わかった。ちょっと待ってて」



▶ ほどなくして料理が運ばれてきた。



キョウコ「おまたせ♪」


客「ありがとう。ここのはウマくて安くて腹が膨れるから助かる」


キョウコ「いつもありがとう♪」


客「で……、前から気になってたんだが……、ひとつ、聞いてもいいか?」


キョウコ「うん、何?」


客「カウンターに飾ってあるその写真、アンタが軍に居た頃か?」


キョウコ「うん。以前軍に勤めていた頃の写真。戦場カメラマンが撮ってくれた写真をお裾分けしてもらったの」


客「そうか、いい写真だな。なんか賞でも取れそうな良い写真だ」


キョウコ「私もそう思うわ。だけどカメラマンはこの作品を公の場に発表してないの。だから賞を取ることも無かった」


客「そうか……、何か察したんだろうな。俺にもわかる。お相手のパイロットはアンタの良い人なんだろ?」


キョウコ「バレたかーw てへ☆ぺろ」


客「そのパイロット、今はどうしてるんだ? あ、なんかすまん。こんなにズケズケと聞いてしまって。答え辛いんだったらムリして答えなくていい」


キョウコ「うーん……、実は私にもさっぱり。軍に居た頃は随分探したものだけど、案外軍を辞めてダイナーでもやってたほうが見つかるかも、と思ってこの店をはじめたの」


客「そうか……、そうだったのか……。見つかるといいな。そのパイロット」


キョウコ「ほんとにそうよねー!こんな美人が首長くして帰りを待ってるんだから、いい加減帰ってきてほしいわw」


客「ほんとにそうだなw ということはそのパイロットはまだ生きている可能性があるんだな?」


キョウコ「うん。あの戦争は激しかったけれど、彼の死亡の事実は確認できなかった。まだMIA(作戦行動中行方不明(者))のハズ……」


客「そうか……、本当に、見つかるといいな……、パイロット」


キョウコ「うん……、そう願いたいものだわ……」



………………



▶ 西暦2053年。キョウコ回想。


キョウコ・コバヤシ管制官「……」


アキツ管制官「キョウコ……、もう、あの人、行っちゃうよ?」


キョウコ・コバヤシ管制官「……うん」


アキツ管制官「キョウコ……、……今!言わないと!きっと後悔するよ!……ココは任せて行きなさい!!」


キョウコ・コバヤシ管制官「……」


キョウコ・コバヤシ管制官「……うんっ!ありがとうっ!!」


▶ キョウコが出撃前のパイロットに駆け寄る。本来であればありえない行為だった。

しかし彼女の想いを前々から知っていた同僚のオペレーターが、ルールを破って彼女の背中を押した。

結果、彼女は出撃前の男の前に、居る。


キョウコ「す、少しだけ!待って!」


男RWパイロット|セイジ「?」


キョウコ「こんなときにゴメンなさい!あ、あたし!あなたにどうしても!伝えたいことが!」


セイジ「……あぁ、それは言わなくても、なんとなくわかる」


セイジ「この戦いが終わったら、俺も君にちゃんと伝えたいことが、あるんだ」


セイジ「……俺は必ず生きて還る。そのときは一緒に食事でもしよう。そのときに、【俺から】君に伝えたい」


キョウコ「……はい」



………………



▶ 再び西暦2055年。



セイジ「もう……、戻ることも無い、と思ったんだがな……」



▶ セイジはかつてのWMDの利権を巡る大国同士の戦争で行方不明になっていた。

宇宙戦闘宙域でA.S.I軍の少年兵【オリヴァー】のRWと激闘を繰り広げ、辛勝。

セイジはRWのコクピットの損傷で脚に大きなケガを負ってしまったせいで歩けなくなってしまっていた。


▶ 命からがら戦闘で激しく傷付いたRWのコクピットから脱出に成功し救難艇に拾われるが、

救難艇のトラブルで地球に不時着。

そして不時着先の集落の少女、パニアに命を救われる。


▶ その後セイジは集落でひとときを過ごすが、セイジの過去をパニアに打ち明けたことで、

パニアはセイジにキョウコに会いに行けと激しく促されてしまった。


▶ その結果、セイジは今、C.F.N軍管轄の空港に居る。



セイジ「しかし、キョウコに会いに行く、と言ったものの……。正直まだ、迷いがある……」


セイジ「……とりあえず、軍へ向かうか」



▶ セイジは車椅子を走らせた。すると、ひとりの男に声を掛けられた。

その男の名は「レイルダース」という。セイジと同じ軍、同じ兵科、

つまりロボティクス・ワーカーのパイロットだ。



レイルダース「お、お前……。お前は……、もしかして……、セ、セイジ?」


セイジ「レイルダース、か。生き残ったんだな。よかった」


レイルダース「セイジーっ!!生きてた!!生きてたんだな!!お前!!ほ、本当によかった!!てっきりもう俺はダメかと思っちまったよ……。ほんとうに……、よかった……」


