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イシュト大陸物語  作者: 明星
力の証明
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第7話

今まで人が入ったことのない沼地の深部は非常に厄介だった。

地形や天候、そこに住まう者達からの襲撃など、なかなか思うように開拓できていないのだ。

「王都からはせっつかれておるが、無理をさせては人死にが出るだけだから、私としては慎重にいきたいところなんだよ」

話が逸れてしまったね、とカヴァルが笑う。

「まぁそういうわけだから、今君達が実績を上げるための依頼には事欠かない。ただし、さっきも言ったように奥へ行けば行くほど難易度の高い依頼となる。得るものが大きい依頼は死んでしまう可能性も高くなるということは、理解しておいておくれよ」

これで話は終わりだというようにカヴァルは席を立ち上がり、組合の裏へ入っていった。


「いいのかい?別に無理やりあんた達があたしに付き合う必要はないんだよ?」

ヴェラが依頼の束に目を通しながら言う。

「俺達は、俺達に今できることからやっていこうと決めたんだ。それにこうして実績を上げていくことが、俺たちの探しているものに辿り着く一番の方法だと思ってる」

「そうだね、だからこれは、僕たち自身の為でもあるんだよ」

アッシュとディーンがヴェラと共に沼地へ赴くことは、自分達のこれからにも必要なことだった。

「探しているものってのは何なんだい?」

「赤い、竜についてだ。情報でもなんでもいい」

アッシュの言葉にヴェラは目を見開く。

「これはまた大きな獲物を狙ってんだね。よし、あたしの知ってる人間に歴史に詳しいやつがいるから、王都に行った時に紹介するよ。いろいろと世話になったからね、せめてもの恩返しさ」

三人はカヴァルが、これは確実に受ける必要がある、といった依頼とはまた別に、道中達成できそうなものを探した。

ヴェラの提案を中心に、結果として三件の依頼を選び、裏から戻ってきたカヴァルへ依頼書を渡す。

「ふむ、ではこの三件を君達に依頼しよう。それと、この一番難しい依頼はそれまでに経験を積むことを前提に選んでおる。必ず順番に達成していくようにね」

いいかね、とカヴァルは姿勢を正し真面目な顔で三人に言った。

「これが石の調査を任されるための最善の方法だ、だからといって決して無理をしてはいけないよ。死んでしまっては元も子もないからね」と。


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