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第151話「回天」


 巨大な施設であった。

 -15℃以下の凍り付いた通路。


 扉はシンと冷えて触れれば指先が凍り付きそうでもある。


 円形に封鎖された金網の壁。


 入口は強固な鎖で閉ざされ、正面玄関の扉は嘗てならば重機や車両が大量に積み上げられて入る隙間も無く埋められていたはずだ。


 だが、そんなのは今になってみれば、子供染みた話。


 外側から見れば、それはゾンビから身を護った南極観測所の成れの果て。


 と……普通ならば思うのだろう。


 無論、それはある程度の知的な生命体に対しての心理的な偽装に過ぎない。


 半円球状の設備は真正面から斬り裂かれていた。


「知っているか。大陸には胎児を魔術具とする時に一つの制約があった」


 ガン、ガン、ガン。

 そんな氷を削る音がした。


「それを定めたのは始原に近い魔術師だったと聞く」


 砕けた氷が蒸発していく音が周囲に蒸気と共に昇る。


「胎児の魂が輪廻の輪に加われるよう。魂だけは還せと。その制約を定めた者は説いた」


 蒸気がゆっくりと冷えて水滴となり、再び周囲に滴って周囲の湿度を上げていく。


「ある日、その制約を破った魔術師がいた」


 氷が再び砕かれる音がした。


「そいつはその日の内に消えた。輪廻の輪から魂を引き抜いた事に怒った神に罰されたのだと多くの魔術師達は語った」


 氷が溶けて蒸発して水滴となって声の主を濡らす。


「だが、それは偽りだ。今ならば、それが解る。輪廻の輪は何もしない。神もまた赤子を救わない。しかし、一つだけ隠された真理が……魔術師を消した」


 青白い輝きが何かを掴み。


 その表層を割りながら、内部に手を突き込み、引き上げる。


「赤子は目覚めたんだ。輪廻から舞い戻る魂。そう……魔術具へと変貌する最中、嘗てを思い出した……大陸において信奉する神に魂を収集された者達は輪廻によって新たな力を付けていく。人類をより良く導く為に神が人に与える祝福は超常の力や魔力の増大を招くのだ」


 声の主は男だった。

 そして、声の主は鎧われていた。


 青白い鎧が今、正に南極大陸大深度最下層から掘り出したソレを前に語る。


「この人護る神無き世界において今……神名乗る者達が跋扈する」


 蒼褪めた騎士。

 そう呼ばれた男は己の鎧と瓜二つ。


 色合いだけが違うソレを前にして気怠い体でゆっくりとソレを背負った。


「人名乗る獣。奴らを全て滅ぼさねば……全ての命は……」


 男は喘いでいた。

 超絶なる悪鬼。

 人類終焉を齎した悪魔。


 そのはずである男は鎧一つを背負うだけで倒れ込みそうになる己を何とか気力によって立て直し、この死すら無き不毛の地の底で階段を昇る。


 途中、足が縺れて階段を転げ落ち。

 それでも手を伸ばして、鎧を運ぶ。


「く……くく……悪足掻きを……確かに……これは我らにとって鬼門の地か」


 過去、南極には幾多の生物がいた。

 その《《死》》は残っていないのか?

