あなたと時空を超えた約束を 【完結】
表紙絵はエブリスタの清見こうじさんに描いて頂きました。
ありがとうございます☺
無断転載禁止です!!
・・・あの日の約束を覚えてる?・・・
私は西田咲樹18歳
高校生になってから毎日繰り返し見ている夢がある。
着物を着た10代らしき少年に
「・・・あの日の約束を覚えてる?・・・思い出して○○・・・君と・・・逢いたい」とたった一言問われる夢を毎日・・・。
問われた私はいつも苦しく切ない思いを胸に抱く・・・。
そして目覚めたら私は必ず涙を流している・・・。
彼は一体誰なのだろう?
毎日顔を確認したくても何故か薄いモザイクがかかったようになり、はっきりと顔が見えないのだ・・・。
あなたは一体誰ですか?
私に何を伝えたいの?
あなたは私に何を思い出せと言っているの?
もしかしたら、あなたと私は前世で出会いそして何らかの約束を彼とした。
けれど、その約束は前世では叶えられなかったとか?
その約束を今叶える時なのだと彼は伝えてる・・・?
だとしたら彼もこの時代に産まれてきているよね・・・?
その約束をあなたと一緒に叶えるために・・・私とあなたは出会えるはず・・・。
顔も分からない大切なあなた・・・あなたに早く逢いたい・・・。
「咲樹ってばちゃんと聞いてる?」
この子は私の幼なじみの川島夏奈
可愛くてとても優しい大好きな私の親友
今私は夏奈とカフェにいた。
「ごめん夏奈、考え事してた」
「最近咲樹ぼーっとしてる事増えたよね?何か悩んでるんだったら私に話してよ。どんな事でも聞くからさ」
「うん。ありがとう夏奈。夏奈にはちゃんと聞いて欲しい!今から私の家で話し聞いてもらっていい?」
「うん。喜んで聞くよ」
そして家に着き夏奈を私の部屋に通した。
「夏奈紅茶でいい?」
「うん。アイスミルクティーでよろしく」
「了解!ちょっと待っててね」
「夏奈お待たせ~」
「ありがとう。頂きます♪ゴクッ!うん。美味しい。咲樹の部屋来るの久しぶりな感じ」
「そう言えばそうだね。私が夏奈の部屋に通ってるしね。あはは」
「で・・・そろそろ咲樹の悩みを聞かせてくれる?」
「うん。あのね・・・」
そして私は夏奈に毎日繰り返し見ている夢を伝えた。
「へぇー・・・不思議な事ってあるもんなんだね!じゃあ咲樹はその彼を早く見つけないといけないんじゃない?」
「うん。早く逢いたいんだけど顔も名前も分からないんだよね・・・それでどうやって探そうかと悩んでた・・・」
「だよね・・・。でも案外近くにいたりして?毎日夢に見るくらいだから、その彼は咲樹の運命の人決定でしょ!必ず巡り会えるよ。咲樹ファイト♪」
「近くにか・・・いたらいいな・・・夏奈ありがとう♪夏奈の傍にいると、いつも元気出るんだよ。夏奈はそんなパワーを持ってる人だから私いつも助けられてる。気づいてた?」
「そうなの?咲樹ってば嬉しい事言ってくれちゃって照れるじゃんか!って事で早く咲樹の運命の彼に出会えるように夏奈さん毎日祈るからね♪」
「ふふっありがとう夏奈」
夏奈はいつも私が落ち込んでいる時に必ず気づいてくれて、そしてさりげなく励ましてくれる。
そんな夏奈が私は大好き。
いつもありがとね夏奈・・・。
「夏奈は何か悩んでる事とかないの?」
「うーん・・・彼氏が出来ない事かな」
「素敵な彼氏出来るよ。夏奈なら」
「ふふっ♪楽しみにしとく。彼氏出来たら1番に知らせるからね」
「明日の放課後図書館行くけど夏奈は行く?」
「ごめん明日は先約入ってるから無理」と頭を下げて悲しげな瞳をする夏奈
「もしかして真奈ちゃん?」
真奈ちゃんとは夏奈の2つ下の妹で2人はとても仲の良い姉妹なのだ。
「うん。洋服買うからお姉ちゃん付き合って~♪って上目遣いで言われたら断れないでしょ?あの子超可愛いんだもん」
「確かに。真奈ちゃん可愛いもんね」
「でしょう?あんなに可愛いからすぐにでも悪い虫つきそうで心配なわけよお姉ちゃんとしては・・・」
「うん。それも分かる」
「あの子の彼氏になる子は私が見極めるわ」
・・・うん。相変わらず夏奈は真奈ちゃんに対して過保護だなぁ・・・。
まあ、あんなに可愛ければ過保護にもなるか・・・。
「じゃあ私は図書館行ってから帰る事にする」
「うん。じゃあまた明日学校でね~」
そして夏奈は帰って行った。
「咲樹今から図書館行くの?」
「うん。夏奈は真奈ちゃんとショッピング楽しんでね♪」
「うん。楽しんでくるよ~♪じゃあね咲樹」
夏奈と別れて私は図書館へ向かった。
図書館へ向かう道に桜並木があり、今の季節はちょうど桜満開。
近くに人はいないので桜を独り占めしている気分でとても心地良く、桜がとても綺麗で私は見とれていた・・・。
チクリ・・・!!
