第十一話
俺たちは門を行き来する人々を観察してみる事にした
どうやら、首からかけた小さなプレートを門兵に見せることにより入れるみたいだ
「タケ、あのプレートが2つあれば通れるみたいだな」
「ぼっちいによ、歴史は繰り返すって事やな」
タケをみたら、その手の中には石ころが握られていた
「通行人は兎じゃないだろ。あと、その言葉の使い方は違うと思う」
「冗談やで。通りすがりの馬車の荷台に隠れて突破する」
「バレた時が怖いな」
「ぼっちいによ、この大きな門に対し兵士はあの1人だけや。俺たちから見て左にいる。そして、通行人のプレートしか確認はしてないんや」
「つまり?」
「荷馬車の荷台は見ていない」
「荷台に隠れていたらバレないって事か」
「せや」
「って事は、これから街に入る馬車の主との交渉が必要だな」
仮に馬車の主と話すことが出来たとしても、俺たちには交渉材料が無い
お金はもちろん無い。貴重なアイテム、装備品もない。茶色の布の服に、紺色のデニムパンツ、靴は黒のブーツといったラフな格好。もちろんタケも一緒。おそらく初期装備みたいなものだ
「ぼっちいによ、交渉なんて面倒な事はやらへんよ」
「石ころは無しだぞ」
「こそっと荷台の側面にしがみついとくだけや。門兵からは、荷台の右側は全く見えないはず」
「なるほど。それだと通り抜ける事はできそうだな。でも、門兵が何気なく振り返ったりしたらどうするんだ?」
「焦るなぼっちいに!…切り札は最後までとっておくものや」
「初手が弱すぎじゃないか?それで、切り札とは?」
「門兵にどうすれば入れるか聞く」
「流石切り札、それでいこう」
こうして、門兵に仮の通行許可証をもらい、俺たちは街に入る事ができた