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清掃員クリア、ギルド長を脅す。

 ライラさんがオレに対しての言葉に詰まっていると。

 後ろからハゲのギルド長が口をはさんできた。


「おう、ライラ、そこのガキがゴッドブレスの言う通りだってんだ。それでいいじゃねえか。ゴッドブレスのパーティ戦闘には天の称号持ち以外はついていけねえって事だ。冒険者登録の時に注意事項としてマニュアル化しとけ」


 解体場のマチオ親方と双子だっていうギルド長のボルドの言葉が冷たく響く。

 でもオレはそれでいいと思ってる。だってまだオレはゴッドブレスには勝てないから。


「ギルド長!」


 ライラさんはギルド長のあまりにドライな言葉に、バンと机を叩いていきりたつが、結局それ以上は何も言わなかった。ライラさんにもわかってんでしょう?


「おう、ガキ、これで身の程を知っただろう? これからも大人しくギルドの雑用で慎ましく生きてけや。スキルを得たオメエはもう成人扱いだからよ。給料は日当銀貨三枚にしてやるからよ! ガハハ!」


 てめえ。クソハゲ。

 銀貨三枚? しゃーしゃーと言いやがって。こちとらもう相場を知ってんだよ。

 よくも今までこき使ってくれたな。


「へー三枚ねー。そうかーありがてーなー」


「だろ? しっかり働けよ」


「ギルド長!」


 銀貨三枚と言った事への怒りの目をギルド長に向けたライラさんだけど、それに帰ってきたマッチョハゲギルド長の威圧的な視線にまた黙ってしまった。

 くく。ギルド長め。調子に乗るなよ。


「あーありがてーなー。なんか、成人になった記念にさー。成人前までオレを使ってくれたこのギルドへの感謝をガルグの街の領主様に伝えたくなってきたなー。毎日もらえる銀貨一枚で買うカッタいパンの味も添えてさー」


 棒読みの台詞へニヤリとしたオレの笑顔を添えるぜ。


「が、クソガキ!?」


 そんなオレの言葉にギルド長はたちまち慌てる。

 そりゃそうだろうよ。

 このガルグの街のある伯爵領じゃ成人前のガキを労働させるのは禁止されてるからな。それをやってたのを領主様に伝えたら少なくともこの冒険者ギルドガルグ支部の頭はそこのハゲた頭からすげ変わるだろうぜ。

 オレが死なねえようにそのリスクを背負ってオレを使ってくれてたのはありがてえし感謝してる。

 けどな、これからも同じように搾取しようなんて考えてんならこっちにも考えがあるぜ。


「一日三枚かー。毎日うまい飯が食えるかなー?」


 チラ。


「ぐ、八枚にしてやる」


「八枚かー。そっかー。感謝が止まんねーなー。領主様、ガルグの街のギルド長はとても慈悲深く優しい方ですって伝えてーなー。この気持ちは銀貨十五枚あればオレの心の中におさまりそうなんだけどなー」


 チラチラ。


「じゅ、十五枚!? バカ言うな! 相場の五割り増しじゃねえか……って……あ……」


 く、バカなハゲだぜ。

 自分で相場言ってんじゃねえか。十年間孤児としてサバイブしてきたオレを舐めすぎなんだよ。


「ま、相場はバーバラのばーさんに聞いて知ってんだけどな」


「知ってんじゃねえか! クソガキが!」


「だからちゃんとクリアくんに言うべきだって言ったじゃないですかギルド長!」


「いや、良いんだよ、ライラさん。オレはここで使ってもらえた事自体は感謝してんだ。それにオレはもう雑用はしないから、日当はあんま関係ないよ」


「え……じゃあどうするの?」


「オレ! 冒険者になるよ! ライラさん!」


 ハゲギルド長、ライラさんの二人からは、オレの正気を疑う視線が向けられた。

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