 答えは正しく0という形で彼らを蝕む。


 死の溢れた大地ならば、彼らは正しく神の如き力を振るう者である。


 だが、彼らにも欠点が無いわけではない。

 それは純粋だ。


 彼らにとって活動する際の魔力出力は死の貯蔵量に比例する。


 ソレは場所に集まる死が魔力そのものとして彼らにとっての動力源である事を意味する。


 鎧そのものに魔力を宿す事は出来るが、それには限界があるのだ。


 それこそ彼らは動く死体。


 死を僅か発しているが、生きてもいる為、ロクな出力は出せない。


 生身の人間のような新陳代謝での制約こそ受けないが、逆に死体としての制約を受ける。


 死体に魔力が凝っても限界がある。


 腐っている以上は魔力の消耗や燃費は極めて劣悪だ。


 それを誤魔化し切れるようになるまで随分と苦労しもした。


 紅蓮の騎士などはそれでも魔術師としての技能のおかげで単独での死の無い場所での活動時間がかなり長いとの話。


 だが、彼……蒼褪めた騎士にはそんな技能も無かった。


 死が溢れている世界ならば、正しく主神にも匹敵する力を得られる者だろうと今此処においては単なるアンデッドやゾンビにすら劣る。


「ぅ……」


 それでもゆっくりと男は再び無限にも思える螺旋階段を昇り始める。


 今にも軋んだ階段は崩れそうだ。


 途中まで破壊されているが、最後に脱出した者が命を惜しんだせいか。


 未だに使用する事が出来た。

 それでも破壊された部分は跳ぶしかない。

 もしも落ちれば、その衝撃で階段は崩れ落ち。


 もしかしたら、彼は氷塊と鉄屑に埋もれて永劫に意識を保ったまま生き続けるかもしれない。


 だが、そうなるかもしれなくとも、彼に鎧を捨てて戻るという選択肢は無かった。


「夢を見るならば、何故もっと……」


 腐った血反吐が吐息に混じり鎧の中から滴る。


 咳込みながらゴルゴダを上がる聖人の如く。


 鎧を背負った男は歩く。


 その一歩毎に骨は砕け、腐った肺は出血し、溺れ、逆流する腐肉混じりの胃液で喉を焼かれていくとしても歩みは止まらない。


「……聖者は凪の夜に留まり、我いざや奏でん」


 僅かな魔力の絞り粕を舌に載せる。


「常世嘆きに満ちて、されど汝と宴に酔い痴れて」


 ほんの僅か過去を思い出すだけの魔術。

 腐った脳裏には記憶すら思い出すのは苦労する。

 だが、それでも肉体を強化したとて高が知れている。

 ならば、後は男にとっては気力との勝負。

 だから、ソレは最善手。


「―――」


 ザラついた足元が崩れたような気がした。

 男の手には血がこびり付いている。


『裏切ったのかぁぁあぁああああああッッ!!?』

『あなた……どうかお元気で……』

『人間? 君達はおかしな事を言うなぁ……』

『蘇れば、儚き命。それだけだ』

『全ては人類の為なのだよ。命とは―――』

『正義は無いのか!! 貴様らに正義はッッ!!!』


 ―――【我、傲慢の化身にして蒼褪めしもの。汝、契約を望むか?】


 バツリと男の手が腱が切れて砕けるのも構わず、階段の手摺を軋ませる。


「そう、だったな……」


 男は歩き出す。

 その足取りは前よりもしっかりしただろうか。

 力など入らない。

 今にも倒れそうなのも変わらない。

 だが、男の唇の端は崩れて尚歪んでいる。


「全ては泡沫……この星の獣を全て駆逐せんッ」


 振動。

 男は気付く。

 遥か下で何かが破壊されたのを。

 恐らくは最後の罠。

 全てを共に生き埋めとするだけの。


「運命とは己の手で切り開くもの、だ」


 その足が階段を2段、3段飛ばして駆け上がる。

 螺旋階段の壁面。

 氷漬けになっていた無数の機器が崩れていく

 その多くが保育器のようにも見える。


 更にその奥には試験管らしきものが大量に並べられた空間が見える。


 崩落に階段が下から呑み込まれていく。

 それでも諦める事など無い。

 足が砕け、手が伸びた先。

 何も無い虚空に指先が―――。


「おっとぉ。ピンチですなぁ。人類を滅ぼしたい先輩?」


 いつの間にか。

 男は鎧を背負っていなかった。


 しかし、鎧は確かに今にも崩れていく地下への階段に手を伸ばしている。


「ゥ゛オ゛オオオォ゛オオ゛オオ゛オ゛オ゛!!!」


 手が確かに掴まれた。


 そして、引き上げられ、通路に体が捨てるように投げ出された。


「―――貴様、貴様は誰だ!?」

「おや? ご存じない?」


「まさか、在り得ないッ!! 頚城は我ら《《人類種》》の―――」


「ああ、一種の人類には使えないセーフティが掛かってたわけね。くくくく、いやぁ、そういう事かぁ。発掘隊の連中は全滅した事になってたけど、恐らくいたんだろうなぁ。オレみたいなやつがさ。あの時の声が契約だったわけね」


「貴様ッ、混血者か!? ガッ、グホォッッ?!!?」


 腐り落ちる肉片と共に黄土色の汚液を吐血した蒼褪めた騎士。


 人類の敵である男は今度こそ崩れ落ちる。


「ああ、割合で行くとそういう事になるのか? ま、血統なんぞ単なる偶然だろ。だが、あの時の荷物が、こんな場所に隠されてたとはねぇ……」


 鎧が周囲を見回し、落ちていったものをまた見つめ、ははぁん?と納得する。


「面白い事考えるなぁ。戦線都市の連中は頭がイカレてたのは知ってるが、こんな南極のど真ん中で人工出産装置を大量設置して実験。生まれた赤子を南米に移送……死を完全に消し去ったのか。残った国に僅か供与されてた人工出産技術がこんなところで開発されたとはお天道様も知らんだろうぜ」


