第38話
「とまぁ、これが今のお前らの実力だ」
バルドの前に三人が横たわっている。
「とはいえ思ってたよりよかったぜ?盾は一撃で吹っ飛ばすつもりだったが防がれたし、剣もほんとは防がず避けきるつもりだったからな。お嬢ちゃんもなかなかすばしっこかったな」
バルドの攻撃を避けたあと、後ろから首に腕を回し絞め落とそうとしたヴェラは簡単に引き剥がされ、背負い投げられてしまったのだった。
よいしょ、とバルドが三人の前に座る。
「まずは盾、と、そういえばお前達の名前をまだ聞いてなかったな」
アッシュ達がそれぞれ名乗ると、名前を聞いたバルドの表情が一瞬変わったが、すぐに元に戻った。
「よし、じゃあまずはアッシュ、盾の操作は悪くないが、相手の力に合わせて動きを変えないと衝撃を吸収しきれない。敵の力が強ければ強いほどもっとこう角度をだな」
と言いながら、バルドは実際の動きを見せてくれた。
「次はディーン、お前の動きは鋭い、だが意識が腕にばかりいってるから足元がお留守になってるだろ。もっと体全体に意識を向けろ、そうすれば自然と攻撃の種類も増える」
そしてここでもバルドは剣撃から繋がる足技をいくつかやってみせた。
「ヴェラ、もっと筋肉をつけろ。動き自体は問題ない。さっきのが実戦なら後ろをとられた時点で俺の敗けだ。とはいえ最後に勝つのは俺だけどな」
と大声で笑いながらバルドが立ち上がる。
「よし、じゃあさっきの話を意識しながら、もう一回だ」
そうしてその日、遅くまで三人の特訓は続いた。
去り際にバルドが言った、また明日、の言葉に三人は意識が遠退く思いだった。




