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血まみれのいばら姫

治安防衛団が到着するとそこには懐かしい顔があった。


「デイヴィッド」


小麦色の髪をしたのっぽの青年が緋色の美女の後ろに控えるようにやってきた。一時期、士官学校で同期だった友人である。


「ギルバード、どうしたんだ、その恰好は? 騎士団員に任命されたんじゃなかったのか?」

「まあ、いろいろあってな」

「ギルバード? ギルバード・キャンベルかしら?」


美女が振り返ってギルバードを見た。その眼力にやや気圧されながらギルバードは肯定した。美女はふっと鼻先で笑った。その動作も美しい。


「なるほど。ここが『魔女』の家ってわけね。ふん、じゃあ、あそこで死んでるのもあなたの仕業かしら?」

「そうです。自分が仕留めました」


何故、最高機密であろう魔女と自分の事を知っているのだろうとギルバードは疑問に思いつつ美女を見つめ返した。


「あーあ、それじゃあ、このヤマ追っても仕方ないわね。帰りましょう、デイヴィッド。殺され方も普通、死んだやつらは悪党、正当防衛成立で何にもならないわ」


そう言い残すとヒールの音も高らかに美女は去っていった。デイヴィッドはそれを追いかけてギルバードに軽く手を挙げた。どうやら苦労しているのはギルバードだけではないらしい。


お読みいただきありがとうございます。


赤毛の美女に関しては「悪役令嬢ローズ・ウィルソンの迷推理」をお読みいただけると嬉しいです。


それでは第一部最終回でお会いしましょう。

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