「貴様、やはりッ!! 返せッッ!! その頚城はッッッ!!?」


「お前らも憐れだよなぁ。あっちで色々と脳裏に入って来たが、そういう事かよ。だが、生憎とコイツはオレを選んじゃったわけだ♪ 返してはやれないな♪ せっかく、人類絶滅をもう一度という機会を得たんだぜ? これはアンコールした神様に文句を言えよ。おっと神無き世界、だったか?」


 ゲラゲラと嗤いながら、男を鎧が蹴り付けて転がす。


「ガハッ?!!?」


「おやおや、限界じゃぁないっすか~~♪ 人類を震え上がらせた蒼褪めた騎士様とは思えん醜態……むふふ、これ使えるんじゃね?」


「何をッ、する、気……だ……ッ」


「いやぁ? 妻は出産後すぐに他界。赤子は死産とか。そんな話を真に受けて、本当の事を知った時には全て手遅れだった哀れな怪物にオレの舞台で装置にならんか誘おうかと思って。あ、拒否権は無いよ」


 ゲシッと再び蹴りが男を蹴り転がす。


「それにしてもお前らが人類を滅ぼす理由とやらは本当に《《真っ当》》なんだな。だが、生憎とお前らの危惧してた通りの現実が迫ってると」


「ぅ………」


「10年待てば勝てるってのは悪手だったんじゃないか? それが逆に今のお前らの体たらくの遠因になってる。全て滅ぼす覚悟で戦ってりゃ、全部どうにか出来ただろ? 結局、お前らもBFCと変わらんじゃないか。あちら側を護る為にこちら側を滅ぼす。こちら側を護る為にあちら側を滅ぼす。その違いだけだ。いや、BFCの場合は護るってのがアレになるが何ともアレだが……」


「こ……れは……」


「生存闘争だろ? 泣けてくるね。お前らが言う獣としては納得の境地なんだが、生憎とオレさぁ。人類の行く末にもお前らの護りたいもんとやらにも今何も興味無いんだわ」


 男の頭が掴まれた。


「あっちにあの女も来てなかったし、戦船とやらも行方不明。だが、此処には生憎とアンタという玩具が転がってる。悪いなぁ。本当に悪いと思ってる。あんな可哀そうな事になったアンタを更に可哀そうな事にしちゃうと思うとさぁ。胸が痛む。痛むよ。ホントホント」


「……っ」


 ズルズルと男が引きずられ、出口寸前の場所に投げ捨てられ、両手両足が帯剣で根本から斬り飛ばされた。


「ぐぁああぁあぁあ!!?」


「幸せの価値を忘れちまった人類の為にちょっくら一肌脱ぎますか♪ お代は人類の総人口の何十%くらいになるか分からんが1%を残すくらいでも十分だろうしな。ふふ、くくくく」


 剣が振られ、巨大な研究施設が崩落し、騎士が生き埋めとなった。


「あ、後で取りに来るまで大人しくしてな。あ、ちなみにオレがどうしてお前らと違って活動出来るかって?」


「―――」


「頚城の術式は確かに普通の人間に使えば、ゾンビや完全版ゾンビ野郎、FC連中みたいな《《資格者》》に出来るが、一つゲームのバグ技みたいな事が出来るみたいでよ。いや、こいつはネタばらし回まで取っておくか。コイツも特別だしな」


 まるでホクホク顔の酔っ払った親父が歩くような気の大きさで自身を蔽う《《黄昏色の鎧》》をコンコン叩きながら吹雪の中を歩き始めた。


「さぁ、トリックスターの入場だ!! みんな、拍手~~……寒っ!!? さっさと日本に戻って口座開けるかぁ……元気かなぁ……オレ好みの可愛い騎士さんは♪ あ、それとオレの遺体も回収しなきゃな。あ~~火葬してくれてんなよ~~オレの可愛いベル君」


 ソレが空に飛び上がり、流星の如く南極上空から北上を開始した。


 そう遠くない過去。

 日本列島を核の恐怖に落としたテロリスト。

 何の因果か。


 再び、その牙は人類に向けて砥がれ始めたのだった。


 *


 世界が奇妙な現実によって更に侵食されている頃。


 日本の本土では復興事業と御引越事業による大混乱が……多少は起きたが、すぐに人々の頑張りによって鎮火していた。


 東京がめっきりと人間が少ない地域となり、数千万都市が1000万都市くらいになった後、次々に更地と備蓄基地と都市商業圏の凝集による主要市街地の圧縮で無人の地域が肥大化して出来たわけだ。


 関東圏から次々に地方へと移住した人々はそれなりに大変な目にはあっていたが、生活保障を善導騎士団が担うようになってからは一息吐いた様子。


 ようやく新居に移転して心機一転お仕事をし始める者も大勢であった。


 まぁ、それでも東京が文化の中心地である事には変わり無かった。


 今回の日本全土お引越し計画で大量の企業が地方に流れたが、それは同時に地方の活性化を意味しており、人間がガッツリ減っていた地方人口は倍増した。


 また、土地を持っていくという荒業によって再編された区画整理は格段に進んでおり、殆どの地域では安全の為にもと多くの民家や住宅が分散しないように移転され、より強固なコミュニティーの結成に向けて国からも指針が出された。


