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イシュト大陸物語  作者: 明星
残穢
211/408

14頁

二十六日目

北の山脈の麓、一つ目の拠点を作る場所へ到着しました。

王国兵のほとんどをここに残し拠点を建設します。その間に一部の王国兵と私達で先行し、次の拠点が建設できそうな場所までの安全を確保することとなります。



二十九日目

山へ入り、魔物の襲撃の数は増え、その規模も大きなものへと変わってきました。

これまで通り私が危険を伝え、彼や他の勇者がそれを討伐してきたことで、ここに来るまで被害はありません。

少し前から、その姿が視えるにも関わらず襲ってこない魔物がいます。他の魔物と雰囲気の違うこの、牛の頭をもつ巨大な魔物には注意をしなければいけません。



三十二日目

部隊が混乱していました。本日の夕暮れ、突如夜営地を襲ったのは牛の頭をもつ、あの魔物でした。

私が魔物の襲来を視た直後、あれはものすごい速さで夜営地へと突入してきました。その不意討ちに最初こそ浮き足だった勇者達でしたが、あの方の一声で冷静さを取り戻し、これを撃退。幸いにも数名が軽傷を負ったのみでした。



三十五日目

二つ目の拠点を作る場所がなかなか見つかりませんでした。山間部にそこまで開けた場所がないのです。

他に選択肢がない為、他よりも少し開けている場所を候補地とし、一つ目の拠点へ戻ることとなりました。ここまで竜の存在は感じません。あの竜は私達に気付いているのでしょうか。



四十五日目

私達が一つ目の拠点に戻ったとき、既にそのほとんどが完成し、町から物資が運び込まれているところでした。

私達は次の拠点が出来るまでここで休むこととなります。

候補地の話をしたところ、材木の調達は山から出来る為、多少無理をしてでもその場所に建設されることになりました。


ふと、魔物とは何なのだろうと考えました。これまで幾度も魔物と出会い、戦ってきました。彼らは死ぬと液体へと変化し、その死骸を残しません。

この大陸で、私達人間や動物、植物や昆虫に至るまで、何らかの他者との関わりを持って存在していますが、あの、魔物という生き物にはそれがありません。

破壊し、奪い、殺し、消える。一体あの魔物という存在はなんの為に存在しているのだろうと不思議に思います。

北の竜が魔物を産み出す存在なのであれば、竜を倒すことでこの大陸には平和が訪れるはずです。

始めは漠然とした目的でしたが、今はもう、すぐ目の前まで来ています。一刻も早く竜を倒し、人々が安らかに暮らせる土地にするべく、これからも頑張ります。

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