潜入水神会編⑪〈託す意思〉
ウィスタリアは志野川に向かって飛び出し、拳を振るう。間一髪避ける志野川。
志野川がいた場所の和室の床はウィスタリアの拳によって破壊されている。
その後もウィスタリアは鬼の形相で志野川に向け飛びかかっていく。
しかし、志野川はウィスタリアの攻撃を見切ったかの様に避けていく。
(この子、さらに早くなって..)
志野川の足にはウィスタリアの拳と同じ様に精製の光を纏っている。
(この光..何かわからないけど、早く動ける..)
志野川は壁や柱を蹴り、素早くウィスタリアの死角に回りナイフを投げる。
ウィスタリアは志野川の動きを捉えられず体にナイフが刺さっていく。
だが、やはり、筋肉に阻まれ、ウィスタリアの皮膚を切り裂く程度で、ウィスタリアに致命傷を与えることはできない。
「あなたの覚悟わかったわ、意地でも私を足止めするのね。
これを使うと、精製力が空っぽになるから使いたくなかったんだけど、」
そういうと両手を志野川に向ける。
「大クラフト:藤 大森林!」
巨大な藤の木がいくつも精製され、建物を壊しながら広がっていく、藤の木に囚われない様、逃げる志野川を尻目に、ウィスタリアは建物から出る。
藤の木はみるみる広がり、建物を覆う程大きくなった。
「頑張ったけどここまでね。志野田ちゃん。」
精製された藤の木の中に、蔦に囚われ意識を失っている志野川の姿があった。
白金は角田を倒し、本堂に向かっていた。
本堂の前には複数人の組員や一般人の様な人達が倒れている。
「なんだ?おい!どうした」
意識を失っている様だ
(さっきの激しい光はユウか?)
そんなことを考えていると..
ドンッと、
大きな爆発音と共に爆風が白金を吹き飛ばす。
「今度はなんだ..」
本堂の一階部分が大爆発を起こした様であった。
白金は体を起こし、急いで本堂に駆け込む。
本堂の扉は爆風で吹き飛んでいる。
本堂の中に入ると、ひどい有様であった、
天井が剥がれ落ち、本堂のロビーであろうそのスペースは瓦礫で埋め尽くされていた。
外壁もところどころ崩れ落ち、光が差し込んでいる。
「ユウの爆発か?」
烈島の姿を探すが、近くに人の姿はない。
そうして瓦礫の中を歩き回っていると、瓦礫の隙間から衣類の様なものが見える。
白金は急いでそこの瓦礫を退かす。すると中からぐったりとした烈島が出てきた。
「ユウ!大丈夫か!」
烈島は声に気づいたのか、少し目を開ける。
「ん、レントさん..よかった無事で」
「何があった!」
「倒しましたよ..たぶん..でもすみません。
この後は役に立てそうに..ありません。」
「大丈夫だ、お前は休んでろ」
白金は烈島を壁際に連れていき、もたれかけさせる。
「すぐに終わらせてくるからまかせろ」
白金はそういうと烈島に拳を突き出す。
そして本堂の奥へ駆けていく。
烈島はその後ろ姿を薄目で見送る。
「後はあなたに任せます..。あなたならきっと水時を倒してくれる。ああ、もう少し役に立ちたかったな..。」