 地権者などに地下利用の権利を憲法停止下で放棄させた為、土地は動産化。


 持っている土地を国に言って自分の住まう場所に集合する事も一般的となったのである。


 これは政府が進めていた首都機能の分散移転、市町村の統廃合、第二首都、第三首都の遷都計画の更に推し進められた究極の姿と言えるだろう。


 各地の自衛隊基地もこの期に乗じて善導騎士団側からの諸々の支援を受けて基地機能の拡大や市街地の近隣へと移す作業が実行された。


 結果として地方は次々に強固な市街地のインフラ基盤、商業基盤、防衛基盤を獲得する要塞都市国家のような様相を呈し始めており、世が世なら戦国時代でも始まりそうな勢いで壁なども建設された、


『え~~我が村に善導騎士団製の高性能外壁が設置された事は誠に喜ばしい限りであり、村の家々の無償でのリフォームとインフラの整備など―――』


『(話長ぇ……善導騎士団ありがとうとかSNSに流しときゃいいだろうに)』


『シェルター一戸一個制を目標に整備された事でまた多くの人々が―――』


『(いや、だから長ぇって……シェルターどころか諸々おんぶに抱っこだろ)』


『では、これで開会式を終わりたいと思います。お待たせしました。皆さん!!』


『あ、村長。もう皆肉喰ってますよ。いやぁ、焼き肉なんて十年以上ぶりですかね!! あはははははははは』


『はらみは!? わたしのはらみはまだ残っているか!?』


『騎士団から300kg送られて来て、村民センターの冷蔵庫にまだ大量ですよ』


『よし来た!! ビールを持ってきてくれ!!』


『ノンアルしかありませけどね』


 山間部からは集団移転する者もいたし、最終的には亡命政権のようなコンパクトな市街地の造りがスタンダード化したのである。


 正しく、人々はゾンビの脅威の前に物理的に社会を分散し、凝集し、ネットワーク化し、一致団結する事を迫られ、受け入れたのだ。


 あの莫大な死者が出た東京都心での決戦の地には慰霊碑が立ち、周囲には公園が出来た。


 東京の各区は制度毎廃止され、人口の縮小によって維持が困難な地域は全て都心近隣もしくは現地でも人口を集約する地域にあらゆる機能を集団移転。


 残った人間には備蓄基地の仕事や善導騎士団や日本政府からの直接的な仕事を発注する事で生活を賄う事になった。


 無人化した都市部の地域は綺麗に消えて、ビルすら移転された為、残るものはインフラすらない。


 東京の地下インフラが丸ごと形を変えさせられたのだ。


 これは九十九などの機能と各地の行政と現場の土建屋に残る様々なノウハウやら情報を集約して短期間で都市を再設計した陰陽自と善導騎士団の成果であった。


『備蓄基地さん当ての小包でぇす!!』

『はい。判子判子……何処にやったかな』

『サインでもいいっすよぉ』

『はい。判子……それにしてもまた増えるのかぁ』

『ですね。トラック230台分になります』


『ドローン起動しなきゃ。あ、いつもの場所で開いてくれますか?』


『了解っす~~ホント、荷物卸しがドローンだなんて時代感じるっすよねぇ』


『此処の管理を1人で任された時はどうなるかと思ってたけど、神様仏様善導騎士団様だよ。本当に……』


『いいなぁ。基地の整備管理業務って簡単なんでしょ?』


『書類は電子書類で毎日十以上枚書く羽目になるけどね。殆どは決済書類だよ。それに正規の隷下部隊程の福利厚生は無いんだ。ま、それでも家族養ってくには現物と無償の教育カリキュラムだけで十分過ぎるけどね』


