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イシュト大陸物語  作者: 明星
老齢の鍛冶師
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第47話

気の遠くなるほどの年月の中、北の山脈の地下を流れる水脈は、少しずつ周りの土を削り、石を流し、その川幅を広げていた。

更にアッシュ達が出会った大型の嵐は地下水脈の水量を増やし、上からの激しい雨で地盤を柔らかくしていた。

そこに止めを刺したのは魔人の振り下ろした一撃だった。散々暴れまわられ遂に耐えきれなくなった地盤はその上に立つものを飲み込み崩れ去っていったのだ。


今アッシュ達は冷たい地下水脈に飲まれ、流されている。

水の流れは激しく周囲の状況を把握するのも難しい。アッシュは急いで鉄の胸当てだけ外し体を軽くすると流れに逆らわないようにすることだけに意識を向けた。

周りに呼び掛ける余裕もなく、冷たい水は体温を奪っていく。

「岩が!」

聞こえているかは分からない。しかしアッシュは声を張り上げ後ろを流されているであろう仲間に注意を促した。

体を横に流し岩との直撃を避ける。擦れ違い様軽く岩を蹴って体を回し、後ろを確認するとディーンとヴェラの姿を確認することが出来た。

羊頭の魔人の姿は見えない。一先ず体を前に向けいつまで続くとも分からない川の流れに身を任せた。


辺りには濁流の音が響く。しかしアッシュの耳にはそれとは別の音が聞こえていた。

少しずつ近づいてくるその音に一つだけ心当たりがあった。滝だ。

足を踏ん張れるような深さではない、掴まることができる場所もない。

ただ流されるだけのアッシュ達にできることは天に運を任せることだけであった。

そしてそれは一瞬のことだった。僅かな浮遊感の直後に体は落下し水に叩きつけられる。

滝から落ちる水はそこに渦を作り、それに飲み込まれたアッシュ達は上下すらも分からなくなる。水の冷たさに遂に体が動かなくなると、意識は急激に落ちていった。

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