資格試験編②〈信じる〉
それから今井は3人と行動を常に共にした。幸い事件なども起こらず、平穏な日々が続いた。初めは乗り気ではなかったこの任務だったが、今井も3人のことを弟や妹のように思えるようにもなり、充実した毎日を過ごしていた。
今日も4人は一緒に行動をする。
放課後に志野川は今井に買い物に付き合って欲しいと頼み。駅前を散策していた。
白金と烈島は面倒くさがっているが、今井に監視のためについて来いと言われ、渋々ついて行く。
「ちょっと奥のコンビニ行ってくるわー」
「用が終わったら戻ってきなさいよ。」
「わかってるって」
白金が飲み物でも買おうと2.3店舗奥にあるコンビニに向かう。
「きゃーっ!」
コンビニに入ろうとすると
奥の方から叫び声が上がった。
「なんだ?」
白金が声の方向を見ると。1人の女性が座り込んでおり、その周りには複数の紐のような物がうごめいており、女性の子供と見られる赤ん坊が紐によって持ち上げられている。
その紐は赤ん坊を奥にいた男の元へと運んだ
「精製術か?」
「誘拐よ!誰か助けてー!」
座り込んだ女性は必死に周りに助けを求める。
女性はたまたま後ろにいる白金に視線を向ける。
「助けて..。」
それを聞いた白金は足を踏み出し、ヴァイオに向かおうとする。
(今ならまだ間に合う..。)
だが、今井の言葉が白金の脳裏をよぎる。
<私に任せて>
<もう少し大人を頼りなさい>
その言葉が白金の足を止める。
そして唇を噛み締めながら、白金の足はヴァイオではなく、後ろの服屋へ向かって踏み出した。
「信じてくれてありがとう。」
白金が服屋に向かうため後ろを振り向いた瞬間、ヴァイオに向かって走った今井とすれ違う。
「なっ」
今井はヴァイオに向かう。
「フォースです。離れてください。」
持っていたフォースの隊服の上着だけを羽織ると、ヴァイオのすぐ近くまで迫りよる。
白金の元に烈島と志野川も合流する。
呆気に取られる白金と、今井を見守る烈島と志野川。
「はえーっ」
「くそーっ」
しかし、ヴァイオも今井に気づくと、
振り返り、糸のような精製物を網のように形成して、今井を捉えようとする。
その網は大きく広がり、今井の行手を阻む。
網に捉えられそうになったその時、今井の足が青く光る。
その瞬間、今井が消えたかに思えるほどの速度で地面を蹴り横に跳ぶ様に移動する。
そしてそのままヴァイオの背後を取る。
「クラフト:メアリアの木枷」
木と鉄でできた大きな拘束具をクラフトし、ヴァイオの首・両腕を固く拘束する。
そして、ヴァイオはその場に倒れ込む。
糸のクラフトが解け、投げ出された赤ん坊を今井は抱え込む。
「ふーっ」
今井はポケットから無線を取り出す。
「こちら第1隊所属、今井です。畑良町駅前にて誘拐事件発生、被疑者を確保。応援お願いします。」
今井は赤ん坊を母親に返す。
女性は今井に何度も頭を下げお礼を言っていた。
そしてその帰路、
「ナツミさんすごかったです。」
「ありがとうチアヤちゃん。」
「クラフトは拘束具?」
烈島が今井に尋ねる。
「そうそう、父親が警察でね。最初は手錠から始めたんだけど。」
「精製の青い光を体に纏うのはなんなんだ?水神会の幹部や水時も使ってた」
白金が聞く。
「あー、あれは生物精製の一種で、自分の体を精製力で活性化させるの。
一時的な身体強化や回復力の向上の効果があるわ。
ちょうどこの間、山神支部長が、試験の前までには身体強化の会得をさせるって言ってたわよ。」
「そんな技があったのか..」
「上位隊員はまず使うわね。中位隊員でもチラホラと使うわ。」
「じゃあ赤い光を纏うのは?」
「赤い光?なにそれ」
白金は水神会との戦いの時、自分体に纏った赤い光がなんだったのか気になっていた。
「赤い光を纏う術はないのか?」
「んー私は聞いたことないし、他の隊員が使ってるのも見たことないわね。」
「そうか..」




