潜入水神会編⑩〈私の役目〉
ウィスタリアは志野川が飛ばされた跡を進む。
「大人気ないことしちゃったわ。一発で終わらせちゃうなんて。・・・んふ?」
「!?」
ウィスタリアは驚きの表情を浮かべる。
そこにはナイフを構え、立ち上がった志野川の姿があった。
(あの攻撃を喰らって動けるの..)
「悪いけど、私はあなたにここで倒されるわけにはいかないの。もう少し付き合ってもらいます。」
志野川は白金からもらった伝言を思い出す。
〈まず朝の集会で俺が大半の組員を決起棟の中に閉じ込める。
3人の幹部は各自で対処することになる。
チアヤには離れの女幹部の足止めを頼む。〉
(足止め..それが私の役目、ここでウィスタリアに私が負ければ、ウィスタリアはレント達の元に行くはず。そうなれば向こうも危ない。
勝てなくてもいい、ここで抑える!)
「この子、目が死んでないわね。」
志野川はクラフトした投げナイフをウィスタリアに投げる。
ウィスタリアが手でナイフを弾いた瞬間、志野川は縁側に飛び乗り、建物内に入る。
建物の中からさらにナイフをウィスタリアに向かって投げる。
建物内の障害物の多い環境の方が志野川にとっては戦いやすいと考えていた。
「芸のない子ね。」
ナイフを手で弾き、ウィスタリアも志野川を追って建物に入る。
志野川は柱を軸にしながら、素早く移動し、死角からナイフを投げていく。
ウィスタリアもナイフを防ぎながら徐々に距離を詰めていく。
「んふ、ここまでね。」
廊下の隅に追いやられる志野川
ウィスタリアの拳が志野川のガードの上から叩き込まれる。
「ウッ」
壁に叩きつけられる志野川、
その志野川に向かってウィスタリアは拳をさらに構える。
「これで終わりよ。」
一気に志野川に向かって振り抜く。
しかし振り抜いた拳の先に志野川の姿はなく、振り抜いた拳が縦に一線、切り傷をつけられている。
志野川はウィスタリアの股下に滑り込み、脱出していた。
「まだ負けられない。」
またもや驚いた表情のウィスタリアだが、すぐに志野川の足元に藤の蔦をクラフトし、志野川の足を捉える。
「くっ」
そのまま、志野川に蹴りを浴びせる。
足に絡まった蔦がぶちぶちと千切れ、後ろの和室に飛ばされる志野川
それでも立ち上がる志野川。
(まだまだ時間を稼がないと..)
「なるほど..わかったわ
きっと今、この間来たあなたのお友達達が向こうで暴れてる。
志野田ちゃんは私を足止めしたいのね?
んふ、でももう諦めなさい。
そうとわかれば私はあなたに付き合う必要はない。あなたを置いて私はいつでも行けるわよ」
それを聞くと、志野川はふっと鼻で笑う。
「あなたはまだわかっていませんね。
私が倒れない限りあなたはここを離れられない。
あなたが離れたら彼女達はどうなるんです?」
志野川が顔色を変えず、淡々と伝える。
すると、ウィスタリアの顔が怒りの形相に変わる。
「あまり私を舐めるんじゃないわよ、なら、すぐに終わらせるまで」
次回、VSウィスタリア決着




