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イシュト大陸物語  作者: 明星
力の証明
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第46話

がむしゃらに繰り出されるオーガの攻撃は、技術などとは無縁なものだった。

それらをアッシュが防ぎ、その隙にディーンが後ろから斬りかかる。

目の前の生き物に手を伸ばせば後ろから斬られ、後ろの生き物へと手を伸ばしてもあっという間に距離をとられ届かない。

体から黒い液体を撒き散らしながら、それでもオーガは暴れ続けた。


初めは後ろから攻めていたディーンが今はアッシュの左へ位置取り、徐々にオーガを広場の隅へと追いやっていく。

ここにきて遂に戦うことを諦めたオーガは突然木々の間へと走り出した。

「行ったぞ!ヴェラ!」

アッシュが叫ぶ。

二人はオーガを追いかけ走り出した。

木々の間を器用に走るオーガ。その巨体で驚くほどの速さで走るオーガに、アッシュとディーンは追い付くことができない。

しかし、突然の鈍い音と共にオーガの動きが止まった。

一足先に追い付いたディーンが、オーガの首筋へ細剣を突き刺し、逆手に持った左手の短剣で切り込んだ。

半分以上斬り込まれたオーガの首がダランと落ちる。

膝から崩れ落ちるオーガの体は何かに引っ掛かったままブラブラとしていた。

「よし、やったね」

ヴェラが木の上から降りてきた。

三人がオーガの正面へまわると、オーガの胸には丸太が刺さっている。

正確には丸太の先端に嵌め込まれた、リザードマンの石造りの斧が、だった。

第三中継基地で余っている丸太を買い取り、その断面に斧の刃の部分を嵌め込んだ。

そして前もって縄にくくりつけてオーガの逃走経路の木へ結んでいたのだ。

オーガの逃走に合わせてヴェラが縄を切ると、丸太は振り子のようにオーガへ向かって落ちていった。

オーガ自身の走る力が仇となり、自ら斧の刃へと突っ込む形となってしまったのだった。

「上手くいったね」

「ああ」

「これで依頼は全部終わりだ。あたしはもう疲れすぎちまって、しばらくは依頼なんて受けたくないよ」

ヴェラの言うことに二人も同感だった。

それに今回の旅で得る報酬を考えると、しばらく休むのも悪くないと思えた。


三人が広場まで戻ろうと森の中を歩く。

その時、不意にファングの遠吠えが響いた。

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