『それにしても今日は多いっすけど、何かあるんですか?』


『ああ、来た来た。実はね。此処に空飛ぶ鯨が寄港する事になってて』


『―――アレって……』


『ああ、例の鯨の最新バージョンの2番艦だそうだよ。これからイギリスに大量の物資を積んで応援に向かうんだそうだ』


 農地も共に持っていくという事を行っていた為、今や東京のみならず。


 関東圏はパズルのような区画の移転作業に追われている。


 この作業は本来ならば、2か月もすれば終わるはずだったのだが、イギリスへと空間制御可能な術師が流れてしまったので更に遅れるとの事。


 だが、それでも未だ東京は他の地域に比べても賑やかさは失われていない。


 次々に降り掛かる困難を前にしても人間のバイタリティというのは腹が満ちていれば、大抵何とかなるものであった。


「みんな~~~復興ライブ始めるよ~~」


 東京のとあるドーム会場。

 2万人入る観客席には高齢者も多く。


 少年少女達が歌って踊る様子はライブ配信されているにしても満員御礼であった。


 Eプロがこのゴタゴタしている時期に復興ライブと銘打って始めた祭りは首都級のインフラと設備を持つ地域において無料で行われている。


「今日は~~皆さんに私達の後輩ユニットを紹介する運びとなりました~~」


「可愛い子多いよ~~いや~~私には負けるけどね~~」


「おお、シュッピーはいつも通り、我関せず踊りまくりですね~~」


「シュピナさんに負けないよう新人さんにも頑張って欲しいところね♪」


 アイドル達の気ままなトークが終わると。


 すぐに演出でスモークの中から舞台裏より少年少女から青年美女まで数十名が出て来て、次々にグループ名を名乗りながら歌と踊りを繰り広げる。


 それも空中にまで飛び出したかと思えば、航空ショーのように自在に飛び回る。


 ワイヤーアクションなんてものではない。


 彼らは全員が魔力持ちであり、魔術師、魔導技能持ちの善導騎士団一般隷下部隊員……広報担当ユニットであった。


 壮大なカーニバル染みた舞台芸術。


 演舞あり、剣劇あり、諸々詰め込んだソレは想定以上にドーム内ですら華やかで人々を魅了していく。


 圧倒される人々を前にして楽しませる事を主軸とした彼らのパフォーマンスが終わるとすぐに撤収。


 今後、各地で分散しながらアイドル・ユニットとしての活動を開始する旨が告げられ、ネット上では無料配信された情報に心躍るファンが一定層生まれた。


「ほ~ら、アレがアイドルだ。アイドル」

「あいどる」


「そうそう。人々の性的アイコンにして偶像。正しく、時代の象徴にして社会を映す鏡さ♪」


「あいこん? ぐーぞー?」

「そうそう」


 ズチューッとグレーのスーツを着崩した二枚目の青年が懐のガンホルダーを見せないギリギリの着崩し方で最後方の観客席に座ってカフェラテを啜っていた。


 その横では同じようにカフェラテを啜るフード姿の少女らしき者が1人。


 金色の長髪がフードの下から一房零れていたが、それも構わず。


 煌めく黄金の瞳をアイドル達に向けている。


「愉しいかい? マイフェアレディ? いや、リトルレディ?」


「たのしい……たのしい?」


「まぁ、まだ理解不能か。本能的な部分はあちら側なのだな。やはり」


「?」


 顔を向けられた青年は微笑んでからバカッとスナックの袋を開いて少女の手に持たせる。


「それが日本のスナックだ。ポテチと呼ぶらしい」

「ぽてち……」


 中身を取り出してあどけない口が穏やかに食む。


「日本のスナックは旨いと結構好評なのだよ。全世界的に見てもね。ま、今じゃ各種のフレーバーが復活して幸せな人々も多いらしい」


「ふれーばー?」


「そうそう。甘味と少女は相性が良いとも聞くし、後でケーキ屋さんに連れていこう。カカオ原料の復活でチョコ菓子が隆盛しているとも聞くしな」


「かかお? ちょこ?」


「そうそう。では、行くか。御手をどうぞ。お姫様」


 青年がまるで畏まった執事のように一礼して手を差し出せば、少女はその手を執って、黒のコート姿で静々と青年に手を惹かれ歩き出した。


 今は人気の無いドーム内の通路。


 スーツ姿の青年とロングコートの少女はまるで兄妹には見えない。


 同じ金髪なのに微かに少女のフードの内側から漏れる気配が青年とは異なる事が多くの人間には理解出来るだろう。


 長い通路を歩いた先には出口。

 しかし、青年は不意に足を止める。


「出てきたまえ。こんな(かよわ)過ぎる老人を待ち伏せとは……如何な天下のBFCとはいえ、卑怯が過ぎるのでは無いかね?」


 ズブズブと彼らの前方8m程の地点の床が黒く染まったかと思えば、内部から装甲に身を包んだ女……先日、首を銃弾で飛ばされた彼女が首筋を装甲で蔽ったまま浮上する。


『特異な反応……やはり、完全な頚城か。北海道戦線で確認されたのと同強度……情報にあった狂人。だが、何だ? 貴様の連れているソレはッ!!』


 彼女が視線を険しくして、青年と手を繋いだままのフードの少女を睨む。


「そう言えば、近頃彼らにちょっかいを出して返り討ちになったとか聞いたな。くく、単なる頚城と侮っていたのか?」


「?!!」


「生憎と彼らは頚城にしてはいけないワースト5位以内の人種だ。自らで自らを悟り、自らで自らの戦う術を心得たスペシャリストだとも。ああ、デスクワークも出来るが、だからって戦闘の心得が無いわけじゃない」


