第十三話
横切る間の僅かな時間だったが、俺たちにはそれで十分だった。なぜなら、その走り抜けていった青年であろう後ろ姿は、学ランだったからだ。
「タケ、あれはプレイヤーなんじゃない?」
「ゲームであるならその通りやな。でも違うと思うわ」
「あー、事故ってワープしたタイプか?」
「せやな、多分あいつが絡まれるから、俺たちは気楽に受付けで登録しようや」
「ラッキーだな。でも声かけてみた方がいいんじゃないか?何かしら知ってるかもしれないし」
「ぼっちいにの考えは一理ある。だけど、まだ様子見や」
「ふーん。よくわからないけど、登録するか」
なかなかギルドの扉に近づけない俺たちがようやく歩き始めた時、扉がバギィ!っと音がして同時に成人男性が吹っ飛んできた
扉の奥には学ランの青年が立っていた
「うわ!?」
「そおい」
びっくりしたが、俺たちは左右に避けて当たらずにすんだ
すると、学ランが一言「見た目で判断するとは愚かな…」と言って、奥へと消えてった。
「タケ、あいつは絡まない方が良さそうだな……タケ?」
「ぼっちいによ、この後は飯やな!」
タケは倒れているチンピラの財布からお金を盗んでいた。手にはジャラジャラとコインが動いている
「…善は急げだな!」
俺たちは走ってギルドに入った