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ブラッディ・マリー

一階にある柱時計が十二時の鐘を鳴らす。それとともに三人の少女がゆっくりと階段を昇っていく。それから踊り場につくと三回周って、マリーの名を呼んだ。その時だった。鏡が水面のようにゆらりと揺らめいた。髪の長い女がすぅっと腕を伸ばしている。なぜか少女たちはそれに気付かず、鏡に見入っている。


「出てきたぞ! 魔女よ、捕まえろ!」

「約束の魔女が記す。世界の摂理よ、しかと刻め『鏡の中に潜むモノ、顕現せよ』」


ずるりと鏡から長い黒髪の女が出てくる。それを見た少女たちが悲鳴を上げる。


「すまない。少し眠っていてくれ」


ギルバードが剣を振るうと微弱な雷魔法が放出され、三人の少女が崩れ落ちる。それをマチルダが階段から落ちないようにそっと受け止めた。


「うぅぅぅぅぅぅ……」


女は呻き声をあげながら、鏡の前で倒れこんでいる。


「これは……幽体?」


アイリーンがそっと女の肩に触れようとすると、するりとすり抜けてしまった。しかしアイリーンが腕を引こうとすると、女は逆にその手を握った。


「アイリーンさん?!」


ギルバードがアイリーンの元に駆け寄ろうとすると、女が口を開いた。


「あんたも……魔女なの?」


お読みいただきありがとうございます。


次回「魔女の残渣」をどうぞよろしくお願いします。

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