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イシュト大陸物語  作者: 明星
力の証明
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第36話

第三中継基地、それは大陸西部に広がる沼地の中ほどに用意された、人間の居場所。

しかし基地とは名ばかりで、開けた場所には組み立て途中の塀と櫓、仮設の住宅が点在しているだけだった。


まずは冒険者組合の入っている天幕を探す。

主要な機関は一つの天幕にまとめられており、簡単に見つけることができた。

「遠路はるばるご苦労様です」

そう言って迎えてくれたのはオークのように巨大な体をした男だった。

「第二中継基地から物資を輸送してきました。あとはこの依頼についての情報をお願いします」

そう言ってディーンが差し出した依頼書を受けとり、組合員が目を通す。

渡された依頼書を読み終え、そのあと組合員はアッシュ達三人の顔を見回した。

「あなた達三人でオーガ討伐ですか?まさか冷やかしで来た訳ではないですよね?」

「それは一体どういうことだい?」

組合員の失礼な物言いにヴェラが噛みつく。

「いや、すみません、失礼しました。オーガは強敵です。それをあなた方三人でというのがどうにも不自然に思いまして」

「おっしゃることはごもっともです。これには少し理由があるんです」

そう言ってディーンがこれまでの事情を組合員に説明した。


「ふぅん、なるほどな」

話を聞き終わった男の口調が突然ぞんざいなものへと変わった。

「無茶をする理由は分かったが、だからといっていきなりオーガを相手に選ぶのは無謀だと思うぜ?」

「あ、いえ、オーガ討伐を選んだのはカヴァルさんなんです」

男の変わりように戸惑いながらディーンが話すと、男はめんどくさそうな顔をした。

「ああ、そういうことか。あの爺さん、俺がここにいることを知ってるからそんな無茶なこと言い出したんだな」


組合員の男はバルドと名乗った。

本来は冒険者なのだが、今は一時的に冒険者組合としての仕事を行い、この辺りを仕切っているらしい。

未開の地での仕事は通常の組合員には荷が重いというのが、その理由だ。

「まったく、めんどくせぇが仕方ねぇ。そういうことなら明日から特訓だ」

未だ状況が分からない三人を尻目に、バルドは残った仕事を片付けに入った。

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