?
誰か私を見てる?
誰かの視線を痛い程感じる・・・。
恐る恐る振り向いて見ると、私と同じ歳くらいの少年がいた・・・。
「あの・・・私に何か?」
「・・・君は僕を覚えてないの?」と泣きそうな顔で少年は私に問う。
「・・・私達会った事あるんですか?」
「・・・ふっ・・・やっぱり覚えてないんだね・・・」
「・・・あなたをですか?」
「ああ・・・。僕は君を忘れたりしなかったのにね・・・遠い昔に僕達は出会ってたんだ」
「遠い昔・・・?」
・・・もしかして私の目の前にいる少年は毎日夢に見る彼なのだろうか?
「ああ遠い昔だよ・・・」
「私・・・毎日夢に見るんです・・・」
「どんな夢を見るの?」
「『・・・あの日の約束を覚えてる?・・・思い出して○○・・・君と・・・逢いたい』と夢の中で毎日少年が伝えてくるんです・・・その少年はあなたなんですか?」
「・・・ああ僕だよ。正しくは遠い昔の僕だよ・・・前野暁久だった頃の・・・」
暁久・・・?暁久様!!!
名前を聞いた途端、前世の記憶がどんどん頭の中に洪水のように流れてきた・・・。
「暁久・・・?暁久様???」
「ああ。やっと思い出してくれたんだね?咲」
その言葉を聞いた瞬間、私の体は勝手に動き暁久様の胸に飛び込んでいた・・・。
「暁久様、咲は暁久様にお逢いしとうございました」
泣きたくもないのに涙が溢れて止まらなかった・・・。
前世で私が愛したたった一人の人暁久様・・・。
どうして私は忘れていたの?
誰よりも大事だった、あなた・・・暁久様の事を・・・。
時は1507年5月の戦国時代に遡る・・・。
私はそこで暁久様と出逢った。
今日はお姉様の婚約者である前野家のご嫡男の暁久様との初顔合わせの日。
前野家は代々続く有名なお武家様。
お姉様は5歳の頃、暁久様は6歳の頃に婚約者になったと聞く。
橘家も代々続く武家だったけど前野家に比べれば天と地程の差があった。
前野家は橘家の領土目当てで、この婚約が決まったのではないかと私は聞かされた。
お姉様は今17歳で私は15歳。
「お姉様とってもお綺麗です」
「ふふっありがとう咲。あなたも綺麗よ」
「暁久様どんな方なんでしょうか?素敵な方だといいですねお姉様」
「ええ。きっと素敵な方だと思うわ」
そして暁久様一行が我が家に来られた。
「暁久様ようこそおいで下さった。こちらへどうぞ」と父上が暁久様を席に案内した。
「ああ忝ない」
そして暁久様が席に腰を下ろした。
「さあ牡丹暁久様にご挨拶しなさい」
「暁久様牡丹にございます。末永くよろしくお願いします」
「あなたが牡丹か。ああ、こちらこそよろしく」
暁久様は想像した通りに素敵な方。
お姉様と二人並んでいると一枚の絵みたいでとても綺麗でお似合いだわ。
「暁久様妹の咲にございます。お姉様をよろしくお願いします」
「咲か・・・ああよろしく」と暁久様と瞳が合った瞬間、何故か私の胸がきゅっと痛んだ。
この胸の痛みはなんなのかしら?
