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イシュト大陸物語  作者: 明星
力の証明
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第26話

「どう思う?」

三人は宿屋へと戻ってきた。

宿屋の一階は酒場になっており、猪討伐の帰りに確保した食材を持ち込み、今日の夕食とした。

「どうって、猪の話かい?」

過度な攻撃行動に生命力の増加、そのことで思い出されたことは三人とも同じだった。

「魔物の死体とよく似た液体を飲まされたヴィクターの母親も、同じようになっていた」

「瀕死のニールもその液体で、一応は生きてる状態になってたね」

ディーンの視線にヴェラは、大丈夫だよ、と手を振って応える。

それを見てディーンは続けた。

「確かに、現れる症状としてはよく似ているね」

魔物の死骸のような液体を摂取することと魔物を補食することで現れる変化が共通している。

「まったく、分からないことだらけだよ。ま、それを調べるためにこんな寄り道をしてるんだ。焦ることはないよ」

それよりも、とヴェラは話を切り替える。

「次の依頼の話なんだけどね。明日から数日は同じ依頼を繰り返そうかと思ってるんだよ」

「倒して終わり、ではないということですか?」

「そうだね、組合の話じゃあ討伐対象は一ヶ所じゃない。いくつかの拠点を襲って経験を積むんだが、もう一つ目的があってね」

「武器を、集めるのか?」

アッシュの言葉にヴェラは頷く。

「あんたも同じことを考えてたのかい?」

「そうした方がいいんじゃないかとは思っていた」

「ああ、あんたの言うとおりだよ。今日戦って思ったことは大きな敵を相手にした時の攻撃力不足だ。ばんばん使い捨てていけるくらいの武器がほしいけど、自前でそんなに用意できるわけがないからね。だから、さ」

「だがその集めた武器をどうする?持ち運ぶ手段がない」

アッシュもヴェラと同じ事を考えていたが、その中で一つだけ解決していない部分がこれだった。

しかし、それはもう解決済みさ、とヴェラはその答えを既に用意しているようだった。

「ま、明日の朝教えてあげるからさ」

今日は無事を祝って飲むよ、とその日はそれで終わっていった。

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