第十話
俺たちは門の前まで戻された
このままでは野宿になる。もしかしたら魔物に襲われるかもしれない
しかしそんな事よりも、俺は最近のゲームの発展に感心していた
「なんかNPCと会話できてたな。凄いな最近のゲーム」
「…ぼっちいによ、小さな可能性が今、俺の中で少しずつ大きくなっている」
「ん?急になんだ?」
「このゲームは最近のではないんや。数年前のゲームのはず。だから、新規ユーザーを獲得する為に経験値3倍のキャンペーンをしていたんや」
「って事はもっと凄いゲームが存在するって事か?」
「そういう訳ではないんやで。ぼっちいにはヘッドスライディングで痛かったんやろ?」
「痛かったぞ。冗談ではなく」
「そこや。ぼっちいにはゲームをしばらくやってなかったから知らないだろうけど、痛みを感じるゲームなんて存在しないんや」
「つまり、どういう事だってばよ」
「ステータスも見れない、痛みを感じる、その辺の石ころを投げれる。VRゴーグルも取れない。というかなくなってる。…これはゲームじゃないんやないか?」
「え!?じゃあこの腕の擦り傷は時間経過で回復しないのか?!」
「そこなん?しかもそれに関しては現実でも時間経過で自然に治るやろ」
「全くわからないんだけど。あれか?この世界で死んだら現実の俺たちも死ぬって事?」
「慌てるなぼっちいに!…まだゲームの可能性があるから確定ではないんや」
「別に慌ててないけど。ってかなんでそんな事考えつくんだ?怪しいな。タケ、俺を嵌めやがったな?」
「焦るなぼっちいに!…最近の漫画やアニメでよくあるシチュエーションだったんや。大体ニートが何かやらかすか交通事故で学生が死んだりすんねん。そしたら異世界に行ってしまうんや」
「別に焦ってないけど。でも俺がニートになったのは最近だぞ」
「そこは俺やろな。ニート4年目だったから」
「なるほど、俺関係ないじゃん。なんで俺もこんな事になってるんだ?」
「最近は巻き込まれるパターンもあるんや」
「タケのせいじゃん!どうするんだよこれ!?」
「とりあえず、街になんとかして入ろうや」
「街に入ってから作戦会議って感じ?」
「作戦会議は今からやるぞ。テーマは街に入る方法」
「まずはそこからか…」
まだ頭の中で整理できてない情報を後回しにして、話し合いを始める事にした