第7話
「さて、それでは最初の依頼について話をしようか」
カヴァルがずずっとお茶を啜る。
「その前に、これを」
そう言ってアッシュが差し出したのはゴブリン退治を終えた際に渡された村長からの手紙だった。
「ふむ、ガザの村の村長からだね。拝見させてもらうよ」
カヴァルが小さく相槌をうちながら手紙を読み進める。
「なるほど、これで納得がいった。君達二人を見たとき冒険者だと勘違いしてしまった訳がわかったよ」
手紙を読み終えたカヴァルがそう呟いた。
「冒険者の登録に来る若者は皆どこか浮き足立っている。おそらく冒険者というものに夢を抱いているからだろう」
私も昔はそうだったからね、と懐かしそうに話す。
「ただし君達にはそれがなかった。そうかい、既に冒険者として仕事を引き受けたことがあったんだね」
どうりで落ち着いているわけだ、とカヴァルは続ける。
「少し無謀なことをしたとは思うが、無事依頼を達成できてよかった。さて、それでは改めて、冒険者組合からの最初の依頼をお願いしよう」
カヴァルが再び手元の依頼の束に目を落とし、そこから一枚の紙を抜き出した。
「本来ならば、最初は運搬や採集なんかの簡単な依頼から慣れていってもらうのだが、戦う術を心得ているのならこいつにしよう」
組合を通して受ける初めての依頼がどんなものなのかと緊張しながら、渡された依頼書に目を通す。
そこに書かれている依頼の内容、それは二人にとって何の新鮮さもない「ゴブリン退治」だった。




