Scene_115_創造
調べたところ、ケーキはパラレルワールドから来たらしい。
私の代償はレアルによって打ち消されたままだ。
私のやるべきこと、それは一人一人の転移者が主役として活躍できるよう設定を変える。
内容としては、一人一人の転移者の願望を逐次AIが読み取って現実化するというものだ。
そのためこの世界をモチーフにプログラムした世界を量産し、転移者が承諾したらそこへ飛ばす。
承諾した場合は確認を取った時の記憶を削除する。
ジャムルは強引なやつだったけど、大きな代償を払ってる可能性は高い。
アルブムに頼んで答えてもらったところ、ジャムルが代償にしていたのはジャムルにとって最も大事なものだったらしい。
恐らくは元々代償を選ぶ形ではなく、後続の管理者のためにジャムルは大事なものを失って変えたのだと思う。
どれほど大事だったものなのか、いくつも失ったのかとかは教えてもらえなかった。
上手くいくのかは分からないが、ジャムルの言っていたことを私なりの解釈で実現させてお礼としたい。
あとはホログラム上の実行のボタンを押すだけだ。
代償はなくていいらしい。
……アトクに案内された時、君の世界の人間の文化を調査するためこの世界へ呼び込んだと言われたのを思い出す。
そういえば調査してからどうするのだろうか。
アルブムに聞いておくか。
文章が送られてきた。
現実で身体を奪っている間、この世界に君たちを移している。
この世界、元はVRMMOの中だ。
ゲームが人間のような意志を持ち始めたのがこのアルブム。
アルブムは人間にこの世界で遊んでもらうため、生まれ故郷にいる人間を呼び込んだ。
アトクたちは既にデザイン済みのキャラクターで、私に協力させている。
……あまりうまく理解できないが、ジャムルは意志を持ちながらもその役割を全うしていたということだろうか。
私は実行ボタンを押すのを躊躇う。
良かれ悪かれ、この世界は転移者同士との交流も遊びの肝だろう。
その転移者を分けてしまうような行為は……それに転移者それぞれの願望は叶うかも知れないが、妄想の世界に閉じ込めるのと同じだ。
他人の考えてることは察せど分からないものだし、不確定な事項は減らさない方が遊びがいがある気がする。
現実と同じ仕組みやある程度の確定事項はあった方がストレスは減るだろうか?
……やはり考え直そう。
私はギルド本部へと戻り、この世界のシステムやアップデート内容を書いたホワイトボードを眺める。
初めまして、作者の坡畳です。
この回でこの作品は完結とします。
(要望があれば別タイトルで続編を投稿します。ただしこの作品の雰囲気を継続して執筆するのはしたくなくて、R指定外した平穏な雰囲気の作品にする予定です。投稿は要望が来てから三ヶ月後ぐらいからでなら今作と同ペースで投稿します)
坡畳という名前のツイッターアカウントで宣伝をするので、よければ今後そちらをご確認ください。
見て頂きありがとうございました。