資格試験編㊺〈限界突破〉
野田は白金に拳を伸ばして攻撃する。
だが白金はその攻撃を手の甲で軽く弾く。
すると野田の腕が大きく弾け飛ぶ。
「なに!?」
「いくぜ!」
白金は地面を蹴りすごい速さで野田へ向かう。
「くっ」
伸びた残りの3本の腕で白金を捕らえようとするが、一瞬で白金を懐に潜り込ませてしまう。
「腕を伸ばしたことが仇となったな。」
白金は精製力を纏った渾身の拳を野田のガラ空きの腹へ突き上げる。
「ガハッ!」
「!?」
大きく上空へ撃ち上げられる野田。その高さは、フィールドよりせり上がった8mの壁上にある観客席の目線とほとんど同じになるほどの高さだった。
「なんて威力」
観客席の関係者たちも驚きの声を上げる。
そして白金は野田に向かって飛び上がる。
上空で腹を抑え苦しがる野田の元まで到着すると回転しながら蹴りを浴びせる。
「うがぁ」
野田は勢いよく地面に叩きつけられ、地面のタイルを破壊する。
「ぐ..くそ」
野田はゆっくりと起き上がろうとする。
その目の前にはそれを見下ろす白金が立っている。
「見下ろしてんじゃねーぞ」
野田は手にナイフを持ち、白金に向かって突く。
白金はそれを防御せず、ナイフは白金の右胸のあたりに突き立てる。
しかし。ナイフは刺さらない。
「なぜ..」
白金の体には精製力を纏われている。
白金は拳を握ると、両手の拳を連打し浴びせる。
その拳は目視では見えなくなるほど早く動き、その度に野田の顔が跳ね上がり、鈍い音が響く。
「強い..」
「圧倒的だ..。」
呆然とする烈島と志野川の元に、火善がやってきて、隣に座る。
「あいつはおまえらとは違う部分を伸ばしたようだな。」
「私たちと違う?」
「お前達は戦闘の幅を増やし、スタイルを確立させたが、あいつは身体強化の上限を高める練習をしていた。」
「ふっふっ〈限界突破〉じゃな。」
山神も話に入ってくる。
「限界突破?」
「身体強化ができるものは最初からある程度の力を引き出せる。だが、繰り返す練習と資質によってその上限を超え、さらなる力を引き出す者もいる。それが限界突破じゃ。」
「まだまだ引き出しきれていない様ですがね。」
「ふむ。じゃが、入隊前の新人とは思えない資質じゃな。
限界突破ができるかできないかは、昔から中位隊員がぶつかる壁と言われている。」
「さすがレントさん」
白金は体が動かなくなった野田の首元を掴み上げる。
「一回戦の相手はお前がやったのか?」
「はっ勝手に転んだんだろ?」
白金は右手でナイフをクラフトし、野田に突きつける。
「切られようが俺は再生するぜ?」
白金は野田の皮肉を聞いてニヤリと笑う。
「ははっ、なら切り放題ってことだな。
だが..痛みは感じるんだろ?」
不敵に微笑みかける白金と睨みつける野田。
「けっ!あんな雑魚片付けたところで、結果は変わってねーよ」
野田が吹っ切れた様に白状し始める。
「それだけ聞ければいい。俺には関係ねーしな。もう寝てろ。」
白金はそういうと右手のナイフを離し、精製力を纏った拳で思い切り野田を殴る。
その威力に野田はフィールド端まで飛ばされる。
そして白目を剥き意識を失っている。
「試合終了!勝者は白金レントさん」
観客席の関係者たちも自然とその試合に拍手を送る。
そして各々の感情でその試合を見ていた選手たちの姿があった。




