夜の森の中の川
○夜の川
森の中、
川の上流に向かい
川のほとりを歩いているロッド。
うっすらと…
月の光が川に指し、
その川からの光の反射で、
川の中に人影ができる。
人影は、
川の中で
水を浴びている。
ロッド・モノローグ
「人か?」
素早く、
木の影に隠れるロッド。
木陰から、
人影を視る。
人影の頭の上が
月明かりに照らされて
光っている。
ロッド・モノローグ
「さすが山の中でも
ニューヨークだけあるぜ
真夜中に、
こんな川で
頭洗う人間がいるとはな」
ロッドは、
人影を
やり過ごそうと
暗い森の中を
入っていく。
人影の声
「キュー?」
ロッド・モノローグ
「キュー?
映画監督の練習か?
やっぱりニューヨーカーだな」
森の中から川を視るロッド。
人影は
口が尖っている。
ロッドの目が丸くなる。
ロッド
「UMA?
人間じゃない?」
ロッドは、
一瞬AI銃を抜こうとするが…
フォンが使えないのを見て
すぐさま、
背中に手をやり、
腰のジーンズの隙間から
銃を構える。
そっと人影に近寄るロッド。
人影を観察するロッド。
手のひらが広い
それに対して
指が短い。
嘴のような口。
背中に、
固い甲羅を
背負ってる。
ロッドの額から、
汗が流れる。
ロッド・モノローグ
「ワット❗️
よりによってこんなときに
UMAか…
今日の俺は、
ついてるんだか
ついてないんだか
わからないな」
皿のように光る頭を洗うUMA。
UMAは、
人のように頭を洗う。
ロッド・モノローグ
「知能も
それなりに
ありそうな感じがするが…
あの口…
人を襲うタイプなのか?
もしそうならば…
組織の連中が
おそらく
俺を探している…
うかつに
発砲できないし、
フォンが寝ていて
パワージャケットも
AI銃も使えない。
大声も出せない。」
UMAは、
ロッドの方の森の影を見る。
その一瞬…
UMAは、
しゃがんで、
川に口をつける。
新しい生態が、
未知の行動をとってる。
ロッド
「うっわ❗️
川の中に隠れてるのか?
警戒してるのか?
俺の名前はロッド、
無償で金をくれるヤツには
基本的に優しい男だ。
警戒しなくてもいいぞ」
頭と甲羅だけ、
川から出して、
ロッドを見つめるUMA。
ロッド・モノローグ
「このまま…
ゆっくり引くか…」
ロッドは、
銃口を
UMAに構えながら、
ゆっくりUMAから
距離を取り出す。
突然、
動き出すUMA。
ロッドが引いたぶんだけ、
川から川辺に上がり、
ロッドとの距離を詰める。
ロッド・モノローグ
「シィト❗️
やっぱり、
俺を狙ってるのか?」
川から出てきた
UMAの腹が
膨らんでる。
ロッド・モノローグ
「ヤバイ、
いくらなんでも、
一瞬で太りスギだろ❗️
これはヤバイ雰囲気だ」
ロッドに
更に
ゆっくり近づいていくUMA。
ロッドの方を見るUMA。
ロッド・モノローグ
「…なんだ?
見つめられてる…
すまんが
その頭じゃアフロは
難しいぜ」
次の瞬間、
口から物凄い勢いで、
水をはく。
水の大砲。
それは
ロッドの胴体に当たる。
吹っ飛ぶロッド。
UMAは、
吹っ飛び倒れたロッドに
飛び乗る様に襲いかかる。
音
「パンパン」
その音と同時に
ロッドは
体を横に一回転させる。
ロッドは、
フラフラに立ち上がりながら、
UMAの様子を見る。
ロッド・モノローグ
「大丈夫だよな?
もう動かないよな?」
ローキックで、
UMAを蹴るロッド。
ロッドは、
深呼吸と共に、
腹を押さえる。
ロッド・モノローグ
「この
ジャケットに
防弾機能がなかったら
やられてたんだが…
肉食系のUMAか…
恐ろしい…」
UMAを見るロッド。
ロッド・モノローグ
「ってかUMA殺して平気か?
殺した俺は捕まるのか?」
頭を抱えながら、
回りを見渡すロッド。
ロッド・モノローグ
「そうだ
発砲したからには
ここから逃げないと…
組織の追っ手が
嗅ぎ付けて来るかもしれない」
ロッドは
足早にその場所を去る。