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短くて暗い旅
墓を巡らないといけない、センは唐突にそう思った。
身体中の神経を駆け巡る焦燥感。
こんなところで月日を無為に費やしている場合じゃない、心の最奥から強烈に湧き出る強い衝動のような意思に惑いつつ、センは突き動かされた。
午前中に七日分の食料を用意し、綺麗な真水を作ってくれる濾過装置のメンテナンスをする。
午後には、センの身長の5倍はあろうかという蒸気帆船(これでも小さい方だ)の点検、機関部の掃除を終えた。夜の9時に軽い食事をとり、そして深い眠りに落ちた。久しぶりの深い眠りだった。センの夢も今夜はおとなしく、その姿を現さなかった。
翌日、センは蒸気帆船に必要な荷物を積み込み、濾過装置に海水をなみなみ注いだ。
それから機関に火を入れ、船を北航路の支線へ乗せる。
センの旅はこれからが本番だ。
北航路はとても大きい。センは七日間の旅に、大きく心を躍らせていた。
まず行くべきは、「灰の墓」だ―――