この時の私はまだ分からなかったの。
この胸の痛みは彼に恋したからなのだと言う事を・・・。
そして無事に初顔合わせは終わった。
「牡丹暁久様は気に入ったか?」
「父上・・・はいとても素敵な殿方でしたわ」
「そうだろう。暁久様もお前を気に入ったそうだ。婚儀の日が楽しみでならん」
「まあ父上少し気が早いですわ」
「近いうちに婚儀の準備に入るだろう」
「父上、お姉様がお嫁に行かれるのは少し寂しいですが、婚儀の日がすごく楽しみです」
「ははっそうだな。咲も暁久様みたいな方を兄と呼べるのだから喜べ」
「ええ。これからは暁久様を、お兄様とお呼びしますわ父上」
「ああ。そう呼ぶといい。暁久様も喜んでくれる事だろう。暁久様に妹はいないそうだからな。思いっきり甘えてもいいかも知れんな」
「ふふっ適度に甘えさせてもらいますわ父上」
それから3日後・・・。
私達姉妹は父に呼ばれた。
「父上お呼びでしょうか?」
「ああ。咲も是非一緒に滞在してくれと文が来たから行ってくると言い」
「私も行って良いのですか?」
「ああ。咲くれぐれも粗相のないようにな」
「わかりましたわ父上」
本当に私も行っていいのかしら?
少し不安だわ・・・。
そしてあっという間に日は過ぎ暁久様のお屋敷に向かう日になり
私達姉妹は暁久様のお屋敷に向かった。
そしてお屋敷に着いた。
すごく広く立派なお屋敷ね。
「牡丹様、咲様ようこそ。お待ちしていました」
そして部屋に案内され入った。
「牡丹に咲、我が屋敷へようこそ」と暁久様が笑顔で微笑んだ。
「暁久様お久しぶりです。咲まで呼んで頂きありがとうございます」
「いや、二人共自分の家の様にくつろいで良いからな」
「私まで呼んで頂きありがとうございます。あの・・・暁久様お兄様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「ああ。好きに呼んでくれてかまわないよ咲」
「わかりました。ではお兄様とお呼びしますわ」
「兄か・・・妹とはこんなに可愛いものなのだな」
「ふふっうちの咲は可愛いでしょう?暁久様」
「ああ。こんな可愛い妹が出来て嬉しいよ」
可愛い?私が?暁久様に言われると何故か胸がきゅんとした。
私の顔はきっと赤くなってる事だろう。
「っ!ありがとうございます。ですが、そんなに言われると照れてしまうのでお姉様お兄様おやめ下さいませ」
「ははっ。真の事を言っているのにな。なあ牡丹」
「ええ暁久様」
それから私達は今日から滞在する事となる部屋に案内された。
「咲のお部屋も素敵じゃない」
「ええ。お姉様のお部屋もすごく素敵でしたわ」
私の部屋はお姉様の部屋の3つ隣で近いのですごく安心した。
暁久様のお屋敷に来てから4日目の夜
今日も眠れないわね。
実はここに来てから眠れない日が続いてる。
お庭にでも行こうかしら。
そしてお庭に着き空を見上げた。
まん丸お月様に綺麗な星が眩しいくらいに輝いていた。
「咲ここで何をしている?」と背後から声がかかった。
振り向くと暁久様がいた。
「お兄様・・・あの眠れなくてお空を見ていました」
「ここに来てからずっとか?」
「はい」
「気づいてやれなくて悪かった。牡丹は知ってるのか?」
「いえ。お姉様にも言えなくて・・・でもお兄様に会えて嬉しいです」
「そうか。今日の月は綺麗だな咲」
「ええ。すごく綺麗ですわ」
それから何度もお庭で暁久様と会うようになった。
そしてその私達の姿をひっそりとお姉様が見ていたとも知らず・・・。
私は暁久様に会う度にこの想いの正体に気づき日々苦しんでいた。
暁久様はお姉様と夫婦になる方だからお慕いしては駄目よと思っていても、暁久様と一緒にいると暁久様の事しか考えられなくなる自分がいた。
お姉様・・・心の中でだけ暁久様を想っていてもいいですか?
