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反撃

次々に小鳥が降ってくる中、アイリーンへの銃口が一瞬逸れた時、オスカーに声をかけた。


「今です!」


 その刹那、オスカーの身体は膨張し、見事に黒く艶やかな毛並みはそのままに強靭な筋肉としなやかな身体の獣へと変貌した。顎には鋭い牙と爪を持ち、優美さと危険な魅力のある大型の肉食獣であった。オスカーの変身に気を取られている間に、アイリーンは『ギルバードの傷が治れ』『モーリアンの鉄の輪が外れろ』と素早く書いた。間に合ってとアイリーンは心から願った。母の時のように手遅れなら、自分は無力だ。モーリアンは呪縛から解放されると雛たちに呼びかけた。


「我が子らよ、奴らを追い払え!」


銀翼の小鳥たちが一斉にローブを着た男たちに襲い掛かる。銀色の羽根が辺り一面に降り注ぐ。その中心にギルバードが倒れている。それは正に先見の魔女に見せられた風景そのものだった。


「わわ、ちょっと! 商品だから、殺したらダメだぞ!」


レギーもパニックになりながら指示を出すが、そこにオスカーが飛び掛かる。レギーは風魔法で対抗しながらオスカーを捕獲しようと試みる。アイリーンはギルバードの元へ走った。

しかし、ギルバードがいない。


「お前、死んだんじゃなかったのか?!」


ギルバードを撃った男をギルバードの剣が切り裂いた。


「お生憎様。この通りピンピンしている」


血まみれのギルバードは男たちの弓矢を難なく躱し、的確に急所を捕えていく。


「ああ、もう! いったん退却だ! 捕まえた鳥だけ持って逃げるぞ!」


スキンヘッドの男が頷く前にオスカーがリヤカーを破壊した。中から閉じ込められた小鳥たちが飛び出す。


「あぁ! なんてことするんだよ! もう、いい。あの方の魔法に頼るぞ。アーロ、来い!」


レギーはスキンヘッドの男を呼ぶと魔法陣に血を一滴垂らした。アイリーンも見たことの無い魔法陣であり、特殊な石板に刻み込まれていた。


「それじゃあな、魔女さんよ! また、会おうぜ!」


レギーとアーロは虚空へと消えた。


お読みいただきありがとうございます。


次回「終章」をどうぞよろしくお願いします。

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