資格試験編㉙〈意外な結末〉
「ぐっ」
その場に膝をつく逸見。
「今すぐ治療すれば、致命傷には至りません。降参してください。」
「ふざけんなよ..。まだ、何もできてねぇんだよ。
・・・俺は負けねぇ!」
逸見は腹を抑えながら立ち上がる。
「クラフト:重装機械兵-ロボフォーム!」
逸見の姿が機械に覆われた大きなロボの様な姿に変化する。
「重装機械兵だと..?」「そんなものをクラフトできるのか?」
会場の関係者たちがざわつく。
「どうしたんだ?あいつら」
白金は井上に聞く。
「驚くのも当然です。重装機械兵は軍が最近導入した最新の兵器ですよ?
兵士が着用することにより、強固な装甲に加え、機動力と圧倒的な火力を持つことのできる兵器です。
一般の方にはロボ兵とも呼ばれていますね。
軍でもまだ数台しかないとされてますから、それがクラフトできるとなると..」
軍でもまだ量産できていない兵器をクラフトできるということは、個人で兵器の量産が可能ということになり、一個人で強大な軍事力を保持することができるのである。
各支部長や関係者たちは、その場に居合わせている第三支部支部長に詰め寄る。
第三支部の支部長は小太りの中年の男であり、横田ツギハルといった。他関係者から重装機械兵のクラフトについて尋ねられると、おっとりと答える。
「まぁまぁ落ち着いてくださいみなさん。
彼はフォームクラフターですから、自分の身に纏う物しかクラフトできないのです。
ですから量産も軍事利用も不可能です。」
逸見はロボフォームの姿で拳を振り上げ、メイを狙う。
するとメイはその場で手を挙げる。
「参りました。降参です。」
「は!?」
逸見はあっさりと降参したメイに驚き、拳を止める。
「試合終了!勝者 逸見クレドさん」
メイはくるっと後ろを向くと出口の方に歩いていく。
「おい待てよ!これからだろうが!」
「なんと、あっさりと..」
観客席で見ていた山神もそう呟く。
「あの子は身体強化をまだ上手くコントロールできないんです。現時点であの子には強化された矢は一発しか撃てなかった。
だから全てはそれを当てるための作戦だったはずです。」
「なんと..あえてダメージを与えられない矢を死角から打ち込んだのも、居場所が相手にバレたこともそのためか..?」
「ええ、全ては油断した相手に強力な一発を命中させるため。
だがあれで倒れないのであればあの子は勝てない。最終的には逸見君の意思が上回ったということですね。」
「いやいや、本当に良い勝負でありましたな。」
橘メイと逸見クレドの試合は、逸見クレドの勝利で終わった。
だが、負けたメイにも多くの称賛の声の上がっていた。
また、重装機械兵をクラフトした逸見にも注目が集まる試合となった。




