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イシュト大陸物語  作者: 明星
館に蠢く
19/408

第6話

翌日、昼過ぎまで二人で鍛練を行い軽く汗を流した。その後鍛冶屋へ装備を受け取りに赴く。

受け取った盾を左腕に持ち感触を確かめると、多少の違和感は残るが戦いに支障はなさそうだった。


その後町の中心近く、組合の集まる一角へ向かうと目指す冒険者組合もそこにあった。

看板には盾と交差する二本の剣の模様が入っている。

扉を開け、中に入ろうとした時にちょうど中から人が出てきた。

「何か分かったらまた報告にくるよ」

出てきた男は建物の中へそう叫ぶと、あっという間に去っていった。

開いたままの扉から建物へ入ると、中には数人の組合員と冒険者がおり、それぞれが何かを話し合っていた。

入口を入ってすぐ目の前にある受け付けには初老の男性が座っており、こちらに向かって微笑んでいた。

「やぁこんにちは。依頼を受けにきたのかい?」

穏和な表情の男性は「さ、扉を閉めて中へ入っておくれ」と二人を招き入れた。


「登録証を出してもらえるかな?」

二人を奥の机に案内すると、既に何枚かの依頼の束をめくりながら紹介する依頼を探し始めている。

「あ、いえ、今日は冒険者の登録をする為に来たんです」

ディーンが慌てて男性の言葉を訂正する。

初老の男性は少しの間二人の顔を見た後に言った。

「そうか、いや、これは済まなかった。私はアーマードの冒険者組合の長をしている、カヴァルという」

アッシュとディーンもそれぞれ名乗り、改めて冒険者組合への登録を依頼する。

「よし、ではこの紙に名前を書いておくれ」

そう言って出された紙には八桁の番号と、名前を書く場所のみがあった。

二人は名前を記入し、紙をカヴァルに渡す。

「はい、確かに。これで登録は終わりだよ」

と渡された登録証を確認している最中、カヴァルはアッシュが記入した紙に目を止めて尋ねてきた。

「おや、書かれている名前が違うようだが、アッシュというのは本名ではないのかね?」

カヴァルが指差す場所に記入されている名前はアッシュではなかったのだ。

訳あって本名は名乗っていないというアッシュの言葉にカヴァルは頷く。

「そうか。いや、それでもかまわんよ。ただし用紙には普段名乗っている名前も書いておいておくれ」

あまりにあっさりと登録が終わり、2人は少し呆気にとられていた。

「おかしな話だと思うかもしれないが、冒険者への登録は誰でもできるのだよ」

説明しよう、とカヴァルが話始めた。

冒険者組合へ提出された用紙を元に登録証が作成される。これは人差し指ほどの長さの金属の板を合わせたもので、中に本人を識別するための八桁の番号と名前が刻まれている。

もしも身元が確認できないほど遺体が激しく損傷していた場合には認識票にもなる。

また、他人に悪用されることを防ぐ為に普段は油紙で閉じられ組合の印で封印されている。

登録証は依頼を受ける際に組合へ渡し、その場で開封され本人確認が行われた後、確認の済んだ登録証には再度封印が施される仕組みになっている。

一通りの説明をしながらカヴァルが用紙を別の組合員へと渡すと、受け取った組合員はそれを持って裏へと入っていった。

「本当に大変なのは登録が終わってからだからね」

とカヴァルは人好きのする笑顔でそう言った。

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