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イシュト大陸物語  作者: 明星
力の証明
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第11話

討伐依頼書


依頼者 第一中継基地


場所 第一中継基地の北にある湿地帯


討伐対象 ジャイアントエイプ 四頭


補足1 牙、爪は非常に不衛生であり傷口から感染症を引き起こす恐れがある為注意すること

補足2 糞を投げ付けてくることがある為、範囲外にも注意すること

補足3 幼体を発見した際には必ず殺すこと

「ほら、左から来るよ!」

湿地帯にヴェラの声が響く。

その声が指し示すのは、両手を地面につきながら走ってくる影。

正面の木の上とその下、右手の岩の上にはそれを囃し立てるように喚き散らしている仲間がいる。

「受ける」

兜の面頬を下げてアッシュが盾を構える。

アッシュが持つのはこれまでの円盾ではなく、逆三角形をした少し大きめの盾だった。

低い姿勢から飛び掛かってくる大きな猿、エイプの攻撃を腰を落とし盾で受け止める。

鈍い金属音が響いた後、エイプの突進は完全に停止していた。

「よし、いいよ、そのまま押さえ込むんだ」

ヴェラが残りの三匹を鞭で牽制しながらアッシュに指示を飛ばす。

アッシュはエイプの突進により一旦仰け反っていた上体を徐々に前へと戻す。

アッシュよりも少し身長の低いエイプは必死に押し返すが、体格の差からこれに勝てない。

それでも必死に押し返してくるエイプの一瞬の隙を狙い、アッシュは体を右に開くと勢い余って飛び出してきたエイプの首に剣を振り下ろした。

剣は派手にエイプの頭を飛ばし、大きな体は糸が切れたようにその場に倒れた。


「よし、上出来だよ。次はディーン、やれるね」

とヴェラがディーンの背中を叩き、前に送り出す。

「あんたは軽装だから、攻撃はきちんと避けるんだよ」

二匹同時に飛び出してきた片方の眼前にヴェラが鞭を叩きつけ、エイプの足を止める。

アッシュと入れ替わり前に出たディーンがもう片方へと向かい合った。

先程と同じように走ってくるエイプに向けて勢いよく細剣を突き出す。

これを潜るようにかわしたエイプは、伸びきったディーンの腕へ噛み付こうと首を伸ばしてきた。

ディーンは一瞬の判断で突き出した右手を引くと同時に、左手に逆手に持った短剣でその首を切りつけた。噛み付こうとした姿勢のまま、首を切られたエイプは血を大量に吹き出しながら前のめりに倒れた。

「大したもんだ」

ヴェラが感嘆の声をあげる。

「ヴェラさんに貰った短剣のおかげですよ」

そう言いながらディーンは短剣についた血を丹念に拭う。


「さて、それじゃ次はあたしの番だね」

そう言うなりヴェラはエイプの足へ鞭を振るい絡める。

そのまま両手で引っ張りエイプを引き倒すと、自分の方へと手繰り寄せ、喚くエイプの背中に短剣を突き立てた。

二本、三本、持っている短剣が次々とエイプの背中に刺さる。

うつ伏せのまま完全に動かなくなるまで、ヴェラはそれを続けた。


仲間が全員倒されるのを見て、それまで木の上で静観していたエイプが大きな音をたてて飛び降りてきた。

「さぁて、親分のお出ましだよ」

ヴェラの声にアッシュとディーンの二人が身構えた。

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