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イシュト大陸物語  作者: 明星
初陣
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第2話

アッシュとディーン、2人の青年は子供の時からずっと生活を共にしてきた商隊の元を離れて旅をしている。

彼らの一先ずの目的地は冒険者組合のある町アーマード、大陸の南西に位置する大きな町だ。


共に旅をするもう1匹の仲間。ファングと呼ばれるダイアウルフは彼らが商隊に世話になる以前から一緒に暮らしている。彼らにとってファングは相棒であり、生き残る術を教えてくれる先生でもあった。


彼らが今林の中から洞窟を見つめている理由、それは旅の途中に食料と宿を求めて立ち寄った村で、冒険者の装いの2人に目を止めた村人から突然の依頼をされたからだった。

その依頼とは「森に居着いたゴブリンの討伐」である。


この大陸で冒険者が依頼を受ける場合には二つの方法がある。

冒険者組合から斡旋される依頼を受ける方法と、直接依頼主から受ける方法だ。

冒険者組合に所属し、依頼の斡旋を受ける利点は「信用」にある。

組合は身元の確かな者からのみ依頼を受け、その依頼を達成するだけの能力をもつ冒険者しか紹介しない。その為現場で予定外の要因から事故が起きることは少ない。

現地で依頼主から直接依頼を受ける場合の利点はというと、「報酬」である。

地理の関係や、その内容から冒険者組合に依頼を出すことが難しい人は多い。

その為現地で直接冒険者を募り、問題の解決に当たってもらうのだが、その場合相場よりも高い報酬が要求される。

それは依頼の内容に関して不明な部分や不確定な部分が多く、最初の依頼内容と全く違う結果になる場合もあるという危険を孕んでいるからだ。

結局のところ己の実力次第なのだが、まずは冒険者組合に所属し、徐々に活動の場を広げていくのが一般的だ。


まだ冒険者ではない彼らにとって、突発的なこの依頼を受けることは無謀とも言えることだったが、困っている人を見過ごすことはできないからと、アッシュはその場で依頼を受けたのだった。

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