 まったく答える気の無い青年。


 【凶科学者(ザ・マッド)】を前にして【CEX】と呼ばれる部隊の隊長たる彼女はピキピキと引き攣る顔に獰猛な笑みを浮かべた。


「直接会った事は無いが、君の上司である市長も大した事ないな。幾ら蘇っても、君程度の駒で事態が動かせるわけないだろうに」


「ッ―――」


「魔族の頚城と同程度となれば、まぁ……追い詰められているというのは事実なのだろう。で? その先兵たる君は一体全体、たった数人の頚城も狩れずにどのようにして油を―――」


『それ以上喋るな』


 青年の目の前に巨大な腕部の爪先が迫っていた。

 だが、見えていた青年は回避機動すら取らない。


 カァンと。


 コンクリートに空となったスチール缶を転がしたような音がした。


 ベキベキと罅割れたのは彼女の腕だ。


『―――ペネトレイターをものともしないだと!?』


 瞬時に30mの距離を下がった彼女が自分の空間歪曲による防御突破が通用しなかった事実と腕を半壊されたという状況に青年。


 いや、青年の横の少女を見やる。


 青年を見上げていた少女は大丈夫?とでも言いたげだ。


「ああ、無事だとも。いやぁ、女の子に守って貰うのは気恥ずかしい限りだ」


 失敬失敬。


 自分を攻撃した彼女の事など目の端にも止まっていない。


 そんな様子で仄々少女に笑い掛けた男が拳銃を取り出す。


「失せたまえ。子供の教育上、人を撃つのはもう少し後にしたいんだ」


『単なる銃弾でこの身を傷付けられるとでも? 凶科学者……市長が一目を置いていただけはあるが、傲慢に過ぎるぞ!!』


「傲慢なのは彼の方だろう。人の論文を引用しておいて、結論があれとは……夢と浪漫の無い科学や学問に未来は無いと教えてやりたまえよ」


『―――』


 ギリギリと歯を軋ませた猛犬に青年は肩を竦める。


「あちら側からの進入路が限定された今、君達は力押しでしかこちらに干渉出来まい? だが、善導騎士団、陰陽自衛隊、どちらも君達に抗し得る戦力だ。力押しでは分が悪いどころの話ではないだろう」


『ふ……精々、奢っているがいい!!? 我らが本隊が到着した時、全ての人類は市長の下に統一され、永劫の繁栄を享受するのだ!! 貴様が何を生み出したのかは知らないが、標的の第一目標群になると知れ!!』


