潜入水神会編⑧〈烈島の覚悟〉
烈島が放ったスタングレネードの光が収まると、周辺には光と音によって倒れ込んだ人達が見える。
「目は少しぼやけるな..」
烈島が桐崎の方に目をやる。
そしてその目に映った光景に烈島は驚く、
そこには桐崎が左目のみを大きく開き、烈島目の前に立っていた。耳からは血が流れている。
(まさか、片目と聴覚を犠牲にして片目だけ守ったのか?)
「俺は会長と若にあの地獄から、研究所から助けてもらったから..こんなところじゃ死なねぇ..この世界に復讐すんだよ」
よろよろと烈島に近づき手を触れようと伸ばす。
(まずい避けられない!)
虚をつかれた烈島は避けられる体勢になかった。
受け流そうにも、烈島の右腕はもう感覚がない。
「くそ!」
烈島は左手でボールペンほどの大きさの爆弾をクラフトし、桐崎との間で起爆する。
ドンッ!
両者は爆風で弾け飛ぶ。
「ガハッ」
しかし桐崎は止まらない。
落ちていた小刀を拾いあげ、烈島に向かって走り、切り付ける。
スパッ
桐崎が振った小刀に、烈島が守ろうと出した左手の手のひらは血飛沫をあげ、横一線に裂かれる。
「クハッ」
「フヒヒ アハハ、殺してやるぞ全員」
(一旦距離を取らないと..)
烈島は自分の後ろに本堂の入り口があることに気づく、
「ここまで吹き飛んだか」
烈島は追い迫る桐崎を横目に本堂の中に入る。
桐崎も狂気の笑みを浮かべながら烈島を追っていった。
桐崎は本堂の中に入るが、烈島の姿を見失う。
本堂のロビーを進むと、地面にしゃがんだ烈島を見つける。
見つけるや否や、桐崎は烈島に向かって小刀を振りかざし飛びかかる。
「もうお前を倒すにはこれしかねぇ..」
桐崎はあることに気づく、周辺の床や、家具、壁などには、桐崎と烈島を囲うように無数の爆弾が設置されている。
「貴様..」
(あとはレントさんがやってくれる。)
「桐崎ぃ付き合えよ。一緒に逝こうぜ!」
そういうと烈島はニヤリと笑みを浮かべ起爆スイッチを押す。
本堂一階を爆炎が包む..。