壁越え
青空が見たい。
それは灰色の天の下を1年間駆け回ってできた俺の願いで、今日を乗り越えれば叶えられるかもしれない小さな願いだ。
壁は180程度。飛び越えることだけ考えるなら、それは容易だろう。
まぁ、そんなことを壁は許してくれないが……
くだらない思考に脳を漬けるのもここまでにして、目の前の壁を超えるとしよう。
抜刀とともに捨てた鞘の音が魔物の目を覚まさせた。フルプレートなので目があるかは知らない。だが、関節から砂埃を吐き、動き出したことは確かだ。
一歩、俺が距離を詰めると、一歩、奴も距離を詰める。
ただ静かに、足音だけがこの空間に響く。
「…………」
「…………」
約束など交わしていないが、ある位置で俺たちは停止した。互いの得物で、互いを肉塊や鉄くずにできる距離。
俺の銀剣と奴の黒剣が室内の灯りを反射させる。
「「――――ッ!!!」」
合図は劣化した外壁からこぼれた小石の落下音。
銀剣と黒剣の衝突は薄暗い室内を一瞬だけ、明るくした。
なんか2秒ぐらいで思いついたのをあげたので、続かないとは思います。
それでもいい方はご覧下さい。