「咲?最近元気ないようだけど大丈夫?」
「はい。大丈夫でしてよお姉様」
「そう?ならよかったわ。ねぇ咲、最近暁久様と仲が良いわね」
「ええ。お兄様はお優しくて素敵な方ですわ」
「そうね。咲・・・いいの?私が暁久様と夫婦になっても?」
「お姉様?何を仰ってるの?暁久様ならお姉様をお幸せにしてくれるわ」
「そうよね?」
「ええ。お姉様が心配するような事なんて何も無いですわ」
「・・・。心配しすぎなのかしら。咲励ましてくれてありがとうね」
「悩み事あったらいつでも聞きますわお姉様」
「ええ。頼りにしているわ咲」
お姉様どうしたのかしら?
もしかして私が暁久様をお慕いしている事に気づいてたり・・・?
まさか。気のせいよね?
それから数日後の夜の事
「咲・・・僕は・・・」
今日の暁久様はいつもと違っていた。
纏う空気が酷く重いのだ。
「お兄様どうかなさったの?」
「戦に行くことになった」
「戦に・・・お姉様はこの事」
「さっき伝えた」
「そうですか。ご婚儀前なのに・・・ご武運をお祈りしておりますお兄様」
「咲聞いても良いか?」
「何でしょう?」
「咲は僕の事どう想っている?」
お慕いしています暁久様。
でも伝えては駄目なのよ。
「大好きですわお兄様」
「っ!それは兄としてだろう?僕は咲の事を愛している。牡丹の事は好きだが愛してはいない」
愛してるって暁久様が私を?
真に・・・?
「そんな!それじゃあお姉様はどうなるの?」
「牡丹との婚儀は破談となった。牡丹とちゃんと話しして来たよ。了承してくれた」
お姉様・・・私のせいでごめんなさい・・・。
きっと恨まれているわね。私さえいなければお姉様は暁久様と夫婦になりお幸せになれたと言うのに・・・。
「咲・・・返事を聞かせてくれないか?真の気持ちを聞かせてくれ」
「私はお兄様を・・・いえ暁久様あなたをお慕いしています。でもお姉様を傷つけてまで暁久様と一緒にいるなんて無理です私には」
「咲いいのよ。暁久様と幸せになりなさい。私も幸せを必ず見つけてみせるから。私の事は心配しない事!分かった咲?」
「お姉様!!!私・・・暁久様と幸せになっていいの?」
「ふふっ幸せになりなさいって、さっきから言っているでしょう。ほら泣いてないで笑いなさい咲」
「お、お姉様~」
私はお姉様に抱きつき、めいっぱい泣いた。
「落ち着いたようね」
「はい。お姉様」
「暁久様妹を、咲をよろしくお願いします。幸せにすると私に誓ってもらえますか?」
「ああ。必ず幸せにすると誓おう。僕の命にかけて咲を守るよ」
「ありがとうございます。そのお言葉お忘れなきよう」
「ああ牡丹ありがとう」
「じゃあ私は部屋に戻りますわ。咲とちゃんとお話して下さいね暁久様」
「ああ分かった」
「暁久様?」
「僕は明日戦に行く。その前に咲に伝える事がある」
「はい。何でしょう」
「戦から帰って来たら夫婦になろう。咲」
「はい。暁久様必ず無事に帰って来て下さいね咲のもとに・・・」
「ああ。必ず咲のもとに帰るから、それまで待っていてくれ」
そして暁久様は戦の地へ向かった。
私達姉妹は我が家へ帰った。
それから3ヶ月後、私は暁久様のお帰りを祈るようにずっと待っていた。
お姉様は一ヶ月前にあるお武家様の所にお嫁に行きました。
お姉様からの文によるとお相手の方はお優しくてとても愛されて幸せにお過ごしていると。
お姉様お相手の方が良い方でよかった。愛されてお幸せそうで思わず私の頬が緩んだ。
「咲落ち着いて聞いてくれ」
「父上どうなさったの?」
「暁久様が戦死なされたと早馬で知らせがあった」
戦死?暁久様が死んだ?
私をおいて・・・?