 再び黒き何かに沈み込んでいく彼女は恨み節もそこそこに青年と少女を睨み付けたのだった。


「やれやれ、襲われて恨みを買う事になるとは……悪党も真っ青の捨て台詞だな」


「すてせりふ?」


「そうそう。言うと品格や諸々が下がるからな。決して言ってはいけない。分かったかね?」


 少女は青年に頷いて、再び二人はテクテクと何事も無かったかのように外へと歩いて行く。


 だが、また青年が立ち止まった。


「今度は何処の何方かな?」


 そう訊ねれば、彼の前に出口の左側から現れたのは青年であった。


「その顔は……確か、北海道で……FCか」

「ええ、【凶科学者】殿。先日はお世話になりました」


 意志の強そうな瞳の青年だった。


 001。


 そう呼ばれていた青年であった。

 あの北海道戦役の最終盤。


 襲ってきた考古学者に巨大な威力たる高位ゾンビを押し付けて逃げ出したのは彼の決断だったが、その当人が再び会いに来るというのは如何にもおかしな話。


 そもFCの残党は艦隊と共に南海へと姿を消した。

 しかし、ASEAN内からの目撃情報は未だ無く。


 日本政府は現地の武官に諸々を探させていたが、補給を保てなければ維持出来ないはずの艦隊の行方は杳として知れず。


 半ば、お手上げになっていたのだ。


「復讐かね? いや、そういう顔には見えないが……」


「ええ、そんな事をする理由もない。我らの指導者は瀕死の重症で今も昏睡しており、我々は艦隊一つに大量の子供達を抱えて右往左往。そんなところです」


「ならば、何故に此処へ?」


「ネストル・ラブレンチ―より貴方の力が必要だと聞いて」


「ああ、あの一件で肉の塔を使っていたというロシア系の頚城だったか」


「詳しいのですね。こちらの事に……」


「蛇の道は蛇という言葉が日本にはあってね。それでどんなご用件かな?」


「結論だけ先に。貴方の力を我らに貸して頂けるならば、我らは貴方の軍門に下りましょう」


 思わず首が傾げられた。


「……生憎と軍などというものを欲しがった記憶は無いが?」


「だが、貴方はあのユーラシア中央の遺跡に用がある。そして、我々は生き残る為に貴方の力……頚城の術式を完全に理解し、利用出来る人間の力が必要だ」


「君の配下のFC達が納得するかね? それとネストルとかいうのも同じなのでは?」


「我々は彼らの下には付けない。だが、彼らの力が必要ではある。しかし、生憎と指導者を欠いた今の状態で専門家がいなければ……極めて憂慮するべき事態だ」


「あの幼子のように半ゾンビの子供達に何かあった、というところか?」


「御想像の通りですよ。頚城の術式は元々、我々の指導者……母と呼ばれていますが、彼女が独占的に扱ってきた代物で我々の手に余る。魔術師と言っても我々は其々の能力と魔力を最適化して術式単位で用いる戦力にしか過ぎず、そういった魔術師としての研究開発や調整能力は自分のもの以外には皆無だ」


「で、こちらに白羽の矢が立った、と」


「無理を言われるような事が無ければ、諜報活動や破壊活動、あるいは情報、資源の収集……貴方が必要とする規模での諸々を調達する用意があります」


「つまり、現実的な要望なら引き換えに労働力を提供すると」


「はい。我々とて今後の方針には苦慮している。このまま黙っていれば、人類の亡びは必然」


「だろうな」


「しかし、このまま動き出せば、組織は瓦解して我々は死ぬのを待つばかりだ。だから、方針を示し、それが共に同じ方向にある人物として貴方に我らFCの上に立って頂きたいという結論となった」


「……ネストル側が提案したと言ったな。その場合、彼らは君達の船から離れるのかね?」


「いいえ、あちらはあちらで命を生み出す肉の塔を維持したいとの思惑があるらしく。子供達は増え続けています……頚城に出来ない子を捨てる事も出来ない。かと言って止めようとすれば、我々は決裂し、どちらも大局的には破滅する」


「……ふぅむ(T_T)」


 しばし、考えていた男は001を見据える。


「では、4日くれたまえ」

「4日……ですか……」


「ああ、君が待てそうな期日だ。もし、こちらの準備が出来れば……いや、まずはこう聞くべきか」


 少女の手を引いて、その追い詰められているのだろう相手の前に立った男は紅い瞳でその瞳を覗き込んだ。


「君、考古学とか興味ないかね?」

「―――何を」


 ニタァッと笑みを浮かべた彼ガラート・モレンツは肩を竦める。


「人間、自分の学んだ学問が廃れるのは忍びないという事さ。君達がもしも、協力を求めるのならば、まず最初に私が言うべき言葉はこうだ。我が門下生として学ぶ気があるなら、喜んで受け入れよう」


「門下生……」


「実は大学で休講になっていた講座があってね。まだ、席は残っていたから再開しようかと思っていたんだ。なぁに元出は要らんよ。やる気と興味と好奇心。それと少しの閃きとパトロンさえいれば、幸せな発掘ライフが待ってるだけの地味で人類に苦労とか掛けない良心的な学問だ」


「………」


 思わず001が押し黙る。

 目の前の男の狂気。

 いや、正気を垣間見た気がしたからだ。


 日本とアメリカという国に喧嘩を売って、今後人類が復興すれば、間違いなく突き上げられる立場になるというのに……それを見越した上で冗談には思えない冗談のような事を言っているのだ。


「ああ、心配するな。これでも顔は広いんだ。それにアメリカと敵対関係にある勢力が無くなったら、彼らも戦争が出来ずに困る事だろう」


「仮想敵はアメリカ、と」


「ふふ、協力関係には成れないと断言出来るからな。君達が良ければ、君達の現状を打破する方法を教えよう。とてもとても単純な、ね。今ならアメリカだってぐぬぬとか言い出すようなとっておきの策だ」


