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清掃員クリア、希望を抱く。

 神から与えられたのが生活系スキルだったから冒険者にはなれない。


 そう言ったオレに向かって、ばーさんはポカンとした顔で言う。


「あんた何言ってんだい? 生活系スキルだって冒険者にはなれるよ」


 は? ばーさんが何言ってんだ?

 冒険者といやあ戦闘系スキル必須だろ?


「え? だってみんな戦闘系のスキル持って……」


「そりゃあんたが一流パーティしか見てないからさ。ダンジョン最深部へアタックしてるような奴らは、そりゃあ強い戦闘系スキルを持ってるけどね、冒険者ってのはそれだけじゃないよ。低層での採取だったり、そこでモンスター素材を狩ってたり、なんならあんたが今までやってたような雑用だったりって色々あるんだよ」


「は? マジで? 戦闘系スキルじゃないと冒険者登録できないんじゃねえの?」


「ギルドにそんな規定はないよ。その証拠にあたしだって戦闘系じゃないけど冒険者登録してるよ?」


 ちょっと待ってな。

 そう言ってばーさんの背後に据えられたキャビネットをゴソゴソと漁って古ぼけた一枚のカードを取り出した。金属で出来たカードにバーバラと記名されている。

 にぶく銅色に輝くそれは間違いなくギルドカードだ。


「え? じゃあマジでオレは冒険者になれるのか? 銀貨一枚で一日こき使われなくて済むのか!?」


「ああ、なれるよ。ってあんたあの仕事を銀貨一枚でやってたのかい?」


「おう!」


「バカだねえ。冒険者になれば最低ランクだってその十倍は日当が出るんだよ? ガキが生きてくために仕方ないのはわかるけど買い叩かれすぎだよ」


「十!?」


「ああそうだよ? ギルドもアコギな事をするねえ」


 あまりのショックに言葉もでねえ。

 安く使われてたのはわかってたし。ギルドもオレを使うのに少ながらずリスクを背負ってるのもわかってた。だからって十分の一のギャラはひでえなー。

 それでもまあ、あの金がなかったらオレは今頃死んでたのも事実だ。


「悔しいけどあれのお陰でなんとかここまで生きてこれたんだ。感謝はするよ」


「はっ、あんたのそういうとこは長所であり短所だね。そんなあんただからあたしも助けたし、他の人間もあんたに手を貸したんだろうさ。まーもうちょっとずる賢く立ち回ってもいいとは思うけどね」


 それは我ながら思うけどよ。


「それができたら銀貨一枚でこき使われてねえよ」


「ま、そうだね。あんたのそのバカさはそのままにしとくといいよ」


「バカってなんだよ! 口の悪いババアだな!」


「カカカ、あんたの口の悪さも相当だよ」


「二人ともそっくりね」


「こんなババアと一緒にすんなよ!」

「こんなガキと一緒にしないでおくれ!」


 オレとばーさんの声が揃い、顔を見合わせると。

 そんなオレらを見て、テラがコロコロと笑った。


 こうやって珍しくばーさんは夜更かしをする事になった。

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