「生きた羊」
神戸の医師に匙を投げられた夫を連れ、妻の幸代は東京の病院を訪ねる。しかし手の施しようはなく、帰路の新幹線で夫は「羊を担いだ話」を語り始める――あの暑い夏、シップチャンドラーで働いていた若き日の記憶。「死ぬかと思ったが、生きていた」あの瞬間。夫婦が共に歩んだ30年の月日が交差し、今ふたたび神戸の地へ戻る車内で、幸代は夫の手を握りしめる。──これは一頭の羊と、一組の夫婦が紡いだ、小さな奇跡の物語。
第1話「生きた羊 ―― あの日の鼓動を抱いて」
2025/05/29 17:00
第2話「生きた羊、灼熱の埠頭へ」
2025/05/30 17:00
第3話「最終話」
2025/05/31 07:00