 男は手をヒラヒラさせて少女を連れて歩き出す。


「4日後。横浜港に来たまえ。私がもしも優秀なら、君達の問題を粗方解決する方法をそこで提示させてもらう」


 半信半疑。


 しかし、何の成果も持たずに帰れたものではない。


 そう胸に刻んだ001はその男の背中を凝視していた。


 この男へ本当に自分達の未来を賭けるに値するかどうか。


 それは正しく測る為、その罠にもなるかもしれない場所へ飛び込んでいく覚悟をして。


 その日、ガラート・モレンツは4人の相手に電話を掛けた。


 そして、2日後に取引を成立させ、3日後に新しい家を手にして、4日後……その家を引き連れて、横浜港に入港した。


「―――そうか。オレはとんでもないのに話を持って行ったのか。ああ、まったく、自分の若さが恨めしいってのはこういう時なんだな」


 001。


 彼の前には空飛ぶ戦艦が一隻。

 そう、一隻……何の武装も積まれていない。

 何の電子機器も積まれていない。

 ただ、動くだけの船が一隻。


 シエラⅡ二番艦【-黄龍-】


 その巨体を確かに彼の前の前で見せ付けていたのだった。


 その内部に莫大な物資と此岸樹を詰め込んで。


『さぁ、乗りたまえ。これからこの船はイギリスへの補給物資を積んだまま消息不明になるのだから』


『しょーそくふめー?』


『そうそう。消えはしていないのに消えたのさ♪』


 1人の青年を乗船させた船は横浜港から飛び立つ。


 艦橋メインCICには引っこ抜かれたあらゆる電子機器が繋がれていたと思われる空虚な空洞が軒並み口を開けていたが、その全てに何やら導線らしきものを繋いだ艦長席には少女がフード姿のまま座っており、初めて001は相手の威力というのを見た気がした。


「どうやって……」


 ガラートがその言葉に肩を竦める。


「何、ちょっとした取引をね。船体と物資のみと引き換えに頚城の術式でこちらが得た成果を一番渡したくない親友にポンとくれてやった。それから嘗てウチのゼミに通ってた奴を通して、今の総理に掛け合ってね」


「……貴方の人脈を侮っていたようですね」


「そうでもないさ。肉の塔の話をした後、君達を暴走させず、日本国からの干渉から手を引かせるという形で了承を得た」


「よく可能でしたね……」


「いや、了承せねば、どうなるか。未来を善導騎士団のシステムとやらに予測させたら、人類の消滅に肯定的な回答が多数得られたそうだ」


 それがあるのをどうして知っているのか。

 どうやって情報を収集したのか。


 それすら001と呼ばれてはいても、彼には見当も付かなかった。


 そして、安易に暴走したら、お前らのせいで人類の滅亡が早まると言われた彼は溜息を吐く……否定しようもなかったのだ。


「だが、テロリストとは交渉出来ない。だから、こういう形を取った。まぁ、今後の事も考えてはある。任せておきたまえ」


「……積まれていた物資は食料ですか?」


「ああ、一時的なものと同時に食料のみならず諸々を作る為の資材や工具や設備もな。善導騎士団側もこの状況で事を起こされるよりは適当にあしらえた方が特だと踏んだのさ。これは純然たる彼らの為の寄付という奴だ。法的な面倒臭い諸々を全て踏み倒す為に強奪の形を取ったがね」


「アメリカは……了承するはずもないか」


「ああ、彼らには関係ない。いや、関係はあるか。艦隊と合流後、本艦は全人員を引き連れて米国本土を目指す」


「米国を?」


「何故、北米の2か国が米国に認められて、私が興した国が認められない?」


「―――まさか、あの条項を使う気ですか!?」


「アメリカは踏んだり蹴ったりだな。だが、構わんだろ? 君達はこれからガラート・モレンツに賛同する同志が立てた国家とやらに移民してきた《《名も知れぬ一般人》》になるのだから」


「……脱帽ですよ。新たな指導者殿……」


 本当にそうとしか言えず。


 彼は変装用の帽子を脱いで何とも言えない複雑な笑みになった。


「さて、何処がいいか。カリブ海に面した南部当たりにしようかと思ってるんだが……」


「そして、ゾンビの掃討は我々の仕事というわけだ……」


「ああ、今が最後のチャンスだ。遠回しに善導騎士団への援護にもなる。あちらにしてみれば、もしもの時の備えの一つだ」


「狙いはロスアラモスですか?」


「ああ、ビッグ・モールド・クレーターにも最短で迎えるし、欧州方面やアフリカにもアクセス出来る。旧時代の人類の《《史跡》》を掘り返すなんて浪漫のある話じゃないか。いやぁ、ワシの夢も終にワールドワイドか」


 青年面になってから私を使っていた男は思わず本音が出た様子だった。


「わーるどわいど?」


「そうそう。世の中、夢は大きく。いやぁ、久方ぶりに浪漫が大きくなるな」


 彼らは飛ぶ。


 イギリスが今正に復興し、北米がゾンビ達の主戦場に成っている間隙を突いて。


 だが、動き出した人々が何を考えようと奇妙な程に破滅の気配は拭えない。


 それは多くの全体を俯瞰する位置にいた者達が心の底では理解していた事だろう。


 大西洋。


 恐怖の根源が未だ眠る大海はまだ静かに胎動するのみ。


 しかし、目覚めが近い事を人々は感じ取るのだ。


 まるで地震の前に小動物達が震源地から逃げ出すように……。


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