第九話
「うおー!立派な門!」
幅は道路4車線分くらい、高さは二階建てアパートほどの大きな木製の門。現実ではなかなか見れない物だ
奮発してVRゴーグルを買って良かったと思える景色だ
「うおー!ぼっちいに凄いなこれ!燃えたら凄そー!」
「なんで燃やすんだよ」
街の外壁周りに川が流れていて、その上を橋が架り、橋を歩いて渡る
門扉は開いていて、人が疎らだけど出入りしている。荷馬車の主人らしき人は、門にいる兵士とニ、三会話をしたら入っていった
「タケ、街に着いたけどどうする?さっそくプレイヤー探すか?」
「うーん、後でええやろ。とりあえず今はこのゲームを楽しもうや。プレイヤーはそのうち会えるやろ」
俺も同じ考えだった。まだ始めてからそんなに時間は経っていないし、楽観的かもしれないけど、街を探検したい好奇心の方が大きくなっていた
「確かにな。このゲームのプレイヤー人口知らないけど何とかなるだろ」
数メートル先の門扉の横にいる兵士と目があった
「どうもー」
多分NPCだから挨拶しても特に何もないけど、初めての街だからテンション上がって挨拶をしてしまう
「初めての顔だな」
NPCが返答してきた
「ぼっちいに、武器屋か防具屋行こうや!」
「いいね!でも金がないぞ。金を稼ぐ方法も知りたいなー」
「ぼっちいに、こういうゲームは大抵ギルドみたいなんがあるんや。そこでクエストを受注してクリアするんやで。そしたら報酬にお金が貰えるんや」
「なるほどなー。俺しばらくゲームしてなかったからお決まりみたいなの分からないんだよ」
「……あ!おい!こら!そこの男女2人組!!」
俺たちが振り返ると、先程のNPCが小走りで近づいてきた
「普通に通ろうとするなよ!許可出してないだろ!」
「え?駄目なの?」
「駄目だろ!通行証を確認できないと通す事ができない決まりなんだよ。常識だろ」
「なんだよこれ。タケどうする?せっかく来たのに入れないじゃん」
「このパターンは想定外や。やっちゃうか?」
「なんで?いやいや勝てないだろ。勝ってもこの街入れないんじゃね?」
「君達物騒な事言ってるね。とにかく通行証がないなら駄目だから、帰った帰った!」
こうして俺たちは再び門扉の手前に戻った