谷底
○四時45分…
車の中
ロッドは
エアーバッグに包まれながら起きる。
ロッド
「おー❗️
ゴット」
左右を見るロッド。
ロッド・モノローグ
「助かったのか?」
ロッドは、
空いている窓から顔を出す。
森の中、
車が
谷底にある木にぶつかって
斜めになっている。
ロッド
「助かった」
ロッドは、
車から出る。
ロッド
「フォン、
ここはどこだ?」
サングラス
「…」
ロッド
「おい、フォン」
サングラス
「…」
ロッド
「オーマイガー」
頭を抱えるロッド。
ロッド・モノローグ
「フォンがいかれやがった」
ロッドは、
車からリュクをとり出す。
胸から
スマホを取り出すロッド。
グーグルマップを見ようとする。
ネットに繋がってないと表示される。
ロッド
「はん?」
ロッドは
アンテナの本数を見る。
ロッド
「チッ圏外だと?
だからフォンも
動かないのか?」
車のドアのサイドポケットを見る。
懐中電灯と地図が入っている。
懐中電灯を照らし、
地図を広げるロッド。
ロッド・モノローグ
「ダメだ
全然わかんねー」
その場で
寝転がるロッド。
ねそべながら、
夜の緑の木々を
見上げる。
そして、
木々の隙間から
見える夜空。
ロッド
「悪くないな」
何気なく
腕時計を見るロッド。
四時45分を指す。
ロッド・モノローグ
「組織の追っ手が、
追いかけてくるかも
しれない。
のんびりしてられない
もう少しで夜明けだ」
起き上がるロッド。
近くに水の音がする。
ロッド・モノローグ
「川のせせらぎ…」
ロッド
「フォン、
暗視ゴーグル」
サングラス
「…」
サングラス
「…そうだったな
今日は
休日にしといてやる」
ロッドは、
サングラスを外し、
ジャケットから
サングラスのケースを
取り出す。
サングラスのケースを
開けるロッド。
ケースの中には、
アニメキャラクターの
マグカップの破片が
入っている。
ロッド・モノローグ
「ふー、
親愛なる中月先生…
私の人生は
お釣りで偽札がくるような
そんな感じでして
それでも…
今日は、
お釣りが
ちょっと多めです」
ロッドは、
マグカップの破片を
メガネケースの中にあるメガネ拭きで
丁寧に覆う。
サングラスのケースに
その覆ったメガネ拭きと
サングラスを
入れる。
サングラスケースを
リュクに入れる。
素顔で
川の音の方に
向かう。
○夜の川、森の中
森の中に流れる川。
ロッドは
川の水で顔を洗う。
地図を広げるロッド。
ロッドは、
川に指を突っ込む。
ロッド・モノローグ
「確か地図に川があった。
おそらく別邸は、
上流の方だったな」
指で川の流れる方向を確かめるロッド。
ロッドは
上流に向かって
歩いていく。