資格試験編㊿〈電脳フェーズⅠ〉
「ひひひ、うまくできた!」
岩本はその場で飛び跳ねながら喜んでいる。
岩本は勝ち残っている他3名(タイガやケンゴ、白金)のような精製術の熟練度や万能さはないが、それを補う、感の良さや動体視力、運動神経、そして発想力があった。
タイガはゆっくりと立ち上がる。その胸には斜めに切り付けられた跡があり、服に血が滲んでいる。
「おまえも"持っている"のか?」
「ん?何を〜?」
「まーいい。どうやら少し舐めていたようだ。本気で相手してやるから覚悟しな。」
タイガが攻撃を受けたのは第一試験から始まったこの試験期間の中で初めてのことであった。
相手を強者と認め、集中して構える。その構えは掌拳法のように掌を相手に向けた構えだ。
「電脳解放 フェーズⅠ」
タイガの様子が変わる。瞳孔の色は黄色く変化し、体からは電気が迸っている。
「なんだ..あれは」
「姿が変わった?」
観客席の関係者たちも自身の体にクラフトを施すような異様な技にざわついている。
岩本は警戒して構える。
するとタイガは踏み込む動作すら見せず、瞬時に岩本の前に現れ、帯電した掌で掌底を打ち込む。
岩本は咄嗟に両腕で防御するが、その威力は強く大きく後ろに吹き飛ばされる。
「がっ」
岩本は帯電したタイガの腕に触れたことで、ビリビリと感電しながら大きく飛ばされていく。
そしてタイガは体からさらに大きな電流を放ちながら飛ばされる岩本に向かって飛びあがる。
そして岩本に追いつくと上空から岩本へ向け体重を乗せた掌底をもう一発打ち下ろす。
「がはっ」
岩本は腹部にタイガの掌底を受け地面に打ち付けられ、地面に大きくヒビが入る。
タイガはゆっくりと振り下ろした拳を引き、岩本を見下ろす。
「強い..」
「身体強化とも違う、なんなのあの力は?」
烈島と志野川もその強さに驚く..
観客席の関係者もその強さに圧倒されるように、呆然と、そして静かにその試合を見つめる。
「クラフトとは関係のない話ですが、脳科学の研究で電流を脳に流し込んで、身体能力の一時的な飛躍的向上を起こすという研究記事を見たことがあります。彼はもしかしたらそれを..」
井上が烈島と志野川に話す。
違う席で見ていた山神も井上と同じ考えを浮かべていた。
「彼は一体どこでそんな技術を?」




