資格試験編㊷〈疑惑の改変クラフト〉
「やべ次俺だから行かねえと」
白金は次の試合に向け急いで入場口に向かう。
烈島と志野川は観客席の山神と瀬川の元へ合流する。
「おう、お前たち、惜しかったのう。
治療はいいのか?」
「レントさんの試合を見逃すわけには行かないっす。」
「おまえ..ぼろぼろじゃ」
志野川も傷だらけだが、特に烈島のダメージは酷く、応急措置だけでも包帯だらけだった。
白金は入場口に着くと後ろから声をかけられる。
「おい、白金レント」
そこには逸見クレドがいた。
「よう逸見、お前の友達はどうだった」
「命に別状はないが意識はまだ戻っていない。
あいつは友達って訳でもねーが、仲間なんだ...。おまえ、あいつに勝てるのか?」
「ふっ、そんなことを聞きに来たのか?
安心しろ、お前の仲間の件にあいつが関わってるかどうかはともかく、元々あいつのことは気に入らねーんだ。
ついでにお前の想いも晴らしてやるさ。」
そういうと白金は入場して行く。
フィールド上で不敵に笑う白金と睨みつける野田。
「調子はどうだゲス野郎」
「笑ってられるのも今のうちだ白金レント、お前は俺には勝てない。」
火花を散らす2人、そして試合開始のアナウンスが鳴る
「Dブロック二回戦 試合開始!」
白金は相手の出方を様子を見る。
一回戦を不戦勝している野田は戦い方が不明だからである。
「ふはは、びびったか?」
野田はそういうと白金に向かって走り出す。
体には精製力を纏っている。
(身体強化までの過程が早い..。)
白金はその精製力の扱いを見て、実力者であることを悟る。
野田は一定の距離まで行くと足を止めて拳を振り上げる。
(あそこから近接戦闘はない。クラフトか?)
野田はその拳を白金の方へ向け振り抜く。
するとその腕が伸び、数メートル先の白金に向かう。
「いっ!?」
白金は咄嗟にガードするが、威力もなかなかの強さでガード越しにも押される白金。
「今のは何だ?」
観客席の関係者たちも驚きを見せた。
「これは問題じゃの」
山神がそう呟く。
「問題?何がです?」
志野川が山神に尋ねる。
「あれは改変クラフトだね。」
瀬川が烈島と志野川に説明を始める。
「改変?」
「一から作り出す普通のクラフトと違って、既にある物体の形を変えたり付け足したりする精製術だ。」
「それが何かもんだいなんですか?」
「いや、改変クラフト自体は高度なテクニックだが、問題はない。上位隊員では使う者も多い。
例えば、白金はよく、鉄の柱を曲げたりしているが、あれは無意識的に改変クラフトができている。
改変クラフトは熟練度が高いと、精製した物に改変を繰り返し自由自在に操れる様になる。
だが問題は〈改変クラフトは自分が精製したものにしかできない。〉ということだ。」
「自分が精製したもの..
あっ、じゃああの腕は..」
「そう、あの腕は精製されたものの可能性がある。
お前たちも知ってる通り、人体などの生物的精製術はほとんど解明されていない。
一部の植物のクラフトや傷などの治癒を早める精製術、身体強化術しか今のところは公表されていない。
もし、野田カムラのいる第五支部が人体の欠損部位を精製する技術を解明していたとしたら、その一大発見を公表せずに隠していたことになる。」