「父上・・・真なのですか?」
「ああ。前野家直々の知らせだったからな」
「嫌・・・嫌です!!暁久様私を一人おいて行かないで!!」
そしてショックが大きかったのか私は意識を失った。
悪い夢であってほしかった。
でも紛れもない現実だ。
暁久様のいない世界は私には辛かった。
「咲・・・少しは食べて」
「お姉様ご心配おかけしてごめんなさい。でも食欲がなくて」
お姉様は私を心配して嫁ぎ先からお見舞いに来てくれた。
お姉様が来てくれて3週間が経っていた。
「お姉様私は大丈夫だからお帰りになって下さい。雅明様に申し訳ないです。あとお姉様と父上は心配しすぎですわ」
雅明様とはお姉様の旦那様
「そんな事ないわよ。あなたが大事だからこそ心配するのよ咲。確かに雅明様はご心配されてそうね。咲、真に大丈夫なの?」
「ええ。大丈夫ですわお姉様」
「そう。なら私は帰るわね。また今度
は元気な姿見せてね咲」
「ええお姉様。元通りに元気になりますわ私」
最近体の調子が悪く寝込む日々な私だけどお姉様にこれ以上ご心配おかけする訳にはいかないから私は優しい嘘をついた。
そしてお姉様はお帰りになった。
それから一年が経った。
私はあれからさらに体調が悪くなり布団から出られない状態になった。
どうやら体力が落ちていたせいか、流行病にかかったらしい。
人から人へ伝染る病だから私は出来るだけ部屋に入らないでと皆に伝えた。
お姉様から文が届いた。
どうやらお姉様はお子を授かられたとの事。
お姉様お幸せそうでよかった。
どうか私の分まで幸せになって下さいね。
お姉様に文を書かなきゃね。
正直今の私は文を書くのも大変な重労働だったが頑張って書く事ができた。
そしてお祝いの品と文をお姉様に送った。
気に入ってもらえるかしら?
お姉様に文を書くのもあと何回かしら?
私は確実にもうすぐ死ぬでしょう。
自分の体の事は自分がよくわかっていた。
苦しい・・・助けて・・・早く私を暁久様の元へ行かせて下さい。
「咲・・・」
暁久様の声が聞こえる。
そして目を開けたら目の前に暁久様がいた。
「暁久様!お逢いしとうございました。私を一緒に連れて行って下さい暁久様」
「ああ。咲、約束を守れず先に逝ってしまいすまない」
「ええ。酷い人ですわ暁久様は。私を一人にしないで下さいませ」
「咲・・・幸せに出来ずに逝く事になった。真にすまない」
「ええ。私達来世では幸せになりましょう暁久様」
「来世?」
「ええ。生まれ変わって必ず暁久様を見つけて今度こそ幸せになるの」
「ふっそうだな。僕も必ず咲を見つけるよ。そして見つけたら一生離さない。君を愛し守ると約束する」
「ふふっ暁久様。その約束忘れたりしたらビンタ100叩きの刑を執行しますのでくれぐれもお忘れなきように」
「ああ。咲も僕の事忘れないように」
「お迎えが来たようですわ・・・暁久様愛していますわ・・・来世で待っていますね」
「ああ。来世で逢おう咲・・・僕も愛しているよ」
そして私は17年の生を終えた・・・。
「咲!!」
私の目の前には暁久様そっくりの少年がいた。
現代に戻って来たのね。
「暁久様思い出しましたわ」
「ふっやっと君に逢えた。現在の名前は?僕は月野暁暁と書いて暁って読むんだ」
「私は西田咲樹よ。咲くに樹とかいて咲樹よ。暁君って呼んでいいかな?」
「暁でいいよ。僕も咲樹って呼んでいい?でも咲樹は字は違っても名前は変わってないんだな。驚いたよ」
「ふふっいいよ。私も驚いたわ。ところで暁は何歳なの?私は4月10日生まれで18歳になったばかりなの」
「えっ!僕も同じ誕生日で同じ歳だよ」
「えーっ!さすがにビックリした」
「やっぱり僕と咲樹は運命の人なんだよ。今度こそ幸せになるよ咲樹♪」
「うん。一緒に幸せになろうね暁♪」
暁・・・今度こそ幸せになろうね。
前世の私達の想いを叶えるために幸せに・・・。