第1話 プロローグ 現実と異世界の狭間
男女数人が『好条件での異世界転生』を賭けたデスゲームが開幕する・・・
目を開けると、そこには文字通り何も無い白い空間。
その空間におれはポツンと棒立ちしていた。
(此処は何処だ?)
高校の部活終わりに商店街に買い物に行って、肉屋でコロッケを買った所迄迄は覚えているが、それ以上思い出すことが出来ない。
何と言うか・・・
《【記憶が無い】に近い感覚だ》
『きみはしんだんだよ!』
突然部屋中に幼い男の子の様な声がそう響き渡った。
突然の事におれは「わっ!」と大声を上げてしまったが、そこは深呼吸。
前後左右部屋中を見渡す際、最後に後ろを見た時、そこには顔がカエル、身体が兎の様な生物が笑みを浮かべ宙に浮いていた。
『ふふふ、驚いてる驚いてる』
(誰だ?この動物・・・動物なのか?
て、死んだ!?おれ死んだのか?まだ18だぞ??)
「あのー、死んだってどうゆう・・・?」
『物分かりの悪い子だなぁ。嫌われるよ?嫌われちゃうよ?いいの?』
狂気。その生き物から何故だか殺意。これ以上聞いたら《終わる》気がしたおれは黙り込んだ。
『いー子だなぁ。そんな君にはこれをあげよう!』
そう言うと、その生き物は手紙とプリントと免許証の様なカードを1枚ずつ手渡し、いやこの場合《足渡し》のが正しいだろうか。
まずは手紙に目を通す事にした。
風を開け中を確認。
内容は
【デスゲーム
君達にはこれから命を賭けたゲームをしてもらう。
生き残った1人には《異世界へ記憶を所持したまま王族として転生する権利》を与えよう。
だが、このゲームで死んだ者は魂ごと消滅してもらわなくちゃならない。それがルールだ。
既に死んでいる君達には、悪く無い条件だと此方は考えている。
それでは幸運を祈る。
Mr. X】
(デスゲーム?魂の消滅?好条件での転生・・・開催者の存在か。。)
この状況にこの生物。この現実を受け入れつつあったおれは次にプリントを目にした。
【ルール
《ゲームについて》
デスゲームは1つのゲームで最低でも1人死ぬまで、又は期限を過ぎる迄は終わりません。
1回のデスゲームで1人死んだ場合、ルールに記述がないならばその24時間後にゲームは強制終了され、生きている者の怪我も同時に治癒されます。
ゲーム終了後は24時間の休憩時間が与えられます。各自部屋はありますが出歩く事が可能です。
《能力について》
ゲーム毎に1人1つ能力が与えられます。
能力はカードを確認して下さい。
その能力は生存していた場合次回に引き継ぐ事が可能です。
人をゲーム中に殺した場合その者の能力を奪う事ができ、この能力も次回に引き継ぐ事が出来ます。
《以下の規約を破った場合即退場となります》
1条.ゲーム以外での殺しは基本禁止。
2条.忠告を無視した場合。 】
(少し難しいなぁ。規約に関しては逆にゲームでなら何しても良いって事なのか。。忠告?さえ守れば。)
最後にカードに目を通すと、そこには見た事もない《男の写真》が貼ってあった。
「あの、このカード間違えてませんか?」
『間違ってる??ああ、これ見てみ!』
すると突然目の前に姿見が現れた。
(なんだこの顔!?写真と同じになってる!?)
『驚いてるねぇ、さっき言ったでしょ?死んだって。それはこの世界での仮の姿。魂の姿だよ!心の姿が反映されるんだ!』
(心の姿・・・背が縮んだって事は気が弱いって事の暗示かなんかか?...て。
今更だが、この状況を受け入れている自分は普通なんだろうか?)
カードを詳しく見ると様々な情報が大雑把に書かれていた。
【現名前/ウィル 性/男
元名前/山路 海斗 性/男
第一ゲーム能力/《透視》物や人を透視して見る事が出来る。だがデスゲーム公式の封筒や生地は透かす事は出来ない。 】
(透視か・・・周りがどんな能力か分からないがこれは結構な当たりじゃないのか!?
それとこのカードの内容は他の人には黙っといた方がいいな。)
『それじゃあいっくよー!!』
突然生き物が大きな声でそう叫んだ。
「え...え?行くってどこに!?」
『いってら!!』
すると床に穴が空き、おれは吸い込まれる様に穴に落ちてしまった。。
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