資格試験編⑪〈特訓開始〉
そして、彼らは一週間、学校でも家でも本を読み続けた。
そして、一週間後3人は支部の前に立つ。
普段から本を読まない白金と烈島の顔は暗い。
「うう...」
「あんた達があの量よく読めたわ。」
「強くなるためなら..このくらい..余裕だ」
「満身創痍ね..」
そして、支部の中でヒゼンと合流する。
「おう、来たか、今日はこっちだ。」
そこは先週と違い、物が何も置いていなく、ただ広いオープンスペースの部屋、
「ここは試術場、ここでは精製術の使用が許可されてる。」
「やっと練習できるんだな。」
「そうだ、先週話した様に身体強化には個人差がある。今日は自分の特徴をそれぞれ確認してもらう。
おまえら人体の知識と自分の体の造りは頭に入ってんな?」
「入ってます。」
「なんとか..」
「よし、じゃあまず、白金
ここに3m×3mくらいの鉄の塊をクラフトしろ」
「3×3..けっこうでけぇな、こんなもんか?」
白金は四角形の鉄の塊をクラフトする。
「よしおまえら、素手でこれを押せ。」
「あ?」「はい?」
「何キロあると思ってるんです?」
「いいから押せ」
志野川、烈島と、順番に押していく。当然動くはずもない。
白金は水神会と戦った時の力を出せば動かせるのではないかと考えていた。
「あの時の赤い力の感覚..」
そして力を入れて鉄塊を押す。
「んぉおお」
しかしビクともしない。
「じゃあ俺がやるから見ていろ」
そういうと手を前に構えるヒゼン
「まずは自分の筋肉の配置・構造をイメージする。
そして、その筋肉を活性化させ増幅させるイメージを持つ。」
すると、火善の腕に精製の光が纏う。
それを鉄塊に押し付けるヒゼン、そしてそのまま前進する。
すると、まるで発泡スチロールなどでできた軽い塊の様に、いとも簡単に鉄塊を押していく。
「なっ」「ええっ!」
「これが身体強化だ。最初からここまではできないだろうが、自分の限界を引き出せる様になればこういう事ができる様になる。」
「個人ごとに決まっている限界ってやつか。」
「よし、じゃあまず烈島やってみろ」
烈島は鉄塊の前に立ち、手を構える。
「よし」
(まずは本で読んだ人体の構造、後は顕体マシンで見た、自分の筋肉をイメージする。)
烈島は目を閉じ集中する。
烈島の腕には徐々に青い光が纏い始める。
(もう少し..明確にイメージする..)
そして烈島は目を開けると、その腕で鉄塊に触れ、ぐっと力を入れる。
しかし、鉄塊は動かない。
「んぎぎぎぎ」
数センチ程、鉄塊が動く
「おっ!」「動いた!」
しかし、そこで限界の様で、青い光がふしゅっと消えると烈島は手を離す。
「ふーっ少ししか動かなかった」
「いや、最初はそんなもんだ。力は十分に扱えている。」
「一発かよ!すげーじゃん!ユウ」
「いえ、意外とできますよ!」
「そうだ、意外とできるはずだ。」
「え?」
「この身体強化は知識や理解は当然必要だが、特訓を重ねればできるようになるものでもない。
この身体強化に必要になるのは、精製力への[慣れ]」だ。」
「慣れ?」
「精製力の放出とそれを抑え込み、凝縮する。そんなコントロールが自然とできる[慣れ]があれば、この身体強化は扱える。
中位隊員より技量のある下位隊員は多くいるが、下位隊員に身体強化を扱える者が少ないのはそういうことだ。才能があっても[慣れ]が足りなければ扱えない。
そういった意味では、幼少の頃より精製に携わっているお前達はできるとわかっていた。」
「なんだ、そうなのか。」
「よし、どんどんやってみろ」
続けて白金も行い、烈島より大きく20cm程大きく鉄塊が動く。
「さすがです!」
「もうちょい動くかと思ったんだけどな」
そして志野川が行う。志野川も2人と同様、青い光を纏わせ、鉄塊を押す。
しかし志野川が力を入れても微動だにしない鉄塊。
「思い切り押し込んでみろ志野川」
「やってるけど...」
ヒゼンはその姿を注意深く見る。
「すみません。動きませんでした。」
「筋力がイメージ通り増幅している感じはあるか?」
「いえ、あまり感じません。」
「了解。とりあえずいい。次行くぞ」




