資格試験編㉘〈メイの強さ〉
メイはコンテナの裏に潜む。
そして右手に矢をクラフトし、構える。
しかしメイが構える先には逸見の姿はない。
すると明後日の方向に矢を放つメイ。
放たれた矢は大きく曲がり、吸い込まれる様に逸見に向かう。
「っく、また!」
逸見は四方八方より飛んでくる矢に反応できず、矢は逸見の肩に刺さる。
「どうなってんだ?あの矢の軌道」
白金は観客席で戦いを見ながら、ぼそっと呟く。
「あれは、矢羽根のせいですね。」
「うお!」
白金の隣にいつの間にか座っていた井上がそう話す。
「お前いつから!」
「集中してらっしゃったので..」
「で?矢羽根って?」
「矢羽根は矢の後方についている矢を安定させるための物ですが、橘さんは矢羽根の大きさ、形などをクラフトをする時に調整して、矢が受ける空気抵抗を読み、逸見さんに向かわせている様です。」
「そんな空気抵抗なんて読めんのか?」
「普通は無理ですね。圧倒的な知識量と経験がなくては..」
別の観客席の関係者席では山神と第四支部支部長の日比野が試合を観戦している。
関係者席には他の支部の支部長や幹部もいる様だ。
「橘メイ候補生は優秀ですな。」
「ええ、メイは姉のレイやアイに比べて、精製の才能や運動神経には恵まれていませんが、姉妹の中で最も切れ者でしてね。
作戦立案能力や状況判断能力は随一なんです。」
「将来の指揮官候補ですな。」
メイは矢を同時に3本放ち、それらが軌道を変え逸見を襲う。
大量の矢が多方向より同時に襲いかかり、
逸見の体に刺さる。
「・・・ふっ...はっはっは」
なぜか笑い出す逸見。
「残念だな、橘メイ
確かにお前の作戦は見事だ。なかなかできることじゃねぇ、
だが、威力不足だ。」
そう言うと逸見の体に刺さっていた矢の一つを抜く。すると、その矢には血の一滴も付いていなかった。
「お前の矢は俺の鎧を貫通できない。
それにお前が矢の数を増やしてくれたことで一つ分かったことがある。
一箇所だけ飛んできてない方向がある!」
逸見はそう言うと走り出し、近くにあったコンテナを蹴り上げる。
「見つけたぁ!」
コンテナの裏にはメイの姿があった。
しかし、メイは冷静な顔をし、弓を逸見に向ける。
「何度やっても同じだあ!」
逸見は自分に致命傷を与えることのできない矢の攻撃を意に介さず、剣を振り上げる。
「全てブラフです。全てはこの一投のため」
めいはそう呟くと、矢を放つ。
その矢は先程より早く、そして真っ直ぐに逸見へと向かう。
「ガハッ」
矢は逸見の脇腹あたりに命中する。
そして矢尻は背中側より突き出ており、逸見の腹を貫通している。
メイの手には精製力が纏っていた。




