第3話
「どうして!」
「ヴェラさん」
カヴァルに詰め寄ろうとするヴェラを慌ててディーンが止める。
「もちろん、理由があっての判断だよ。ヴェラ君がこの町を中心に依頼をこなし、相応の実力を持っているのは知っておる。それこそ、この石の調査を頼んでもいいくらいにね」
「なら」
しかし、とカヴァルはヴェラの言葉を遮る。
「君は今一人だ。本来斥候と後方支援が役割の君は仲間がいてこそ、その実力を発揮できる」
違うかな、と言うカヴァルの言葉に、ヴェラは反論できなかった。
「王都まで行き、その後先行きの見えないこの調査は仲間のいない今の君には荷が重い」
そういう訳だから諦めておくれ、とカヴァルはヴィクターの石を革の袋へしまった。
「新しい仲間を、見つけてくればいいのかい?」
それでもまだヴェラは諦めきれず、どうにかして依頼を受けようと模索する。
「実績のある仲間を、だよ。しかし今回の調査は報酬が約束できない。正体の分からない物の調査を報酬もなく手伝ってくれるような人はいるのかな?」
そんな人物に心当たりなどあるはずもなく、ヴェラは黙る。
仮に自分が声を掛けられた側ならば、おそらくそんな旨味のない頼みは断るだろう。
「そういうことだ、悪く思わんでくれよ」