セイジ「すまなかったな。いろいろあって帰りが遅れた」


レイルダース「いや!そんなことはことはどうでもいいんだ!軍に向かうのか?よかったら送ろうか?」


セイジ「助かる。お願いできるか?」


レイルダース「もちろんだとも!さぁ!行こう!」


セイジ「その……、お前の予定とかは大丈夫なのか?」


レイルダース「そんなんどーでもいいんだ!あ、ちょっとキャンセルの連絡入れて来る。ちょっと待っててくれ」


セイジ「あ、いや、それだったら別に俺一人で軍には向かうから……」


レイルダース「水臭いこと言ってんじゃねーよ!いいな!そこから1ミリも動くなよ!!待ってろよ?!」


セイジ「あ、あぁ……」


………………


レイルダース「お待たせ。じゃあ行くか」


セイジ「本当にすまないな。世話になる。見てのとおりこんなナリだ」


レイルダース「歩けなくなっちまったのか……、お前……」


セイジ「あぁ。RW同士の戦闘で、な」


レイルダース「お疲れ様でした……」


セイジ「なんだよw 急に改まってw あ、メシは食ったか? よかったら奢らせてくれ」


レイルダース「何言ってんだ!勇者様にそんなことさせらんねぇ!メシも奢るぞ!」


セイジ「勇者なのはお前さんもだろうw あの激しい闘いをパイロットとして生き残った。それだけで十分勇者だ」


レイルダース「はっはぁw 俺なんざお前さんにくらべりゃ下の下よw たまたま弾のほうから避けてくれたおかげで生き残れただけよw」



▶ レイルダースの大戦中の撃墜スコアは50機を越えていた。かなりの実力者だ。

しかしそれを決して彼は自慢したりはしない。セイジはそんなところが気に入っていて、仲良くしているパイロットだった。

レイルダースとセイジは久々の再開を喜び合い、空港内のカフェで食事をした。その後、レイルダースの運転するクルマで軍に向かった。

セイジの帰還報告を軍司令官に執り行うためだ。ほどなくしてC.F.N軍基地に到着した。



━━C.F.N軍基地正門前



守衛「おつかれさまです!」


レイルダース「いつもおつかれさん。これ、よかったらみんなで食べてくれ」


守衛「レイルダースさん!いつもありがとうございます!!」


レイルダース「いやぁ、なんのなんの。礼には及ばんよ。それじゃ」


守衛「ありがとうございました!」


セイジ「お前のそういうところ、相変わらずだな」


レイルダース「うーん、なんだろうね。別に好きでやってる♪ 他人に良くしておいて損は無い」


セイジ「言えてる」


レイルダース「よっし、着いた。もう連絡は入れてある。司令は部屋でお待ちだそうだ」


セイジ「何から何まで助かる。ありがとう」


レイルダース「うん。で、逢いに行くんだろ?彼女に」


セイジ「あぁ……、そう……、だな。明日にでも」


レイルダース「バッキャロー!今すぐ行くんだよぉぅ!ほれ!さっさと司令に挨拶してこい!挨拶終わらせたら彼女のダイナーに連れてってやる!」


セイジ「すまない」


レイルダース「あぁもぅ!そんなんいいから早く行ってこい!」


セイジ「ありがとう。では、行ってくる」


レイルダース「おぅっ!」



▶ レイルダースはキレイな敬礼でセイジを見送った。



━━C.F.N軍基地司令室



セイジ「入ります」


基地司令「ご苦労」


セイジ「第11RW大隊所属第3小隊、セイジ・ミズルハ大尉、ただいまエリア7戦闘宙域における防衛戦闘任務を終了し、帰還いたしました。第3小隊、人員4名、RW4機、人員装備は私以外はすべて失いました。以上で報告を終わります。」


