死んだ!?
死にたい。
唐突にこんなことを言うのもなんだが、俺は今、そんなことしか思っていない。
俺は、叶原 勇哉。勉強も運動も出来ない15才の中学生。たけのこ派かきのこ派かと言われたらきのこ派だ。たけのこも好きだがな。
まあきのこ派かどうかはともかく、俺は今凄く追い込まれている。
それは、受験勉強だ。
中卒で働く気も無いので、小学校で仲が良かった友達が行くという学校に行こうと思っているのだが、来る日も来る日も受験勉強をしなければいけない。しかも俺は頭が悪いから全然進まない。気が遠くなりそうだ。
受験勉強だけならともかく、俺が今一番嫌なのは、いじめだ。
俺は、クラスでいじめられている。
俺は何にも悪くないのに、クラスの皆がストレスを発散するためだけに俺はいじめられている。
辛い。
死にたい。
「そうだ、死ねばいいじゃん‼」
放課後の誰もいない教室で叫んだ。
本来なら誰かに睨まれるところだったが、案の定、教室には誰もいない。
思い立ったが吉日だ。
俺は、実行することにした。
あんまり苦しいのは嫌だから、刃物で自分の腹を刺した方がいいかな。それとも、縄で首を絞めようかな。
そんなことを考えながら縄か刃物を手に入れるために、俺は近所のホームセンターに歩いて向かう。
今は午後5時ぐらいなのだが、この辺りはあまり人が住んでいない。そのせいか、午後五時ぐらいになると、人をあまり見かけなくなる。
人目につかないところでひっそりと自殺でもするか。
そんなことを考えていると、
コツ。
コツコツ。
コツコツコツ。
人の足音が聞こえてきた。
しかも、どんどんこっちの方に近づいてくる。
怖い。
俺は意外と怖がりなのだ。
お化け屋敷に入ったらもう、終わりだ。
ぴたり、と足音が止まった。
「ぐっ……!?」
その途端、横っ腹に焼けるような痛みが襲った。
痛い、熱い、痛い。
俺の腹から流れ出てくる真っ赤な血。
それは、絶えず流れ続ける。
そういえば最近、テレビで通り魔がいるとかなんとかニュースで言ってた気がする。ちゃんとニュース見とけば良かった。
ということは、刃物で刺されたのか。
まあ、自殺しようとしてたし、ちょうど良かったのか?
俺も通り魔の被害者の中の一人になるのか…
ニュースで俺の顔写真が映されるのか…いい写真、あったかな…いや、そもそも写真、撮ってたっけ…
って、そんなことはもう俺には関係無い。
だって、間もなく死んでいくのだから。