暗い部屋
目を覚ますと暗い部屋がいつも待っている、目覚めるこの瞬間が何よりも苦しかった。
いっそ、夜の内に全て終わらせてしまって、そのまま覚めることのない暗闇に溶けてしまいたい。
ただ、そんな勇気は無かったのだ、そもそもそんな勇気があるのならば僕はこんな生き方はしてこなかったはずだろう。
叶えられない願いを心に浮かばせながら、重たい身体を起こす。
どうやら彼女はもう仕事に出たようで、僕の隣は空っぽだった、少し乱れたシーツに触れるとあたかかった、彼女の残した温もりを少しでも身に残したくてシーツに顔をうずめた。
あたたかい。
それと一緒に僕の心の中に冷たい何かが生まれる。
それは嫌悪だった、こんな気味の悪い行為をしてまで彼女に心の安寧をもたらしてもらおうとする、
自身への強い嫌悪だ。
ああ、僕はまだマシな人間なのだと
それで毎朝自身を慰めていた。
僕はまだ客観視を出来ている、まだ自分を見つめ直すことが出来る。
まだ手遅れではない、と。
そう思うと僕を責める声が少し鳴りを顰めてくれる気がした、今の僕にとってはそれだけでも十分に安らぎを感じることが出来た。
僕の一日は毎朝、苦痛に満ちていた。
僕の罪がこの責め苦で濯がれることは決して無い。
陽の光は苦手です。