資格試験編㊵〈鳴神家の継承者〉
観客席の山神はそれを聞いて話し始める
「やはりあの噂は本当だったか..」
「噂..ですか?」
任務中のはずだが、山神の隣に座っていた瀬川が尋ねる。
鳴神家は精製革命初期、蒲生清作に取り入り、精製術の理解を最も速く深め、様々な技を開発した。精製術において鳴神家は名門中の名門と言える。そしてその名家が行き着いた先が〈雷の精製術〉じゃ。」
そして先代亡き後、その後継となり得る2人の子のうち、兄は技の継承を拒み、雷の精製術を独自の型に変え自己流に生きている。
そして弟は鳴神の技を受け継ぎ、その技を磨き続けている。
だが、ある問題が起きた。」
「問題ですか?」
「鳴神タイガが先ほど見せた精製術の万雷殄滅は、先代の奥義とも言える技で継承の証とも取れる技じゃ、鳴神タイガは独学でその境地へ辿り着いた。
ちなみに鳴神ケンゴはその奥義を受け継ぐ前に先代は亡くなっているため、その技の継承を受けていない。
このことがあり鳴神家は、才能だけで奥義を扱えるようになった鳴神タイガを正統後継者とする声と、多くの技を引き継いだ鳴神ケンゴを正統後継者とする声で二分されているそうじゃ。」
「後継者争いですか..」
「いや、実際には当の本人の鳴神タイガは後継に全く興味はないらしく、争いには発展していない。周りが囃し立てているだけじゃ。」
「それなら大きな問題は..」
「まぁ、そうじゃのお、だが鳴神ケンゴからすれば面白くない話じゃろう。
それに二分に対立した一家は名門も型なしといったところじゃ」
「なるほど、お家柄というのも難しい問題ですね。」
ケンゴは腰にしまった刀に手をかけ、列島を睨む。
(またあそこから一気に踏み込んでくるか..?)
「抜刀術: 紫電の晄」
烈島の考えとは反対にその場で刀を抜くケンゴ
刀が抜かれると同時に刀に帯びた電流が眩く輝く。
その場で抜いた刀は、本来届く距離ではない烈島に向かって刀に纏われた雷が伸びて行く。
「うお!間に合わない!」
烈島は自身の近くに小さめの爆弾をクラフトすると爆発させ、その爆風でケンゴの技を避ける。
「くっあぶねぇ」
烈島がケンゴの方を向くと、既にケンゴは次の型の構えに入っている。
刀を烈島に向けて構え、静止を保つ。
「稲妻一刀」
言語がこう呟くと、ケンゴがふっと消えたかと思うと電流がビリリと走り、電流の先へケンゴが移動して行く。それを繰り返し、烈島を翻弄する。
「速すぎて瞬間移動している様に見えるぜ..
いつだ、いつ打ってくる。」
次々と移動して行くケンゴを注意深く見ながら、攻撃に構える烈島であった。