基地司令「よくぞ……、生きて戻った。報告書を待っている」


セイジ「はい!ありがとうございます!」


基地司令「その……、脚は……、悪くしたのか?」


セイジ「はい、不覚ながら……」


基地司令「いや……、その、よく帰ってきた。今はとにかく休め。今後のことも報告書もゆっくりでいい。宿舎も好きに使え。お前の部屋はそのままにしてある」


セイジ「ありがとうございます。その……、司令。今から少し外出させていただいてもよろしいでしょうか?」


基地司令「あぁ、それは構わない。好きにしたらいい」


セイジ「ありがとうございます。それでは、また。失礼します」


基地司令「あぁ、気を付けて」



━━レイルダースのクルマ



レイルダース「終わったか!すぐ行くぞ!乗れっ!!」


セイジ「あぁ、頼む。ありがとう」



━━キョウコのダイナー近くの路地



レイルダース「じゃあ、俺はここまででいいだろう」


セイジ「えっ?」


レイルダース「いやいやいや、ここから先、俺がついていくのもヤボってモンだろうよw ほら!彼女!店先に居るぞ! 早く行ってこい!」


セイジ「あ、うん。まぁ、そうだな。本当に、いろいろありがとう」


レイルダース「また連絡くれよな!あ、俺ちゃんと連絡先教えたよな?」


セイジ「あぁ、このコーネリア端末にきちんと記録させてもらった。ありがとう」


AI端末|コーネリア「レイルダースさぁん♪ またよろぴこ~☆彡」


レイルダース「コーネリア、しっかりセイジのモニター、頼むぜ」


AI端末|コーネリア「承知♪」



━━キョウコのダイナー前



セイジ「その……、えーっと、お久しぶり……」


キョウコ「……」


セイジ「えっ?あの……、セイジなんだけど……、忘れた?もしかして」


キョウコ「……」


キョウコ「……」


セイジ「あの……、今まで音信不通で、本当に、すまなかった……。実は……」


キョウコ「……ほ、本当に、セイジ……、なの……?」


セイジ「あぁ、こんな姿になっちまったが、なんとか生きてる。わっ!ちょっ?!」



▶ キョウコはセイジを車椅子ごと抱きしめた。



セイジ「本当に、すまない……」


キョウコ「本当にセイジなのね……。生きて還ってきたのね……。 ぅうわぁぁぁあああんんんっっっ!!!」


セイジ「あの……、ちょっと店の中に入らせてもらっていいか? なんかこのままだといらぬ誤解を……」



▶ キョウコとセイジはダイナーの中に入った。

キョウコは本日臨時休業の看板を出した。

ダイナーにはキョウコとセイジの二人きり。


▶ セイジはこれまでのことをキョウコに話した。

戦闘で傷付いたこと、

地球に不時着したこと、

集落の少女に救われたこと、

自暴自棄になって今まで姿を隠していたこと、

そして集落の少女にキョウコに会いに行くように促されたこと、

すべて、すべてキョウコに話した。

そして、キョウコは言った。



キョウコ「その集落の少女、パニアって子? きっとセイジのこと、好きだったのよ」


セイジ「えっ? あ、あ……、そうなの、か?」


キョウコ「そうに決まってる。だけど私にセイジを譲ってくれたのよ、その子。あとで御礼を言いにいかなくちゃ。あ、新婚旅行はその国にしましょう」


セイジ「え?新婚旅行って、ちょ、ちょっと??」


キョウコ「アタシ、アナタのこと何年待ったか、知ってる? 私が6歳のときにセイジに遊園地の止まった観覧車から救ってもらったときから好きなんですけども」


セイジ「そんなに前から? 俺まだ16(歳)じゃん……」


キョウコ「あ、なんか私からプロポーズしちゃった。なんかこんな昼下がりのダイナーでロマンもクソも無いわねw」


キョウコ「ちょっと着替えてくる♪ ちょっといいお店にこれから行きましょう。そこで仕切り直しよ♪いいわよね?イイに決まってるわ。行くわよ」


セイジ「ア、ハィ」



▶ その後セイジとキョウコは、無事にゴールインした。

ここはとある結婚式場……



レイルダース「おめでとう!セイジー!!」


AI端末|コーネリア「オメデトー!」


基地司令「おめでとう」


ダイナー客「おめでとう」


セイジ「あ、あの……、結婚式場、ホントに【ココ】でよかったのか?」


キョウコ「なぁに?わたしの【城】よ、ココ。結構繁盛してるんだから」



▶ 結婚式場はキョウコが切り盛りしているダイナーだった。



セイジ「い、いや、お前がいいんだったら別にいいのだけども」


セイジ「しかし、あらためて見ると、良い店だな。手入れが行き届いている」


キョウコ「ふっふーん♪ そうでしょ? 褒めたたえよ♪ あ、料理はみなさんセルフで勝手によろしく~。あー、君はバッテリーチャージね。電源はココよ♪」


AI端末|コーネリア「あたしも料理、食ベタイ……」


レイルダース「キョウコ、ありがとう♪ しかしセイジ、お前また歩けるようになってよかったな♪」


セイジ「あぁ、軍規格の義足を使わせてもらえることになった。RWにも乗れる。(RW)教官職に就かないかと誘われた」


レイルダース「で、どうするんだ?その教官職」


セイジ「うーん……、どうするかな……。しばらく考えたい」


基地司令「別に答えは急がなくていい。好きにしたらいい」


セイジ「ありがとうございます」


ダイナー客「パイロットさんにまた会えてよかったな」


キョウコ「うん。ようやくよ……。何年越しかしら……。本当に、よかった……。あの戦争で、多くの犠牲は出てしまったの、だけどね……」


レイルダース「まぁ……、そうだな……」


セイジ「ドリー……、アーガス……、タタラ……」


レイルダース「献杯、しよう」


セイジ「あぁ、そうしよう」


基地司令「献杯」


ダイナー客「献杯」


AI端末|コーネリア「献杯」


キョウコ「献杯。すべての、失ってしまった、仲間に。献杯」



▶ 食卓には戦闘で亡くなったドリー、アーガス、タタラの写真が暖かな日差しに照らされていた。

その写真の姿はどれも笑顔でセイジとキョウコの門出を祝っているようだった。



レイルダース「さぁ♪ 献杯も終わったし、少し店の外に出ないか?」


セイジ「えっ?あぁ、別に構わないが……」



▶ キョウコの店の中に居た人々が一歩店の外に出ると、C.F.N軍のかつての同僚達や家族、友人が勢揃いしていた。



アキツ管制官「キョウコ~♪ お久~♪ おめでとうっ! ふたりともっ!」


アイカ整備士「おめでとうございます!」


モモカ整備士「すみません、仕事で少し遅れました」


キョウコのママ「もぅ……、急にあなた達結婚するんだもの……。まぁ、でもおめでとう♪」


キョウコのパパ「キョウコぉぉお……、おめでとーぉぉぉ!」


キョウコ「ありがとう!みんなっ!」


セイジ「みなさん、お越しくださり、本当にありがとうございます」



▶ セイジとキョウコの仲間達は口々に二人を祝福し、花やお祝いの品を二人に渡した。

セイジとキョウコは皆から受け止めきれないほどの祝福を受け取った。

よく晴れた日曜の昼下がりだった。

こうして二人の結婚式は晴れやかに、大きな祝福の中で、皆の笑顔に包まれ、執り行われた。


二人はいつまでも幸せに暮らした。



...fin


---


【主要登場人物紹介|C.F.N軍】


◎セイジ:RWパイロット。搭乗機体は「バーニングアタッカー」


◎キョウコ・コバヤシ管制官:RW管制官。セイジに想いを寄せている。


◎アイカ・タナカ:RW整備士。


---


【主要登場人物紹介|A.S.I軍】


◎オリヴァー:RWパイロット。まだ少年の体躯ながら卓越したRW操縦技術を誇る。


◎ボブ・アンダーソン司令:A.S.I軍総司令官。


---


【主要登場人物紹介|民間人】


◎パニア・エンデバー:セイジを救った集落の少女。


---


【用語】


・ウェルカム・マスドライバー:略称「WMD」。宇宙資源を迎え入れる巨大なレール。レールの中は住居になっている。


・ロボティクス・ワーカー:略称「RW」。人型汎用作業機械。全高15メートルの搭乗型ロボット。


---


【物語登場国家の設定|C.F.N軍】

Coalition of Free Nations(自由国家連合)

略称:C.F.N

構成:

・民主主義国家群

・WMDの共同管理を掲げる

・宇宙資源の共有化を理念とする


---


【物語登場国家の設定|A.S.I軍】

Alliance of Strategic Integration(戦略統合同盟)

略称:A.S.I

構成:

・東方ブロック

・南アジア圏

・社会主義的価値観を共有する国家群

・宇宙資源の国家独占を掲げる陣営


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【ロボティクスメイカー|設定紹介】

今回のエピソードのイメージイラストはコチラ↓

https://x.com/FDFyukiharu/status/1729085052171247864?s=20

※セイジとキョウコの別れのシーン


ロボット「バーニングアタッカー」のイラストはコチラ↓

https://x.com/FDFyukiharu/status/2095862659753378148?s=20


ロボティクスメイカーの公式サイトはコチラ↓

https://robotics-maker.jimdofree.com/


---


【物語登場兵器紹介|SQB】


┏■┓

 Ⅱ


上記物体はSQBのトップビュー(真上から見た図)を表している。

以下は各パーツの説明↓


■:スクエアボックスのボディ。六面体のサイコロのようなシンプルな形状をしている。


┏:右メインアーム


┓:左メインアーム


Ⅱ:小さなサブアーム(2本)が機体の中央寄りから生えている


---


【年齢計算の例@40歳の整備班員|2020年代基準|150歳寿命設定】


100:150=X:40

150X=4000

X=26

第1話の前日譚です。

第1話はこちら▼

https://ncode.syosetu.com/n9533le/5

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